エピファニーの冒険物語
原作Yutan
絵 Yutan
ミックスフォト saison
この物語は、
Yutanが実際に体験した不思議な不思議な物語をもとに作りました。
実在する人物。架空の人物。さまざまです。
実際の場所の写真。架空の場所。
現実と空想の入り混じった世界を
お楽しみください。
あなたの元にも
運命の変わる1枚の葉書きが
届くかも知れませんね。
ゆうたん
エピファニーの冒険
〜序章〜
ガサゴソ ガサゴソ
ガタガタ ゴトゴト
カチャ… 「ふぅ、やっと出られた」 「ぼくはヨギー。
なんだってできるヘンテコなくまさ。
みんなは、ぼくのことを
創作屋のヨギーと呼ぶんだ。」
・
・
「ぼくは今、
冒険が好きな女の子エピファニーの
トランクの中に住んでいるんだよ。
・
トランクの中には、他の人が見ると
ガラクタにしか見えないものが
たくさんある。
でも、これはすべて
エピファニーの大切な宝物なんだ。
・
ぼくには、
トランクの中がせまいのが、
悩みだけどね。」
・
「ん?エピファニーかい?
彼女は、いつだって一生懸命さ。
本当なら、生きられなかった命を
生きているからね。
・
でも、頑張りすぎることがあってね。
もっと力を抜いて生きてほしいと
願っているんだ。
・
これから旅をする中で
エピファニーの心も少しずつ
柔らかくなっていくんだろうね。」
・
「ぼくとエピファニーは、
道の片隅で出会ったんだ。
雨と泥で汚れていたぼくを、
エピファニーは
『安心してねもう大丈夫だよ』
と言って、ぼくをきれいにしてくれたんだ。
・
彼女はこうして出会う人の心に火を灯し、
生きる希望と勇気という
贈りものをしているんだ。
・
ぼくの役目は、エピファニーが
いつも楽しく生きられるように
おしゃべりしたり、笑わせたりすることなんだ。」
・
「おっと。
そろそろ旅の準備ができたようだね。
どんな出会いがあるのかなぁ。
楽しみだね。では、また。」
・
そして、ヨギーは
再びエピファニーのトランクの中に
潜り込んで、ぐぅぐぅと眠り始めました。
・
〜第1章〜「不思議なハガキ」
・
エピファニーは、ミシルク星という
迷いの世界を漂う人たちに、夢や希望を
知ってもらいたいと思う女の子でした。
・
苦しんでいる人に出会えば
「大丈夫だよ」と声をかけ、
・
涙を流す人に出会えば
「そんなこともあるさ」となぐさめて
毎日毎日、朝から晩まで
心の話をして
忙しく過ごしていました。
・
・
・
そんなある日のこと。
エピファニーのもとに、
1枚のハガキが届きました。
・
2年も前に気まぐれで行った
月のしずく社からのハガキでした。
・
そこには、こう書かれていました。
『はじめまして ジュンルーナと申します
以前受けた
「あなたのこれからを
知ることができる検査」の診断がでました
ドボボン村のパピブペポ町の
壺の井戸の、大麦を食べるロバが目印です
お待ちしております』
診断を受けたことを
すっかり忘れていたエピファニー。
・
"本当は何をしたいのか"を
考えていたところだったので、
「ちょうどいい!おもしろそう!」と
電話することにしました。
トゥルルルル トゥルルルル 「はい、月のしずく社 ジュンルーナです。
あなたのお名前が気になって
私がハガキをお送りしました。
お会いできることを楽しみにしています。」
・
電話の向こうから
穏やかなジュンルーナの声がしました。
・
診断結果はふつう1ヵ月でわかるもの。
2年もたった今、連絡が来るなんて
エピファニーは、どうしても不思議で
なりませんでした。
・
・
・
「おかしいな」と思いながらも
エピファニーは、約束の日を迎えました…
「おかしいな」と思いながらも
エピファニーは、約束の日を迎えました。
・
マッチ箱のような
不可思議な古ぼけた扉に
すぅっと引き寄せられるように、
エピファニーはその扉を開けました。
すると、そこに女仙人イチがいました。
ミシルク星で100年
ヒカリ星で100年
富も名誉も手に入れた末、
すべてを手放した200歳になる仙人です。
・
エピファニーの姿を見るなり
「あなたの好きな花を選び、
あなたが心地よく感じる水を与えよ。
それがあなたに向いておる」
とつぶやきました。
・
そして、女仙人イチはニヤリと笑い
スッと奥に消えていきました。
・
エピファニーは、
背中がゾクゾクッとしました。
しばらくすると、ジュンルーナが
穏やかな声で「ようこそ。」と
エピファニーを笑顔で迎えてくれました。
・
「あなたは、ご自分の好きなことが
わかりますか?
