チネリの鉄フレーム「Vigorelli Track Steel (ヴィゴレッリトラックスチール)」
「チネリ」というブランド
イタリアの老舗自転車メーカーとして名高い、「チネリ」。
もともとは"チーノ・チネリ"が興した自転車メーカーであり、経営者が変わってもなお"チネリ"の名を残して現在に至る。
競技機材/道具としてのモノづくりをしながらも、独創的なデザインやアート性は「チネリらしさ」を前面に感じさせ、性別/年代の垣根なく多くのファンを魅了する。
サンフランシスコのピストクルー「MASH」とのコラボも鮮烈で【ストリートピスト】としてもブランド性を確立。
一方で今もなお、伝統的なラグ組の美しいフレーム、"スーパー・コルサ"のラインナップもあり、ハイエンドなメーカーとして認知されている。
と、お堅く語りたくなるブランドですが。
純粋に良いモノづくりをするイタリアの自転車ブランド。それがチネリなんです。
先の「MASH」とのコラボが有名で、もっかピストのイメージも定着してきていますが、ピストだけではなく、もちろんロードバイクを始めとしてスポーツ自転車を多数リリースしています。
チネリの鉄ピスト
スーパーコルサ・ピスタ
そんなチネリですが、鉄(スチール)素材のピストフレームを今でも展開します。
高級志向/ハイエンドなピストフレームは、やはり"スーパーコルサ・ピスタ"ですね。
画像:Hakkle(ハックル)様のWEBサイトより抜粋
フレーム販売で¥300,000-以上(!)
伝統的で繊細なラグ組のフレーム。フルオーダーではありませんが、サイズオーダーが可能なため、自身の体に合ったサイズを手に入れることが出来ます。
競輪(NJS)フレームと同じく、細い鉄のシルエットが芸術的。
GAZZETTA(ガゼッタ)
他には、エントリーモデルにも最適な"GAZZETTA(ガゼッタ)"
画像:BROTURES(ブローチャーズ)様のWEBサイトより抜粋
TUTTO(トゥット)
拡張性が高くどんなカスタムも実践できる、"TUTTO(トゥット)"
画像:Cinelli Japan様のWEBサイトより抜粋
この辺りが現行でも人気の高いモデルでしょうか。
Vigorelli Track Steel (ヴィゴレッリトラックスチール)
毎度ながーい前置きですが笑
今回特集したかったのがこのフレーム。「Vigorelli Track Steel(ヴィゴレッリ・トラック・スチール)」。名前からしてかっこいいっす。
画像:Cinelli Japan様のWEBサイトより抜粋
高いBBハイトの設計で、フィックスギア・クリテリウムなどレースでの使用を想定して設計された、"鉄"のフレーム。
フレーム素材はもちろんクロモリで、「コロンバス」のパイプ「スロン」を使用。ぱっと見太めのパイプながら、しっかりと薄く軽量に作られているため、指ではじくと「カンカン!」とアルミの様な硬質で高い音が響きます。
フォーク素材は同じく「コロンバス」のカーボンフォークを採用。
若干ボリュームのある見た目の鉄フレームながら、Mサイズで【フレーム単体重量:約1900g】と軽量。
また、塗装も美しくラメがあしらわれ、NJSピストに通じるような印象もあります。
フォークエンド、リアエンド、BBの幅やネジ切りなども、現行で主流の規格のため、一般的なピストパーツの装着が可能。
レースに特化して組むもよし、カスタムベースとして初心者でも気軽にカスタムにトライできる、実は対応幅の広いフレームです。
Vigorelli Track Steel (ヴィゴレッリトラックスチール)をフルカスタム
カスタムの幅は広いと言いましたが、やはり老舗メーカーのレース思想が反映されたフレーム。
ハイエンドなパーツを採用することで、本質が引き出されるようにも感じます。
レース機材を取り入れつつ、街乗りも似合うカスタム。
まさにそんな方向性のカスタムを実践した一台をご紹介。
まずは全体のイメージをご覧ください。
イメージ撮りにつき、意向により前後ブレーキは撮影時のみ取り外しております
各部を見ていきましょう。
先ずはハンドル回りです。
ハンドル回り(ステム/ハンドル)
あくまでも街乗りの快適性を重視するため、"ハンドル"は安定感のあるライザーバーを選択。
ハンドルとフォークをつなぐ"ステム"には、安定の「トムソン」を。
一般的なオーバーサイズ(クランプ径:31.8)のハンドルに使用できる、信頼の一点です。
>>【トムソンのステム】に関する過去記事01<<
>>【トムソンのステム】に関する過去記事02<<
「こんなに薄いハンドルグリップ有るの??」
と思われでしょう。
正体はなんと、タイヤチューブです。
タイヤチューブを装着したい範囲の幅に合わせてカットして、ハンドルバーに装着しています。これが中々のグリップ感。見た目もすっきりシンプルに仕上がるので、一度試してみる価値はあります!
