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Yutanの森 

エピファニーの冒険物語

2020.07.02 12:01

原作Yutan

絵 Yutan

ミックスフォト saison

この物語は、

Yutanが実際に体験した不思議な不思議な物語をもとに作りました。

実在する人物。架空の人物。さまざまです。

実際の場所の写真。架空の場所。


現実と空想の入り混じった世界を

お楽しみください。


あなたの元にも

運命の変わる1枚の葉書きが

届くかも知れませんね。


ゆうたん


エピファニーの冒険

〜序章〜

ガサゴソ ガサゴソ

ガタガタ ゴトゴト

カチャ… 「ふぅ、やっと出られた」 「ぼくはヨギー。

なんだってできるヘンテコなくまさ。

みんなは、ぼくのことを

創作屋のヨギーと呼ぶんだ。」

「ぼくは今、

冒険が好きな女の子エピファニーの

トランクの中に住んでいるんだよ。

トランクの中には、他の人が見ると

ガラクタにしか見えないものが

たくさんある。

でも、これはすべて

エピファニーの大切な宝物なんだ。

ぼくには、

トランクの中がせまいのが、

悩みだけどね。」

「ん?エピファニーかい?

彼女は、いつだって一生懸命さ。

本当なら、生きられなかった命を

生きているからね。

でも、頑張りすぎることがあってね。

もっと力を抜いて生きてほしいと

願っているんだ。

これから旅をする中で

エピファニーの心も少しずつ

柔らかくなっていくんだろうね。」

「ぼくとエピファニーは、

道の片隅で出会ったんだ。

雨と泥で汚れていたぼくを、

エピファニーは

『安心してねもう大丈夫だよ』

と言って、ぼくをきれいにしてくれたんだ。

彼女はこうして出会う人の心に火を灯し、

生きる希望と勇気という

贈りものをしているんだ。

ぼくの役目は、エピファニーが

いつも楽しく生きられるように

おしゃべりしたり、笑わせたりすることなんだ。」

「おっと。

そろそろ旅の準備ができたようだね。

どんな出会いがあるのかなぁ。

楽しみだね。では、また。」

そして、ヨギーは

再びエピファニーのトランクの中に

潜り込んで、ぐぅぐぅと眠り始めました。



〜第1章〜「不思議なハガキ」

エピファニーは、ミシルク星という

迷いの世界を漂う人たちに、夢や希望を

知ってもらいたいと思う女の子でした。

苦しんでいる人に出会えば

「大丈夫だよ」と声をかけ、

涙を流す人に出会えば

「そんなこともあるさ」となぐさめて

毎日毎日、朝から晩まで

心の話をして

忙しく過ごしていました。

そんなある日のこと。

エピファニーのもとに、

1枚のハガキが届きました。

2年も前に気まぐれで行った

月のしずく社からのハガキでした。

そこには、こう書かれていました。

『はじめまして ジュンルーナと申します

以前受けた

「あなたのこれからを

知ることができる検査」の診断がでました

ドボボン村のパピブペポ町の

壺の井戸の、大麦を食べるロバが目印です

お待ちしております』


診断を受けたことを

すっかり忘れていたエピファニー。

"本当は何をしたいのか"を

考えていたところだったので、

「ちょうどいい!おもしろそう!」と

電話することにしました。

トゥルルルル トゥルルルル 「はい、月のしずく社 ジュンルーナです。

あなたのお名前が気になって

私がハガキをお送りしました。

お会いできることを楽しみにしています。」

電話の向こうから

穏やかなジュンルーナの声がしました。

診断結果はふつう1ヵ月でわかるもの。

2年もたった今、連絡が来るなんて

エピファニーは、どうしても不思議で

なりませんでした。

「おかしいな」と思いながらも

エピファニーは、約束の日を迎えました…


「おかしいな」と思いながらも

エピファニーは、約束の日を迎えました。

マッチ箱のような

不可思議な古ぼけた扉に

すぅっと引き寄せられるように、

エピファニーはその扉を開けました。


すると、そこに女仙人イチがいました。

ミシルク星で100年

ヒカリ星で100年

富も名誉も手に入れた末、

すべてを手放した200歳になる仙人です。

エピファニーの姿を見るなり

「あなたの好きな花を選び、

あなたが心地よく感じる水を与えよ。

それがあなたに向いておる」

とつぶやきました。

そして、女仙人イチはニヤリと笑い

スッと奥に消えていきました。

エピファニーは、

背中がゾクゾクッとしました。


しばらくすると、ジュンルーナが

穏やかな声で「ようこそ。」と

エピファニーを笑顔で迎えてくれました。

「あなたは、ご自分の好きなことが

わかりますか?

私は、龍の髭でできた

弦をつまびくことが好きです」

ジュンルーナは、そう話し、

エピファニーが見たこともない楽器を

演奏し始めました。

あまりにも美しく、優しい音色に

エピファニーは思わず

ジョンルーナの奏でる音に合わせて

歌を口ずさみ始めました。

エピファニーの歌声を聴いたジュンルーナは

突然、演奏を止めてしまいました。

ジュンルーナは顔色を変え、

「エピファニー!

