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落語家・柳亭市寿 WEB

レイニーデイ イン ニューヨーク

2020.07.09 11:26

これを書いている今日はレイニーデイ、明けない今年の梅雨、長湿気。

昨日もやはり雨であったが、ウディアレンの新作映画「レイニーデイ イン ニューヨーク」を観てきた。


ウディアレンの新作は毎年必ず観に行くようにしている。

というとマニアックに聞こえるかもしれないが、ほんの10年ぽっちの浅いファン歴だ。

二十代の当時、就職するのが悔しくて、就職活動と評して色々な興味あるものを見聞きした。それを大学では自己分析の期間とも言ったが、遅くきたモラトリアム。

その頃にウディアレンを知った。


ニューヨークタイムズ誌へのジョークの投稿に始まり、スタンダップコメディアン、そして映画の世界へと駆け上がった天才。

いや、駆け上がって、その地位に居続けしている稀有な存在。

主演、脚本、監督なんでもこなす、才能の塊。

年一本の撮り下ろし→発表

をルーティンとする鬼才。

週末はクラリネットの演奏という習慣まで欠かさない。


天才にスキャンダルはつきもの。昨今も世を騒がせている。それが為に「年一本の撮り下ろし」は停滞したか、それでも御歳84歳、止まることを知らない。


新作、「レイニーデイ イン ニューヨーク」

最高傑作だと思う。


一応、全ウディ作品を観てきた私。

アカデミー賞に名を連ねた「マンハッタン」も「アニーホール」も、

どちらかというとマイナーな、「カメレオンマン」も好きなのだけど、

今作は過去の作品群を踏襲しつつ

円熟味を華やかに纏った現代の作品と捉えた。


因みに脇を固める俳優陣も華やか。

海外の俳優の名前を覚えるのは苦手だが敢えて書くと、

セレーナゴメス、ジュードロウ、

世の人気俳優が、

やはりウディアレン監督に憧れて出演している。


84歳で最高傑作を撮るとはなんと幸せな人生!

決して本人はそんなこと思わないキャラクターだが、

晩年まで現役というのが当たり前の一落語家として、その存在はやはり憧れの的だ。


今作の映像美、その色彩は近作の「女と男の観覧車」の光と影を思わせる。

セントラルパークで主人公が乗る馬車からはどうしても「マンハッタン」を連想する。

故郷ニューヨークで再び撮っているという感動もある。

「誘惑のアフロディーテ」を想いクスリとしつつ泣ける娼婦の人生、

「カフェソサエティー」で見せる芸能の世界の裏側。


良い!!

急にウルっときた。


久しぶりの映画鑑賞。

と言っても映画館に行くのはウディ作品がほとんど、という矮小な好奇心の私だけど、、


これは胸を張って人に薦めたい。

出来れば雨の日に。