石けん水で軽くハンドルを濡らしてから装着するとやり易いです。
足回り(クランク/ペダル)
"足回り"は、耐久性とメンテナンス性に優れたダイレクトクランクを。
また、ペダルに注目です。
ペダル、ペダルストラップともに【NJS】の競輪認定モデルを使用。
三ヶ島のペダル「RX-1」は、メーカーが「最高級の回転性能」を謳うだけあり、本当に軽くよく回ります。一点一点が手作業で調整されており、さすが国産ペダルの三ヶ島。
三ヶ島ペダルに合わせるストラップは、併せて三ヶ島の【NJS】ダブルタイプ。
固定力と耐久性において、ばつぐんの信頼のあるストラップです。
>>三ヶ島ペダル、NJSストラップに関する過去記事 01<<
>>三ヶ島ペダル、NJSストラップに関する過去記事 02<<
ホイール
ピストの印象を決定するといっても過言ではない"ホイール"は、前後共に「CORIMA(コリマ」。
フロントはカーボンバトン、リアはカーボンディープリム仕様。
鉄素材フレームにしても元々軽量なヴィゴレッリ・スチールに、前後カーボンホイールを装着。完成車状態での軽量化に大きく影響しています。
前後でデザインが異なるホイールを装着するときは、この例のように"リムハイト(←ホイールの外周、円の部分の高さ)"を揃えることでまとまった印象になりますね◎
ブラック&ホワイトのカラーリングが、フレームに嫌味なくマッチしています。
サドル
スポーツサドルは硬い、痛いのイメージがつきものです。
なかなか気軽に交換することは無いパーツかもしれませんが、ぜひご参考にしていただきたいのがこのサドル。
「サンマルコ コンコールレーシング カレラ」。
れっきとしたレーシングサドルですが、程よい厚みとクッション性があり、意外にもフィットしやすい一点です。
上から見ると、実は"コンドル"がいます笑
「チネリ」の鉄フレームは街乗り/ストリートにもおすすめ
今回のカスタム例は、ホイールを中心にハイエンドパーツで構成されており、正直カンタンにマネできるものでもありません。
しかし、全体的なパーツのバランスや色合わせは、ぜひ取り入れたいアイデアが詰まっています。
ピストバイクの一つのカスタム例として、ぜひ一人一人のカスタムのヒントにしていただければと思います!
ところで「チネリ ピスト」などで検索すると、本当にたくさんのカスタム例が出てきます。
中には今回紹介した鉄フレームでの例も多くあり、それこそ街乗りに特化したカスタムを実践した例も多くあります。
レースシーンだけではなく、いかに街乗りでも多くの支持を得ているかがお分かりいただけると思います。
もし鉄(スチール)系素材でのピストフレームを探しているなら、ぜひ「チネリ」も検討してみては。
▲おまけ:こっちは"アルミ"のVigorelli。鮮やかなシグナルレッドが印象的な「SHARK」。
miki