あなたに会わせたい人がいるの!」と言い、

慌てた様子で、姿を消してしまいました。


1時間待っても2時間待っても

ジュンルーナは戻ってきません。

もうあきらめて帰ろうとしていると、

すうっと風が吹きぬけました。

すると、エピファニーの目の前に

それはそれは美しい虹色の波の翼を持つ

妖精が現れました。

星くずのかけらを焼き固めた笛を奏でる

その妖精は、ユミリナと名乗りました。

ユミリナの笛の音色は、

人々に希望と勇気を与えていました。

ミシルク星のいたずらで、

笛を吹けなくなっていたユミリナ。

ユミリナの情熱が奇跡を起こし、

ふたたびその音色を取り戻したのでした。

エピファニーがユミリナの姿に

うっとりしていると、

ジュンルーナがエピファニーに言いました。

「エピファニー、あなたの歌声は

ユミリナの音色と同じものを持っています」

それもそのはず。

エピファニーもミシルク星のいたずらにより

20年もの間、動けない体になったことが

あったのでした。

そう、エピファニーもまた、

奇跡を起こした1人なのです。 ・


ジュンルーナは続けました。

「あなたの本当に好きなこと、

わかりましたか?」

エピファニーは、自分に問いかけました。

「私は何がしたいの?」

「私は何が好き?」

エピファニーが答えようとしたとき、

不思議な言葉を話す生物ノビーが

割って入りました。

「@%a'wg2M¥☆%4<○

¢2€☆○5*わ&g÷6c◇」

英語でもフランス語でも日本語でもない

その言葉はジブリッシュという言葉でした。

エピファニーは、ノビーの言葉が

「縁にお任せして

新しく出会う人たちと

旅に行かないか?」

と言っているように感じました。

エピファニーはすぐに

「2€☆○5*#わ&g÷6c is◇」

と笑顔で応えました。

エピファニーの答えを聞いたノビーは、

目を細めて微笑みました。

こうして、エピファニーは

1ヵ月後、ミシルク星からアフアブ島へ

旅立つことになりました。


〜第2章〜

「アフアブ島物語」

アフアブ島には、魔法で建てられた

大きな大きなお城がありました。

お城には、ジョーク好きで料理上手な

大きな大きなフランキー王と、

世界中を旅した美しいチエミー王妃、

召使いのナッチャが暮らしていました。

今日から、エピファニーたちは

この不思議の城で

過ごすことになりました。


アフアブ島に着いた1日目。

旅をともにする仲間や、

ミシルク星では見たことのない動物たちと

森のお庭で、

賑やかで楽しい時間を過ごしました。

すると、

「エピファニー、歌ってよ」と

突然言われました。

歌の苦手さを克服しようと

森の木々や動物たち、仲間に見守られながら

歌を歌いました。 ・

つづく

過ごすことになりました。


「やっぱり上手に歌えない」

「私の声は変だもの」

席に戻ったエピファニーは、

すぐにうつむいてしまいました。

顔を上げようとしないエピファニーに

旅仲間の1人、龍遣いのエディーが

語りかけました。

「ぼくは、自分の名前が

好きになれなかったけれど、

ある歌を聴いて好きになれたんだ。

歌は、ここの気持ちだけだよ」

と、自分の胸に手を当てました。

そして、エディーは、その歌を

エピファニーに聴かせてくれました。

エディーが教えてくれた歌を聴いていた

エピファニーの目から、