私は、龍の髭でできた
弦をつまびくことが好きです」
・
ジュンルーナは、そう話し、
エピファニーが見たこともない楽器を
演奏し始めました。
・
あまりにも美しく、優しい音色に
エピファニーは思わず
ジョンルーナの奏でる音に合わせて
歌を口ずさみ始めました。
・
エピファニーの歌声を聴いたジュンルーナは
突然、演奏を止めてしまいました。
・
ジュンルーナは顔色を変え、
「エピファニー!
あなたに会わせたい人がいるの!」と言い、
慌てた様子で、姿を消してしまいました。
1時間待っても2時間待っても
ジュンルーナは戻ってきません。
・
もうあきらめて帰ろうとしていると、
すうっと風が吹きぬけました。
すると、エピファニーの目の前に
それはそれは美しい虹色の波の翼を持つ
妖精が現れました。
・
星くずのかけらを焼き固めた笛を奏でる
その妖精は、ユミリナと名乗りました。
ユミリナの笛の音色は、
人々に希望と勇気を与えていました。
・
ミシルク星のいたずらで、
笛を吹けなくなっていたユミリナ。
・
ユミリナの情熱が奇跡を起こし、
ふたたびその音色を取り戻したのでした。
・
・
エピファニーがユミリナの姿に
うっとりしていると、
ジュンルーナがエピファニーに言いました。
・
「エピファニー、あなたの歌声は
ユミリナの音色と同じものを持っています」
・
それもそのはず。
エピファニーもミシルク星のいたずらにより
20年もの間、動けない体になったことが
あったのでした。
・
そう、エピファニーもまた、
奇跡を起こした1人なのです。 ・
ジュンルーナは続けました。
「あなたの本当に好きなこと、
わかりましたか?」
・
エピファニーは、自分に問いかけました。
「私は何がしたいの?」
「私は何が好き?」
・
エピファニーが答えようとしたとき、
不思議な言葉を話す生物ノビーが
割って入りました。
・
「@%a'wg2M¥☆%4<○
¢2€☆○5*わ&g÷6c◇」
・
英語でもフランス語でも日本語でもない
その言葉はジブリッシュという言葉でした。
エピファニーは、ノビーの言葉が
「縁にお任せして
新しく出会う人たちと
旅に行かないか?」
と言っているように感じました。
・
エピファニーはすぐに
「2€☆○5*#わ&g÷6c is◇」
と笑顔で応えました。
・
エピファニーの答えを聞いたノビーは、
目を細めて微笑みました。
・
こうして、エピファニーは
1ヵ月後、ミシルク星からアフアブ島へ
旅立つことになりました。
〜第2章〜
「アフアブ島物語」
・
アフアブ島には、魔法で建てられた
大きな大きなお城がありました。
・
お城には、ジョーク好きで料理上手な
大きな大きなフランキー王と、
世界中を旅した美しいチエミー王妃、
召使いのナッチャが暮らしていました。
・
今日から、エピファニーたちは
この不思議の城で
過ごすことになりました。
アフアブ島に着いた1日目。
・
旅をともにする仲間や、
ミシルク星では見たことのない動物たちと
森のお庭で、
賑やかで楽しい時間を過ごしました。
・
すると、
「エピファニー、歌ってよ」と
突然言われました。
・
歌の苦手さを克服しようと
森の木々や動物たち、仲間に見守られながら
歌を歌いました。 ・
つづく
・
過ごすことになりました。
・
「やっぱり上手に歌えない」
「私の声は変だもの」
席に戻ったエピファニーは、
すぐにうつむいてしまいました。
・
顔を上げようとしないエピファニーに
旅仲間の1人、龍遣いのエディーが
語りかけました。
・
「ぼくは、自分の名前が
