#CNN - 日本 #中年童貞 増加 その背景は !?
「CNN」様よりシェア、掲載 ありがとうございます。感謝です。
日本で「中年童貞」が増加 その背景は
2015.12.27 Sun posted at 18:56 JST
東京(CNN) 1980年代、記者が独身女性として日本で暮らしていた頃、日本経済は絶好調で、デートシーンも熱かった。
流行の先端を行く女性は結婚前に処女を失うことをためらわなかった。
だが、時代は変わり、性への関心は薄れた。
先ごろ発表された政府調査によると、「面倒くさい」などとして、恋愛相手を必要としない傾向が拡大。
20~30代の日本人の40パーセント近くは異性関係を持っていない。
2010年に行われた調査でも、30代で独身の日本人男性のうち4人に1人が童貞だとされている。
女性に関する数値も、これをわずかに下回っているに過ぎない。
世界で最も高齢化が進んでいる日本にとって、性への無関心の広がりは憂慮すべき事態だ。
少子化により将来、経済的な活力を維持できなくなるとの懸念も広がっている。
日本で増え続ける童貞の中年男性を刺激するため、ヌードデッサンの教室が開かれていると知った時、記者は半信半疑だった。
30~40代になっても性体験がないのであれば、裸婦をスケッチするだけでは焼け石に水ではないかと思ったのだ。
だが、取材に応じた41歳の童貞男性サカイタカシ(仮名)さんによると、この教室は本物の女性の裸に最も近づいた経験になったという。
ヌードデッサンの教室は東京で2カ月に1回、非営利団体(NPO)の「ホワイトハンズ」が開催している。
サカイさんは「私の場合は、女性と親密になる機会がなかった。
いつか自然にそういった場面が訪れるものと考えていたが、結局、一度もなかった」と話す。
「ホワイトハンズ」の代表理事である坂爪真吾氏は、童貞の中年男性について、現実の女性と接した経験に乏しいと指摘。
女性の裸体を見る時間を設けるのが問題解決への第一歩になるという。
同氏はまた、「日本社会では、アニメ、漫画、ゲームなど、恋愛やセックスの他にも娯楽があふれている」とも指摘。
痛みや苦悩を伴わない娯楽が優先された結果、恋愛やセックスを必要としなくなった。
完璧な異性関係があり得るという幻想に加え、日本社会特有の失敗への恐怖感が相まって、深刻な社会問題に発展。
異性関係の減少や出生率の低下、人口減少につながったという。
前述のサカイさんは教師であり、登山家でもある。
童貞というだけなく、女性と付き合ったこともキスをした経験もないが、デッサン教室が助けになっている。
童貞であることは長年、周囲に秘密にしてきた。
だが、それは問題を見て見ぬふりをしていたに過ぎなかったという。
記者には6歳の息子がいる。
子どもの成長を目にするにつけ、将来の日本が果たして良い環境なのかどうか、考えざるを得ない。
今の少子化傾向が続けば、2060年、息子が私と同年齢になる頃には日本の人口は30%以上減少する。
5人に2人は65歳以上になる計算だ。日本は活力ある社会を維持できるのだろうか。
記者が社会に出てから27年間で、セックスや異性関係に対する日本人の見方は劇的に変化した。
バブル経済のただ中にあった80年代、25歳以上の未婚女性は「クリスマスケーキ」と呼ばれていた。
旬の季節が終われば捨てられるという意味だ。
90年代には「年越しそば」に変化。
「年越しそば」も大みそかが過ぎれば、やはり廃棄されてしまう。
今日では、こういった古い流行語は一笑に付されることが多い。
20年にわたる経済停滞により、日本人男性は経済的に去勢された。
妻や子どもを養うだけの給料を得られる会社に就職できる見通しは少ない。
坂爪氏よれば、経済的地位や収入は自尊心と密接に結びついている。
収入の減少が自尊心の低下につながり、「自尊心が低下した結果、恋愛関係に本腰を入れることが難しくなった」という。
サカイさんは今、ホワイトハンズの教室で自身の体験をオープンに共有している。
周囲に打ち明けることで、自分は一人ではないと気づくことができると指摘。
「性欲が欠如しているかのような生活を送っている人が非常に多い。自分の体験から、こういった人々は静かに増加していると感じる」と話す。
童貞を捨てる希望を持ち続けているというサカイさんだが、焦りはない。
「童貞について話すことができるようになり、気分は楽になった。話すことで、無理に変化を求めるのではなく、現状を認識することが重要なのだと気づいた。まだ諦めてはいない」