突然大つぶの涙があふれ始めました。

エピファニーもまた、

エディーと全く同じ理由で

自分の名前を好きではなかったのです。

この涙は、エピファニーの心の傷を

ひとつ溶かしました。

そして、笑顔が戻ったエピファニーに、

エディーは、宙を舞うことを

「山や海、空、自然と繋がるんだ!」と

優しく伝えてくれました。



アフアブ島での2日目の朝。

キウイの種を1粒ずつ紙に貼って絵にする

キウイ氏という宇宙人が

「生きるを伝える」講演会

をしているというので、

旅仲間と一緒に観に行くことにしました。

エピファニーは、

絵と講演会をしているなんて

自分と同じことをしている人が

いるのだと、嬉しく思いました。

講演会の会場には、

たくさんの人が集まっていました。

大きな壁に囲まれ窓のない会場は、

どことなく暗く、少し不気味な感じを

漂わせていました。

まもなくキウイ氏が登場すると、

その途端に歓声がわき起こりました。

キウイ氏が話すたびに、

客席にはすすり泣く人、

体をふるわせ嗚咽をもらす人がいました。

「安心して、大丈夫ですよ」

キウイ氏の声が会場にこだまします。

キウイ氏の存在は

アフアブ島の住民の

大きな心の支えだったのです。


キウイ氏市の講演会の光景を

目の当たりにしたエピファニー は、

顔色が青ざめていきました。

「私がしてきた講演会は、

ミシルク星のみんなを

依存させてしまっていたのか……」

「何のために講演会をしていたのだろう」

急に胸が苦しくなり、

悲しさがこみ上げてきたエピファニーは

その場に倒れ込んでしまいました。

その晩、ヨギーは

眠り続けるエピファニーに、

ひと晩中付き添いました。

「大丈夫だよ〜大丈夫だよ〜」

ヨギーは歌で励まし続けました。

エピファニーはこの時、

講演会をやめると

心に決めていました。



その翌日

フランキー王とチエミー王妃が

お城でパーティーを開くことにしました。

旅の仲間たち、アフアブ島の住民を迎え、

盛大なパーティーが開かれました。

テーブルの上には、フランキー王が作った

美味しそうな料理がたくさん並びました。

そんな中、参加者が次々と

舞台で人々を楽しませています。

ノビーはジブリッシュを、

エディーは宇宙を舞うことを、

ヨギーは得意技のチョキチョキを、

そして、エピファニーは

最後だと決めて講演会をしました。

パーティーも終盤。

旅仲間のミコミコが、舞台に上がりました。

そして、目を閉じたまま歌い始めたのです。

♫「ちくわちくわちくわちくわ〜ちくわ〜」

♫「キャベツにニンジン〜」 ・

ミコミコの歌を聴いたエピファニーは、

雷に打たれたように、衝撃を受けました。

「そうか!これだ!これでいいんだ!」

そのまんま飾らず

ミコミコが楽しそうに歌うことで

お城の中にいる人たちはみんな

笑顔になっていました。

共に旅する仲間たちはみんな

自分が好きなことをして

チカラを抜いて生きていて、

自分が好きなことを通して

人を笑顔にしているんだ。

エピファニーは

そのことに

気づいたのでした。

その日の夜、エピファニーは、

「今まで趣味で書いていた詩を歌おう」と

思い立ちました。

それがエピファニー自身そのままの姿だと

安心してベットに入りました。


月が高く昇り始めたころ、

突然、エピファニーは、

足がちぎれそうなほど

