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九十九をツクモと呼ぶ訳

2022.11.19 07:47

http://www2.chokai.ne.jp/~assoonas/UC99.HTML  【九十九をツクモと呼ぶ訳】

おかげさまで、「うんちく講座」のコンテンツも、この文章で99個めになった。

99を漢字で書いた「九十九」、これを「つくも」ということは、ご存じの方も多いと思うが、どうしてそう言うようになったのかについては、正直なところ知らなかった。

少し大きな国語辞典を見ても、「『百』という文字から『一』の線を取り去ると『白』という字になるから」ということと、「老人の白髪が植物の『ツクモ』に似ているから」という記述はあるのだが、それなら、どうして「ツクモ」が「九十九」なのかという関係は判然としなかった。

ツクモ

 植物「フトイ(太藺)」の古名。浅水中にはえるやや大形の多年草。カヤツリグサ科。根茎は太く地中に横たわり、茎は高さ80~150cmで丸く太く、緑色が濃くて粉白をおび、基部に葉の退化した長い少数の鱗片がつくのみで、節はない。ときに生け花に用いられる。日本土に生じ、ムシロや敷物を編む目的で栽培もされている。

どうやら、水辺でワサワサと絡み合って茂っている様子や、枯れてきて色が白っぽくなった様子が、老人の髪の毛の様子を連想させるということはわかってきた。

しかし、なぜ、それが九十九と結びつくのかということははっきりしない。

実は、ある短歌が、「九十九という数字」と、「植物名である『つくも』」を結びつけているカギであるらしい。

 それは、「伊勢物語」の63段にある、次の歌である。

「百年(ももとせ)に一年(ひととせ)たらぬつくも髪  我を恋ふらし面影に見ゆ」

つまり、これは洒落になっているのである。「白い髪」を「つくも」の様子に例え、さらに「白」を「百」から「一」ひいた文字としている訳である。

こう書いただけでは分かりにくいので、表にしてみる。

老人の髪の様子

白い

ぼうぼうに乱れている

白という字の形は百という字の上の棒(一)をとったようなかたちだ。

水辺に生い茂っている植物の「つくも」のように見える。    

100-1=99だ。

九十九

つくも

「九十九」を「つくも」と呼ぶことにした

 「白髪」を「つくも髪」と洒落たこの歌が、「九十九」=「つくも」という読み方のルーツになっていたということである。

 なお、この件について調べている中で見つけたこちらのページも、私の調べたものと植物の「科」は違うが、ほとんど同じ内容であり、さらにもっといろいろな面白いことも書いてあったので、ご覧いただきたい。


http://www.kumamotokokufu-h.ed.jp/kokufu/math/math_8.html  【九十九と書いて「つくも」とは?】  より

広辞苑を開いて,「つくも」の項を見ると

「つくも(九十九)①くじゅうく。→九十九髪(つくもがみ)②(「江浦草」と書く)フトイの異称。「つくもがみ(九十九髪,江浦草髪)老女の白髪をいう。伊勢物語の歌 「百年(ももとせ)に一とせ足らぬつくもがみ 我を恋ふらしおもかげに見ゆ」から,ツクモはツグモモ(次百)の約で,百に満たず九十九の意と見,それを「百」の字に一画足りない「白」の字とし,白髪にたとえたという。また,白髪が江浦草(つくも)に似ているともいう。

と,あります。

おきな草この伊勢物語の歌「百年ももとせに一ひととせ足らぬつくもがみ 我を恋ふらしおもかげに見ゆ」が元となって,九十九(100に1足らぬ数)が「つくも」と読まれるようになります。

ちなみに,この「ツクモグサ」とは「オキナグサ(翁草,白頭翁)」に似たものだそうです。

オキナグサは阿蘇にも5月のはじめ頃咲きます。

花は目立つ赤紫色ですが,花の時期が終わると,種子が白い毛で覆われ,その姿が,おじいさんの白髪頭を連想します。

このような理由から,「白」も「つくも」と読むこともあるそうです。

実にしゃれっけのあるというか,味わい深い豊かな表現です。先人のユーモア感覚には頭が下がります。

このように,数字を適当な言葉で読む習慣はいろいろあるようです。

ところで,つぎの漢数字の並びは何と読むのでしょうか? 村井中漸(むらいちゅうぜん)の「算法童子問」(1784年)に出ている短歌だそうです。

三十十百九 三千百三三四八 一八二

四五十二四六 四百八 三千七六

里遠く 道も寂しや 一つ家に

夜毎に白く 霜や満ちなむ

数字ばかりで短歌を詠んでいます。見事というか,感心するばかりです。

みなさんも挑戦してみませんか。

また,かけ算の九九だって,「2×2=4」を「ににんがし」といった具合に,

実にゴロのよい発音だから覚えやすくなっています。

他にも,数字を暗記するのに,意味ある言葉で読んで覚えるのも多いですね。

「1192年鎌倉幕府」を「いい国作ろう鎌倉幕府」とか,

「ルート2の値 1.41421356・・・」は「ひとよひとよにひとみごろ」

「ルート3の値 1.7320508・・・」を「ひとなみにオゴレヤ」

「ルート5の値 2.2360679・・・」は「富士山麓オウムなく」 

「富士山麓にオウム鳴く」,ひょっとして「泣く」,今では,「オウム無く」かな?

いやな事件を思い出します。

また,電話番号など大事な数字などに,工夫した数字の読み方がいろいろあります。ちなみに熊本国府高等学校の電話番号は366-1276,局番以外の4桁は「1になろう」,即ち日本「一になろう」です。世界一でもいいですね。

面倒な数字も読み方に意味を持たせることにより,暗記が楽になります。

いつか新聞に載っていたのですが,円周率を何万桁までかを暗記した人がいましたが,

「円周率のでたらめな数字の並び」を「意味を持つ」ように「読み方」を工夫したそうです。

下に,円周率πの値 の少数第30位までの例を示します。

3.14 159265 358979 3238462 643383279 

産医師 異国に向こう 産後厄(やく)なく 産婦御社(みやしろ)に 虫散々闇に鳴く

ところで,このような数字の読み方,外国語にもあるんでしょうか?

たぶん,日本語の特性ではないでしょうか。

(英語では,円周率の近似値「3.1416」を「Yes I have a number」という文の各単語の文字数で覚えるとか)

日本語には,数字に何通りもの読み方があるので,色々うまい読み方ができるのです。

こんな便利な日本語を使える私たちは幸せです。日本語に感謝したいものです。

そして,もっと活用しなければもったいないですね。

ちなみに,制汗消臭剤の商品名「エイトフォー」,消臭成分の名前のアルファベットが32文字,32は8×4,8×4の英語読みからだそうです。何と面白い命名でしょうか,これもいいですね。