美しさのまとい方 ウエスト
【くびれは身体的魅力に大きな影響を与えている】
女性のプロポーションは時代とともに大きく変化し、体重は軽くなってきているにも関わらず、身体のウエストとヒップの比率であるWHR(Waist-Hip Ratio)、つまりウエストがどのぐらいくびれているかどうかの値はきわめて安定している。これは時代を超えて身体形状の美しさを規定するものが、体重よりもむしろウエストのくびれであることを意味してるのではないだろうか。
一般女性のWHRは大体0.7後半から0.8ぐらいになる。これに対して、有名な女優やモデルのWHRを計算してみると、その値はほぼ0.7になることが知られている。ウエストはくびれていればくびれているほどよいというわけではなく、0.7以下になると魅力は低下する。また、エジプトやインド、ギリシャ、アフリカの古民族工芸品を分析したところ、ある意味理想像を示すこららの作品においても女性像のWHRがほぼ0.7になっていることがわかった。
【男性が女性を見るとき、ウエストのくびれはわずか1.3秒で判断できる】
恋愛市場において、興味があり好ましいと思う異性を前にすると、男性は自らの経済的資質を誇示するような戦略をとりやすい。一方、女性は自らの身体的外見をアピールことがわかっている。
男性が女性を選択する場合は、ウエストがくびれている相手を魅力的だと感じて選好する。ビジュアルでひと目で把握できるような刺激を重視するようだ。それは生物学的に、より多くの自分の遺伝子を後世に残すことができると無意識に動機づけられるからだといわれている。男性の判断に要する時間はまさに一瞬であり、女性が魅力的であると認知されればされるほど、速く判断される。
『ウエストのくびれは妊娠しやすさのシグナルになっている』
ウエストのくびれは、体内の女性ホルモンであるエストロゲンの影響でつくられる。女性ホルモンは妊娠と密接に関連しているため、ウエストのくびれと妊娠しやすさとの間に関連が生じてくるわけだ。実証的にも、WHRが0.8より小さい女性は、0.8以上の女性に比べて妊娠しやすいことがわかっている。したがって、ウエストのくびれた女性のほうが、より多くの子供を残せる生殖力があるといえる。
『ウエストのくびれは現在その女性が妊娠可能な成熟状態であることを意味する』
ウエストのくびれは女性ホルモンによってつくられるため、初経前には生じない。また閉経後はこのくびれは消失する。生殖年齢にある女性は、おしり、腰のまわり、太ももなどに脂肪がつきやすくウエストは細い。もし男性の側がウエストのくびれに無頓着だと、初経前あるいは閉経後の個体を配偶者として選択してしまう可能性がある。そのため、くびれを配偶者選択の手がかりにした男性は、より効率的に自分の遺伝子を残すことができるわけである。
『ウエストのくびれはその個体が現在妊娠していないというシグナルになる』
ウエストがくびれていない場合は、その個体はすでに妊娠している可能性がある。妊娠するとウエストのサイズは当然太くなるからである。男性にとって他の男性の子どもを妊娠している女性を選んでしまうのは、進化的に大変大きな悲劇をもたらすため、ウエストがくびれていない個体を回避するためといわれている。
『ウエストがくびれてヒップに脂肪がついていることは妊娠継続や授乳などの育児能力の高さを示す』
臀部や大腿部の脂肪はダイエットしてもなかなか落ちにくく、上半身や胸などからやせていくことが知られている。これは、この部分の脂肪が妊娠や授乳のためにとっておかれる脂肪であり、それ以外の目的ではあまり消費さないからである。つまり、この部分に脂肪がついていることが妊娠継続や授乳ができるという、ある種の保証になるわけである。
『ウエストがくびれて脂肪がついていないということは健康の証になっている』
日本では腹部の脂肪の量で成人病のリスクを測定する「メタボ検診」が行われている。ウエスト部分の脂肪は、糖尿病、高脂血症、高血圧、心臓病、脳卒中などと関係しており、ウエストがくびれているということはこれらの成人病のリスクが少ないということを示している。つまり、このような女性のほうが、健康な遺伝子や安定した育児環境が手に入る可能性が高いと考えることができる。
『ウエストがくびれている母親から生まれた子どもは知能が高い』
子どもの神経発達、知的能力の発達に重要な役割を果たす長鎖多価不飽和脂肪酸の供給にとって、母親の下半身が太っていることはポジティブな影響を示し、上半身が太っていることがネガティブな影響を示すということが明らかになっている。そして、この上半身と下半身の肥満度の比率をあらわすのにWHRが有用な指標になっている。この現象も男性がくびれに注目する行動の形成に影響を与えているのかもしれない。
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