ひどくズキズキと痛みを感じました。

慌てて飛び起き、パッと布団をめくると、

大きな大きなムカデが、

エピファニーの足にくっついていました。

エピファニーが「ギャー!」と叫びながら

みんなの元へいくと、

ノビーが

「#m'a.2.☆○+6〒07*★◇_a"v?p」

と言いながら、

見るからに怪しい、宇宙から集めたと言う

黒い粉を傷口に乗り込んでくれました。

すると、不思議不思議。

痛みはその場で消えていき、

荒れることも痛むこともありませんでした。

その後、エピファニーは

みんなに見守られながら眠りました。

そして翌朝、エピファニーは

メモにペンでらくがきをしながら

生まれて初めて作曲をしました。

タイトルは「ムカデのうた」

この時、1年後に「ムカデのうた」を

たくさんの人の前で歌っているなんて、

誰も想像がつきませんでした。


朝食を食べた後、仲間たちと

アフアブ島奥深くにある

湿地帯に向かいました。

そこでフラダンスの神様ミイラニ夫婦から

教えてもらった民族楽器にふれ合いました。

見たことのない楽器が、

そこかしこに置いてありました。

楽譜も指揮もありません。

それぞれが思い思いに音を鳴らしても

音が音をつなぎ、人と人をつないで

1つの音楽になることを体験しました。

それはそれは楽しい時間を過ごしました。


音楽にふれる日が続いた5日目。

エピファニーは、アフアブ島の中心にある

神聖なテンポーという場所に向かい、

番人のノリクマに挨拶しました。

そこで、急にミコミコが

「えびすきっぷ♫えびすきっぷ♫」という歌を

みんなの前で歌いはじめました。

エピファニーは、ミシルク星では、

静かにするべき場所だと教わっていたので、

ミコミコの歌に驚きました。

しかし、自由に楽しく歌うミコミコの歌声は、

エピファニーの歌うことへの怖さを

少しずつ溶かしていったのです。

テンポーの番人ノリクマも

「この神聖な場所で歌い、絵を飾ればいいよ」

と、言いました。

エピファニーはその言葉に夢をふくらませ、

歌を口ずさ見ながらお城にもどりました。


アフアブ島で過ごす最後の日。

エピファニーはアーラモナ市場にいました。

すると、彼女の頭の中に突然、

「アフアブ島の石が欲しい」と

思い浮かびました。

目の前でお話をしていた

アフアブ島のエミーが

「そうだエピファニー。

これ、あげる。

エピファニーを開花させる石だよ」

と、そっと手に乗せてくれました。

エピファニー はこの時、

アフアブ島のエミーと

ミシルク星で数年前に亡くなった

親友エミーが重なって見えた気がしたのです。

エミーからもらった石を大切に持ち帰り、

トランクの中にそっと入れました。


こうして、エピファニーたちは

1000日分の濃さのアブアブ島の旅を終え、

ミシルク星に帰ることになりました。

新たな夢と希望を胸に……。

さてさて、アフアブ島で

エピファニーを見守っていたヨギー。

トランクの中で何やら声がします。

「アフアブ島で

チカラを抜いてやんわり生きることに

気づいたエピファニー。

光輝き始めて、またステキになったよ。

ミシルク星に着けば、

新しい出会いがたくさん待ち受けている。

次はどんな冒険になるのかな。

ぼくもワクワクするよ!」

そう話すと、トランクの中で

ふたたびぐぅぐぅと居眠りを始めました。

エピファニーの冒険はまだまだ続きます。