論文等:当事者性の過剰?
2020.07.10 08:33
季刊刑事弁護103号の特集「検察官と誤判」が公刊されました。この企画はもともと別の方の提案によるものだったのですが(提案者は、この号で2本にわたり論稿を寄せるというハードな仕事をしています)、諸事情で、私が引き取ることになり、今回は企画趣旨を兼ねた「当事者性の過剰?」という文章を書くに至った次第です。
鴨志田祐美先生(弁護士)が、台湾の検察総長(日本で言う検事総長)へのインタヴューをしてきたことを受けて、これを拡大して韓国・アメリカそれぞれの検察官の誤判事件における対応や、誤判事件発生後の対応をみて、刑事司法制度の在り方を考える機会にしようと企画されました。
私自身は、企画趣旨を兼ねて、各国をみる前提として日本の議論状況を整理することと、アメリカにおける訟務長官の「過誤の自認」のかんたんな紹介をしました。特集自体は、台湾(鴨志田祐美さんほか)・韓国(安部祥太さん)・アメリカ(笹倉香奈さん・デイビッド・T・ジョンソンさん)という各国を検討する各論稿が寄せられています。問題意識の持ち方は、かなりの程度、各執筆者に委ねられていますが、結果的に多角的な分析になったといえるかも知れません。
本特集の問題意識は、私の認識するところでは、学説史上も繰り返し表現されてきた問題です。各国の現在を知る、一端となればと思います(ちなみに、私自身の問題意識は、脚注4で示したことにあったりするのですが)。