警察ぐるみで嘘をついてきた慰安婦「水曜集会」の終焉
1992年1月8日以来、28年半あまりにわたってソウルの日本大使館の前で毎週水曜日、雨の日も雪の日も懲りずに連綿と続けてきた慰安婦支援団体の反日集会が、2020年6月24日、1443回目にして、本来の集会場所から初めて追い出されることになった。本来の場所とは、慰安婦少女像のある場所のことだが、この慰安婦像の撤去と「水曜集会」の中止を求める保守系市民団体「自由連帯」が、ここで7月中旬まで連日集会を開くとして警察に集会場所の占有許可を申請し受理されたからだ。
水曜集会を主催してきた「正義記憶連帯」はこの日は、慰安婦像から10mほど離れたところで集会を行ったが、慰安婦像の周囲では雨の中、朝早くから学生30人ほどが座り込みを強行し、自分たちの体と慰安婦像を紐で結んで、警察による強制排除を拒否し続けた。
ところで、この若者達が守ろうとしたのは何なのか。この間、不正会計問題など多くの疑惑に包まれている挺対協(挺身隊問題対策協議会)の元理事長で現国会議員の尹美香(ユン・ミヒャン)氏にまつわる問題、いわゆる「尹美香事態」で明らかになったのは、慰安婦「支援」団体と称する挺対協や正義記憶連帯が実際に支援してきたのは生存する生身の慰安婦個人ではなく、自分たちの運動や組織の利害、尹美香氏をはじめとする組織幹部の個人的利益や家族の生活を守ること。そうした実態が白日のもとになったのが、今回の「尹美香事態」だったはずである。そして彼らの運動の論理や組織の理念を象徴するのが慰安婦少女像に他ならなかった。つまり、幼気(いたいけ)な10代前半の少女まで日本軍に捕まり性奴隷にされたというストーリーである。
しかし、この慰安婦少女像だが、これも結局、金儲けの手段に使われただけだったことがわかり、もはやその価値と評判は地に落ちている。この少女像を造ったのは、挺対協の理事でもある彫刻家の金運成(キム・ウンソン)・金曙炅(キム・ソギョン)夫妻だが、金夫妻は少女像一体につき、制作費として3300万ウォン(300万円)を請求している。そして、この慰安婦像と似せて作られた像に対しては、それが学校内に作られたり地方自治体が公共施設に設置したりしたものだったとしても、著作権の侵害を申し立て廃棄するよう執拗に要求した。この慰安婦少女像は韓国全土に95か所以上設置され、アメリカやドイツにもあり、愛知トリエンナーレの「表現の不自由展」にも出展されたが、これが一体300万円だとすれば、2億8500万円以上稼いだことになる。しかも同じデザインで高さ10~50センチサイズのミニチュア像が、全国の小中高校生による「小さな少女像設置運動」と称するクラウドファンディングで1万体近くも売られ、これだけで3億8000万ウォン(3400万円)の売上があったと言われる。完全に挺対協と一体となった「慰安婦像ビジネス」、ぼろ儲けの商売と化している。
<朝鮮日報06/03「校庭に少女像設置しようとしたら…正義連理事が著作権を盾に阻止」>
要するにこの日、学生達が自分の体と紐で結びつけ死守しようとした「慰安婦像」は、今や汚い金にまみれた腐敗の象徴にさえ堕した存在なのだ。それを知ってか知らずか、後生大事にまるで彼らのご本尊のように扱う姿はもはや哀れというより、お笑いものの喜劇というしかない。学生達は、退去を求める警察の指示には従わずに居座り続け、結局、保守系団体と慰安婦団体の衝突を警戒して現場には400人あまりの警察が配備され、両団体の間に壁を作った。
そうした騒然とした雰囲気のなかで、正義記憶連帯のイ・ナヨン理事長は、「押し出され、奪われ、弾圧され、胸が引き裂かれ、体中、傷だらけになってもここにいる」と挨拶し、水曜集会の継続を誓った。なにやら自分たちが被害者で弾圧された存在でもあるかのような悲壮感を口にしたが、しかし、そうだろうか。
「外交関係に関するウィーン条約」(1961年)第22条の2には「接受国は、公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する」とあるが、韓国政府はこれに完全に違反して、28年間も、違法デモと違法設置物の存在を許してきた。<外交関係に関するウィーン条約>
しかも、警察による反日デモ集会の場所の使用許可は、嘘に嘘を重ねて、挺対協にしか与えられない仕組みになっていた。警察は挺対協による水曜集会について「集会ではなく文化祭」という性格だから場所の占有許可はいらないという嘘をつき、さらには外交公館の周囲100メートルでは集会は禁止されているはずだが、水曜集会については「日本大使館が承認していた」というあり得ない嘘までついて、挺対協に独占的、恒常的な使用を認めてきたという。