好きになれなかったけれど、
ある歌を聴いて好きになれたんだ。
歌は、ここの気持ちだけだよ」
と、自分の胸に手を当てました。
・
そして、エディーは、その歌を
エピファニーに聴かせてくれました。
・
エディーが教えてくれた歌を聴いていた
エピファニーの目から、
突然大つぶの涙があふれ始めました。
・
エピファニーもまた、
エディーと全く同じ理由で
自分の名前を好きではなかったのです。
・
この涙は、エピファニーの心の傷を
ひとつ溶かしました。
・
そして、笑顔が戻ったエピファニーに、
エディーは、宙を舞うことを
「山や海、空、自然と繋がるんだ!」と
優しく伝えてくれました。
アフアブ島での2日目の朝。
キウイの種を1粒ずつ紙に貼って絵にする
キウイ氏という宇宙人が
「生きるを伝える」講演会
をしているというので、
旅仲間と一緒に観に行くことにしました。
・
エピファニーは、
絵と講演会をしているなんて
自分と同じことをしている人が
いるのだと、嬉しく思いました。
・
講演会の会場には、
たくさんの人が集まっていました。
大きな壁に囲まれ窓のない会場は、
どことなく暗く、少し不気味な感じを
漂わせていました。
・
まもなくキウイ氏が登場すると、
その途端に歓声がわき起こりました。
・
キウイ氏が話すたびに、
客席にはすすり泣く人、
体をふるわせ嗚咽をもらす人がいました。
・
「安心して、大丈夫ですよ」
キウイ氏の声が会場にこだまします。
・
キウイ氏の存在は
アフアブ島の住民の
大きな心の支えだったのです。
・
キウイ氏市の講演会の光景を
目の当たりにしたエピファニー は、
顔色が青ざめていきました。
・
「私がしてきた講演会は、
ミシルク星のみんなを
依存させてしまっていたのか……」
「何のために講演会をしていたのだろう」
・
急に胸が苦しくなり、
悲しさがこみ上げてきたエピファニーは
その場に倒れ込んでしまいました。
・
その晩、ヨギーは
眠り続けるエピファニーに、
ひと晩中付き添いました。
・
「大丈夫だよ〜大丈夫だよ〜」
ヨギーは歌で励まし続けました。
・
エピファニーはこの時、
講演会をやめると
心に決めていました。
その翌日
フランキー王とチエミー王妃が
お城でパーティーを開くことにしました。
・
旅の仲間たち、アフアブ島の住民を迎え、
盛大なパーティーが開かれました。
テーブルの上には、フランキー王が作った
美味しそうな料理がたくさん並びました。
・
そんな中、参加者が次々と
舞台で人々を楽しませています。
・
ノビーはジブリッシュを、
エディーは宇宙を舞うことを、
ヨギーは得意技のチョキチョキを、
そして、エピファニーは
最後だと決めて講演会をしました。
・
パーティーも終盤。
旅仲間のミコミコが、舞台に上がりました。
そして、目を閉じたまま歌い始めたのです。
・
♫「ちくわちくわちくわちくわ〜ちくわ〜」
♫「キャベツにニンジン〜」 ・
ミコミコの歌を聴いたエピファニーは、
雷に打たれたように、衝撃を受けました。
・
「そうか!これだ!これでいいんだ!」
・
そのまんま飾らず
ミコミコが楽しそうに歌うことで
お城の中にいる人たちはみんな
笑顔になっていました。
・
共に旅する仲間たちはみんな
自分が好きなことをして
チカラを抜いて生きていて、
自分が好きなことを通して
人を笑顔にしているんだ。
・
エピファニーは
そのことに
気づいたのでした。
・
その日の夜、エピファニーは、
「今まで趣味で書いていた詩を歌おう」と
思い立ちました。
それがエピファニー自身そのままの姿だと
