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発達相談室つばさ

発達の特徴と支援の必要性(MSPA)

2020.07.06 01:43

「発達障害の診断は受けたけれど、自分の子どもがどういった特徴があって、どういう支援をしたらいいのか分からない」

「診断は受けていないけれど、育てにくさはあるし、支援は必要そうに思うけれど、自分の子どもが他の子と比べてどういう特徴がどの程度あるのか分からない」

「困っているけれど、何から手を付けていいか分からない」


こういった悩みを持つ方は大勢いらっしゃいます。

子どもの発達は個人差があり、それが平均から離れていると言っても、即支援や工夫が必要かと言うと、そうでもありません。

第一、何をもって個人差なのか、どの程度”平均”から離れているのかはかなり文化的な価値観や主観によります。

しかし、親が知りたいのは

「自分の子がどういう特徴があって、何に困っていて、あるいは何に優れていて、どうしたら毎日を元気で楽しく過ごせるか。親として何をしてあげればいいか」

ではないでしょうか。


そんな方のために、今日は「MSPA」という発達検査をご紹介します。



MSPAとは簡単に言うと

「14個の発達の特徴の内、どの項目の特徴が強いか(弱いか)、支援を必要としているのかを、視覚的に分かりやすくとらえられる」ものだと言えます。

ことばで言っても分かりづらいので、下のチャートをご覧ください。


レーダーチャートを見て頂くと、一番上に「コミュニケーション」時計回りに「集団適応力」から始まる14個の発達の特性が並んでいます。

それぞれが、どの程度強いかが1~5段階で評価され、グラフになります。

2.5以下は、特性が少しあるけれど問題なし、あるいは特性なし、という意味で、

3以上が特性があり、支援が必要と判断される水準です。

レーダーチャートの線が小さくなればなるほど困り感の少ない可能性が高く、

大きくなればなるほど困り感も大きいと予想されます。

もちろん、上のチャートのように、一部が外側に飛び出て(困り感が高い)、一部は中央に寄っている(困り感が少ない)、という形にもなりえます。


上のチャートのお子さんの場合、

「コミュニケーション」「集団適応力」「共感性」「こだわり」「感覚」の特性が強いために集団の中で他者と関わり、生活していくことに大きな困り感が出そうです。

また、「衝動性」「多動性」「不注意」も高いことから、分かっていてもついやってしまう、何度も同じミスをしてしまうということも考えられます。

しかし、運動が得意で手先の器用さもあり、生活リズムがしっかり整っていて、学習上の問題はないお子さんだと言えます。


このように、お子さんの困り感や得意な領域、どこにどう支援を向ければいいのかが誰の目にもわかりやすく示されるのが、MSPAです。



さらにもう少し言うと、レーダーチャートの右上の部分は主に「ASD(自閉スペクトラム症)」の特徴を、右下部分は「過敏性」や「不器用さ」を、左下は「AD/HD」の要素を、左上は「生活上の問題」や「学習障害」の要素を表しています。


発達特性(個々人の発達上の特徴)は、全て「スペクトラム」です。

どの程度「こだわり」が強いのか、「多動性」があるのか、は”程度の問題”であり、だれしも少しは持っていて、中には色濃く持っている人もいる、それらは明確な基準や境界はなく、なだらかな坂のようなもので、区別・分類するよりも同じ線上にあると考えられる。

これが「スペクトラム」という意味です。


つまり、誰でもある程度はASDであり、AD/HDなのです。

あなたは風呂に入る時、どこから洗うのか手順が決まっていませんか?

それは「こだわり」だと言えるのではないでしょうか

あなたは旅行するときついつい予定を詰め込みすぎませんか?あるいは自由気ままに無計画ではありませんか?

それは「多動・衝動性」ではないでしょうか。


こういったことがその人にどの程度元元生まれ持った特性として備わっていて、どの程度の支援を必要としているのか、それがMSPAでわかります。


特性が色濃く(3~5)の範囲であっても、周囲がきめ細やかに対応し、困り感はない場合もあります。

逆に特性が少なくても(2.5以下)、周囲の理解のなさで本人がとても困っていて不適応に陥る場合もあります。


まずは自分のお子さんがどういう発達特性を持っているのかを客観的に知ることが大事です。

「うちの子は落ち着きがないからAD/HDだと思う」と相談に来られた方が、よくよくお話をお伺いすると、こだわりや過敏性などのASD特性を併せ持っていた、というのはよくある話しです。

診断を受けていない、あるいは受診をしても診断はつきづらいだろう、と思われるお子さんでも、13の特性の内いくつかを持っていることも、全く珍しくありません。


「受診をして診断も受けたけれど、自分の子どもの障害について詳しい説明を受けていない。子どもがどういった特徴とどういった支援を必要としているのか知りたい」という方も、

「受診などはしていないが、自分の子どもの事をもっと知って、親としてどう接すればいいのか知りたい」という方も、

「子どもの特徴を学校やデイサービスなど、子どもと関わる支援者に伝えて、よりよい環境を作りたい」という方も、

是非一度MSPAを使ってお子さんの特性を見てみませんか?


検査自体は簡単なアンケートに答えて頂き、

1時間~1時間半程度の保護者様との面談にて行えます。

お子さんの同席は必要ありませんが、どんなお子さんなのか少し見せて頂けると雰囲気が分かって、お話がしやすくなります。


ご興味の有る方は一度問い合わせフォームからご質問ください。