Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

砕け散ったプライドを拾い集めて

自由律俳句

2020.07.06 02:04

 以前にも種田山頭火と尾崎放哉のことは採り上げた。↓

 https://larchmontvillage.amebaownd.com/posts/6144880 


ともに自由律俳句の奇才であった。この二人を育てたのが荻原井泉水。二人へ自由律へのきっかけを与え、育て、生活の面倒まで見るという「師匠」の風上にきんと置くべきすばらしい人物。

この二人とも浴びるが如くに大酒を飲み、身を持ち崩し、井泉水や支持者に金を無心して辛うじて生きていた。山頭火は乞食をして、放哉は寺男をして……。

放哉は終の住処の小豆島の庵寺・南郷庵で極貧と酒乱の中で死んだ。

(南郷庵)

その直前につくった句が……

 ──咳をしても一人

兄弟弟子ながらほとんど交流のなかった山頭火が、それに感応しての作句が、

 ──鴉啼いてわたしも一人


 作家の山田風太郎(『魔界転生』『忍法帖』など)がやはり放哉の「咳をしても一人」に感銘を受け、よし!俺も最短の句をとひねったのが…… 

──屁か

これはこれで面目躍如なのである。

 (出典:山田風太郎×関川夏央:『戦中派天才老人山田風太郎』)