安心してベットに入りました。
・
月が高く昇り始めたころ、
突然、エピファニーは、
足がちぎれそうなほど
ひどくズキズキと痛みを感じました。
・
慌てて飛び起き、パッと布団をめくると、
大きな大きなムカデが、
エピファニーの足にくっついていました。
・
エピファニーが「ギャー!」と叫びながら
みんなの元へいくと、
ノビーが
「#m'a.2.☆○+6〒07*★◇_a"v?p」
と言いながら、
見るからに怪しい、宇宙から集めたと言う
黒い粉を傷口に乗り込んでくれました。
・
すると、不思議不思議。
痛みはその場で消えていき、
荒れることも痛むこともありませんでした。
・
その後、エピファニーは
みんなに見守られながら眠りました。
・
そして翌朝、エピファニーは
メモにペンでらくがきをしながら
生まれて初めて作曲をしました。
タイトルは「ムカデのうた」
・
この時、1年後に「ムカデのうた」を
たくさんの人の前で歌っているなんて、
誰も想像がつきませんでした。
朝食を食べた後、仲間たちと
アフアブ島奥深くにある
湿地帯に向かいました。
・
そこでフラダンスの神様ミイラニ夫婦から
教えてもらった民族楽器にふれ合いました。
・
見たことのない楽器が、
そこかしこに置いてありました。
・
楽譜も指揮もありません。
それぞれが思い思いに音を鳴らしても
音が音をつなぎ、人と人をつないで
1つの音楽になることを体験しました。
・
それはそれは楽しい時間を過ごしました。
音楽にふれる日が続いた5日目。
エピファニーは、アフアブ島の中心にある
神聖なテンポーという場所に向かい、
番人のノリクマに挨拶しました。
・
そこで、急にミコミコが
「えびすきっぷ♫えびすきっぷ♫」という歌を
みんなの前で歌いはじめました。
・
エピファニーは、ミシルク星では、
静かにするべき場所だと教わっていたので、
ミコミコの歌に驚きました。
・
しかし、自由に楽しく歌うミコミコの歌声は、
エピファニーの歌うことへの怖さを
少しずつ溶かしていったのです。
・
テンポーの番人ノリクマも
「この神聖な場所で歌い、絵を飾ればいいよ」
と、言いました。
・
エピファニーはその言葉に夢をふくらませ、
歌を口ずさ見ながらお城にもどりました。
アフアブ島で過ごす最後の日。
エピファニーはアーラモナ市場にいました。
・
すると、彼女の頭の中に突然、
「アフアブ島の石が欲しい」と
思い浮かびました。
・
目の前でお話をしていた
アフアブ島のエミーが
「そうだエピファニー。
これ、あげる。
エピファニーを開花させる石だよ」
と、そっと手に乗せてくれました。
・
エピファニー はこの時、
アフアブ島のエミーと
ミシルク星で数年前に亡くなった
親友エミーが重なって見えた気がしたのです。
・
エミーからもらった石を大切に持ち帰り、
トランクの中にそっと入れました。
・
こうして、エピファニーたちは
1000日分の濃さのアブアブ島の旅を終え、
ミシルク星に帰ることになりました。
新たな夢と希望を胸に……。
・
さてさて、アフアブ島で
エピファニーを見守っていたヨギー。
トランクの中で何やら声がします。
・
「アフアブ島で
チカラを抜いてやんわり生きることに
気づいたエピファニー。
・
光輝き始めて、またステキになったよ。
ミシルク星に着けば、
新しい出会いがたくさん待ち受けている。
・
次はどんな冒険になるのかな。
ぼくもワクワクするよ!」
・
そう話すと、トランクの中で
ふたたびぐぅぐぅと居眠りを始めました。
・
エピファニーの冒険はまだまだ続きます。