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KANGE's log

映画「ランボー ラスト・ブラッド」

2020.07.03 11:45

1作目の原題が「ファーストブラッド」ですから、本作はそれと対になるということで、本当の完結を迎えるということでしょうか。4作目が「最後の戦場」で、どう考えても完結編っぽいエンディングだったので、本作が上映されると知ったときには「えー? 最後じゃなかったんかーい!」と突っ込みを入れたくなりましたが、確かに前作が「最後の戦場」ではありました。つまり、本作の舞台は戦場ではなかったのです。

「最後の戦場」で、ようやく故郷アリゾナに戻ったランボーは、養女ガブリエラとその祖母とともに、牧場を営んでいます。スーパーボランティアとして災害救助なんかもしています。ガブリエラに乗馬と調教を教え、また彼女の進路に悩むという「普通の家族の生活」を手に入れたように見えるのですが、一方で、牧場の地下に広大な地下トンネル網を掘っていたりします。地下トンネルといえば、彼の兵士としての原点であるベトナム戦争で、敵であるベトナム軍が張り巡らして、ゲリラ戦を展開したことで有名です。ベトナム戦争の象徴のようなものを自宅地下に再現するというのは、かなり異常な行為です。彼が、本当の意味で安息を手に入れたわけではないということが想像できます。

ガブリエラが自分を捨てた実父に会うためメキシコに渡ったところで、人身売買カルテルに誘拐され、ランボーは救出に向かう…という展開。

ここで、「今回は、カルテルの私設軍隊を相手に、ガブリエラ奪還作戦か、ふむふむ」と思って見ていると、「え?」というような展開になっていきます。それにしても、今回、敵がしょぼい。本物のメキシコのマフィアって、政治や行政にも食い込んで、市民から税を巻き上げたり、本当にその地域を支配していると聞いています。映画の方がマイルドになってどうするんだ?とは思いました。マルティネス兄弟は、ごくごく末端ということでしょうか。ドラッグでラリっているような私設軍隊など、ランボーの敵ではありません。

なんだかんだあって、今度はランボーが罠を仕掛けて敵を待ち構える形になります。

これはもう「ランボー/怒りのホームアローン」です。

もちろん、敵は「アイロンで顔面をじゅーーっ!!」程度では済まされません。こういった引き寄せての罠は、ベトナム戦争でベトコン側がアメリカ軍に仕掛けてきたもの。1作目でも山に逃げ込んで、いろいろな罠を仕掛けて追っ手である保安官たちを逆に追い込んでいましたね。あの時は何もない山の中でサバイバルナイフ一本でしたが、今回は周到に準備していますから、仕掛けの規模と破壊力が比べ物になりません。

しかし、単純に敵を全滅させることが目的であれば、わざわざ接近戦、格闘戦に持ち込む必要はありません。待ち構えているのですから、爆弾を仕掛けておいて、近づいてきたところで「ドン!」で終わりです。わざわざおびき寄せて、恐怖を味わせて、痛い目にあわせた上で、殺していきます。つまり、彼は私怨を晴らすために戦っているのです。これは「初めて自分のために戦っている」とも言えるのではないでしょうか。

気になったのは、カルメンとのエピソードが少なく、彼女が単に話を都合よく進めるための道具にしか使われていないというところ。まあ、その前のカルテル側の行動も疑問ではあります。輩の常道としては、ランボーの目の前でガブリエラにあんなことやこんなことをして、見せつけるところでしょう。彼を拘束していない状態で目を離すなんてことはありえません。

トラップの準備を始めた頃から「こういうラストシーンだったら、泣いちゃうな」と思いながら見ていたら、そこは肩透かしをくらってエンドロール。でも、エンドロール中に、想像に近いラストシーンが織り込まれていました。やはり、裏切らない! 

そして、結局「何も終わっていない」彼は、なんならラストブラッド・シリーズでも展開するのではないかと思ってしまいます。