シンクタンクとは何か 政策企業力の時代 船橋洋一
シンクタンクとは何か 政策企業力の時代 船橋洋一 中央公論
新たな時代を切り開くために、求められていることとは?
シンクタンクという言葉に馴染みがない日本人は多い。日本ではシンクタンクという言葉は一般的ではないだろう。欧米、特にアメリカでは多くのシンクタンクが存在し、NPOやその他団体とともに社会において重要なファクターを担っている。では、シンクタンクの役割とは何なのか。それは、民間の立場から政策の形成過程に積極的に関与することだと私は思っているし、大きく間違ってはいないだろう。国民に選ばれた国会議員や公務員である官僚とは異なる視点から、国益に資する研究、分析、提言を行い、政策に関して意見する。これがシンクタンクを役割である。
では、なぜ日本ではシンクタンクに存在感がないのか。それは、表立って政策に大きく関与することのできる力を持った民間のシンクタンクが存在しないからである。日本にも防衛省の管轄の防衛研究所などいくつかの有力なシンクタンクは存在する。ただ、政府の影響力が強いため、独自の研究が出来ているのかは疑問である。
このような日本のシンクタンク事情に一石を投じたのが著者の船橋洋一氏である。朝日新聞社の特派員を経て、アメリカの有力シンクタンクに勤務、その後日本にて、日本再建イニシアティブ(現アジア・パシフィック・イニシアティブ)を設立し、日本のシンクタンクのパイオニア的存在である。
日本は今、戦後最大の危機を迎えている。新型コロナの蔓延、停滞する経済、現状変更を試みる隣国、多くの問題を考えるうえで日本にはシンクタンク、そしてそれを担う政策起業家という存在が求められている。
はじめに
第1章 時代がシンクタンクをつくり、シンクタンクが時代をつくる
第2章 米国シンクタンクの政策企業力
第3章 ポピュリズムの時代に
第4章 進化と多様性
第5章 中国とロシアのシャープ・パワー
第6章 政策起業家たちの素顔
第7章 日本の課題 公共と公共政策を政府と民間でともにつくる
おわりに
主要参考文献・資料」
※画像はAmazonから引用