Total Arch(解離)
準備
転送の情報があった時点で、麻薬や筋弛緩薬以外を吸い始めてOK。
特に、カテコラミンとヘパリン。
両耳の体温計を準備する。
いざというために、ボスミンを100mlNSに混注して、10mlシリンジに吸っておく。これはショットとして使える。
注意点
ERから末梢V-lineの側管に昇圧剤または降圧剤がつながってきた場合、CPBに乗った時に点滴をクランプしてCPB降りた時に再開すると、その昇圧剤または降圧剤がフラッシュされるので、CPB中にゆっくりとwash outしておくこと。
手順
A-line (当院ルール ART:左radial, ART2:右radial, FEM:足背)
右手、左手、送血管と干渉しない方の足。
当院では、上行真腔送血のことが多いので、その場合は、どちら足でも良い。
ただし、偽腔が血栓閉塞している症例は、上行真腔送血は行わない。血栓を飛ばしてしまう可能性があるから。その場合、1.Femoral 送血 2. 鎖骨下動脈送血とする。
どの血圧がどの主要臓器の灌流圧を表しているのかを理解する。
右橈骨動脈:右腕頭動脈挿入の脳分離の灌流圧
左橈骨動脈:左鎖骨下動脈挿入の脳分離の灌流圧
足背動脈:腹部内臓の灌流圧の指標
V-line
innominate veinを損傷してもVolume lineとして使えるように右腕が良い。
両耳の体温計を入れる。(当院ルール T1: 左鼓膜温、T2:右鼓膜温、T3:膀胱温)
TEEは解離と接している場合があるので、そぉっと入れる。
TEEを入れたら、これをこの順番でチェック!
1. TG単軸で、心タンポがないか? あって、バイタルが怪しければ、経皮的にドレナージ。
壁運動異常がないか?あったら、すぐに手を洗って、グラフトを取ってもらう。
2. A弁チェック。ARがないか。
3. エントリーの場所
4. 大動脈に塞栓子となるような可動性の粥腫がないか。
タンポの場合、前負荷、後負荷、COに介入して、血圧を保ちに行く。
手術手順
・胸骨正中切開
・心膜切開
タンポの場合、心膜切開が入ると、急激に血圧が跳ね上がるので、心膜切開前にしっかりと血圧を落とす。そして、跳ね上がったときにすぐに降圧剤を使用できるようにスタンバイしておく。もし、最初にCPBに乗せてから心膜切開を行う場合は、血圧が上がってもフローを落とせばよいだけなので、こちらから降圧剤など入れる必要はない。
・ヘパリン化。
・送血管、脱血管挿入して、ポンプオン
今回は、送血管FA, 脱血管RAでポンプオン。
必ず、TEEで真腔の大きさに変化ないかカラー度プラーで真腔送血かを下行Aoでもチェック!
・RUPVベント、CSレトロを挿入。
・左室ベントが入ったら、低体温開始。(低体温にしていくとVfになることが多いため、左室が張らないようにVentが入ってから、低体温を開始する。)
・Ao遮断、retroCP
偽腔が血栓化している場合は、遮断すると血栓が飛び出てしまう可能性があるので、遮断しないことが多い。
・Ao切開、selectiveCP
・体温を下げている待ち時間でproximalののり付けとフェルト縫着。
その間に体温が25度以下に。T1:耳、T2:耳、T3:膀胱温(施設によっては、28度)
・head down位にして、循環停止。
体温25℃での下半身循環停止は45分程度とする。
・大動脈前壁を左SCA手前まで切開する。
・左SCAテーピング
・脳分離開始。
まず、左SCAの分離送血管挿入。バルーンを0.6~0.8ml程度の生理食塩水で膨らませる。左のA圧が上がってくることを確認。
左SCAの送血を開始すると、左CCAや腕頭動脈から逆行性の血流を認める。
左CCA, 腕頭動脈の順に分離送血管を挿入する。左CCAのバルーンは0.6~0.8ml, 腕頭動脈は1.2ml程度の生食を用いて膨らませる。
分離送血管が抜けないように、テーピングを軽く締めておく。
INVOSに変化ないか、左右のA-lineに差がないかをチェック!
解離が下行大動脈に及んでいて、正中切開創からアクセス困難な場合は、オープンステントを挿入。たまに、エレファントトランクのこともある。
TEEでステントの位置と太さを確認する。ステントは一度開いてしまうと位置を動かすことはできない。開く前に位置を確認。
下行大動脈深く(T7以遠)にステントが挿入されると対麻痺リスクが高くなる。
浅いと、ステントが飛び出てくる。この場合、ニッパーで切ることになる。
また、サイズが合っていないと、エンドリークの原因となる。
Distal縫合。
側枝より送血開始。(循環再開)
FA送血管の場合、そちらの足の循環が悪い可能性がある。足のINVOSをチェックして、足に左右差がある場合、FA送血管を抜去してもらう。
体循環が再開するので、尿の流出の再開を確認する。
左鎖骨下Aの縫合 LSCAの縫合が終了したら左のA-line圧をチェック。
左CCAの縫合 LCCAの縫合が終了したら、左INVOSチェック。
復温開始。左鎖骨下A縫合終了したらだったかな?要確認。
proximal縫合 (遮断時間を短くしたいので、右腕頭よりも先にProximalを縫うことが多い。)
ルートカニューレ挿入。Hot shot。
遮断解除、心拍再開。
大抵、遮断中の代謝産物の影響などで後負荷が下がるので、NAを投与する。今回は、Max 7ml/hrも必要であった。麻酔深度も深すぎない様に。
今回は、ニトログリセリンで容量確保、DOB投与も併せて行った。ただし、復温と共に心機能は回復する。
右腕頭動脈縫合。 吻合が終了したら、右のA-line圧をチェック。
復温が大丈夫ならば、心肺離脱に向かう。
ベント抜去。Inflateする。
レトロ抜去。
心肺離脱。
プロタミン投与。
脱血管抜去。
送血管の側枝を結紮切除。
プロタミンの半減期は数分なので、15分ほどしたら再度ACTを測定して、プロタミンを追加する。
FFPやPltもRCC必要十分なだけ使用する。止血!!Hb>8をキープする。
止血に目処がたったら、閉胸。
右心機能に注意する!この時点でカテコラミンが増えることもある。
閉胸後は、TEEで心機能を再評価。
移動
ICUへの移動時に血圧が上がって、再出血しないように!