そうした実態は、保守系メディア「ペンアンドマイク」の朴舜鍾(パク・スンジュン)氏の警察取材で明らかとなり、朴氏のこの取材のあと、「24時間少女像を守る」との理由で少女像の後ろに常設されていた支援者のための寝泊まり用テントと巨大な掲示板は撤去された。
<デイリー新潮06/24「韓国、慰安婦像前の集会が終焉…「日本大使館が承認した」「文化祭だからOK」という警察の嘘」>
それにしても明らかに左派系の市民団体の集会をなぜ、警察や李明博や朴槿恵ら保守系の政権までが保護しなければならなかったのか。その理由は、クレームをつけられたら面倒な存在だったからという理由しかない。そうした警察の態度と嘘がますます挺対協をのさばらせ、モンスター化させ、アンタッチャブルの存在にさせたのだ。
慰安婦像の撤去と水曜集会の解体を訴える保守系団体「自由連帯」は、この日、水曜集会が行われた場所が、外交公館のそばで集会禁止区域に当たるにもかかわらず、使用を許可したとして、鍾路(チョンロ)警察署長と朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長を警察に告発する方針だと発表した。
<KBS日本語放送0625「慰安婦団体「水曜集会」別の場所で初めて開催」>
ところで、挺対協は30年間にわたって慰安婦問題の解決のため活動を行ってきたという。しかし、彼らが活動の成果として何か達成したものはあるのだろうか?アジア女性基金による慰安婦援助に反対し、日韓慰安婦合意と10億円の基金に反対し、そうしてすべてをぶち壊すことはやってきたが、慰安婦一人ひとりのために役立つ成果は何ひとつ残していない。30年間も活動をして目に見える成果がないということが、そんなに凄いことなのか、だれも文句をつけられないほど立派で、「神聖にして不可侵」だと偉ぶることができる存在なのか?
国史教科書研究所の金柄憲(キム·ビョンホン)所長(反日銅像真実糾明共対委・共同代表)は、30年間も活動を行って何の成果もないというのは、運動の目標と手段がそもそも間違っていたからだとして次のようにいう。
(以下引用)「問題は二つある。真に目的とするところが何か分からない。慰安婦問題の解決が目的なのに、何も解決できないのには理由がある。第1は目標設定が間違っていたこと。日本に対して慰安婦問題を解決するために謝罪しろ、賠償しろというが、それが間違っていた。その目標、主張が正しかったのであれば、30年間も解決できないというのは、この人たちが相当無能だということだ。目標はギネスに載ることか、あるいは最初から目標の方向が間違っていたかだ。日本に謝罪や補償を求めるのなら、毎週、日本大使館の前に来てデモして寄付金をもらうのではなく、外交的な努力をしなければならない。
第1に日本に謝罪を求めるにしても、謝罪を求めるだけの理由がない。慰安婦は軍人を相手に花代をとって春をひさいでいた。兵は慰安所の規則に従って、代価を払っていた。慰安婦は代価を得ていた。それなら何を謝罪しろ、補償しろというのか?慰安婦として働いていた人は、もともと風俗業で働いていた人か、親に売られたり、人身売買犯の甘い口に欺されて就業詐欺で連れていかれたりした人だ。そうやって人身売買犯や抱え主によって連れていかれるときは必ず親に代価を支払って連れて行く。何の補償や賠償を求めるのか?」(引用終わり)
孟子に「行有不得者、皆反求諸己」(離婁章句上)=行いて得ざる者は、皆諸(こ)れ己に反求す、という言葉がある。つまり行動によって成果が得られない場合は、その原因を他人ではなく自分にあると反省して、自ら改善しなさいという意味だ。
漢文学の専門家でもある金柄憲(キム·ビョンホン)所長はこの言葉を引いて、次のような結論を述べている。
(引用)「『反求諸己』というのは結局、慰安婦問題の解決方法は『己』=私たちにあるということになる。私たちの国自身の問題、日本に要求したり日本に責任を問うたりすることでは絶対にない。このことを正しく理解しなければならない。今トップにいる文在寅からしてとんでもない考えをもっているからこの国は乱れているのです。日本との外交関係がめちゃくちゃです。完全に断崖絶壁の崖っぷちです。この慰安婦問題の責任、この問題の加害者は貧しかった朝鮮、貧しかった父母、そしてそれを利用して女性達を性の商品化をした人身売買犯や抱え主であったことを私たちは知らなければなりません。」
以上の発言は、チャンネルfujichan「韓国の良心銅像撤去シリーズ Part17」
<国史教科書研究所 金柄憲所長の「漢字で紐解く慰安婦問題」>で見ることができる。慰安婦問題を考える人たち皆の必見の講演である。