Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

風とたね

おんなのしごとはよろこびをうみだすこと

2020.07.11 16:39

人生の中で思いっきり「役立たず」になったことがありますか?


私はある。


それは、教職時代最後の年、小学三年生を担任した時のこと。


担任を受け持ってすぐ、四月に妊娠した私は、そこから産休に入るまで、結構長らく「つわり」期だった。


ずっと具合が悪い。

ずっと車酔いしている感じ。

吐き気がする。

生唾が出てくる。

食後はすぐに眠くなる。


こんな状態での担任。

普通に考えて「仕事」になるわけがない。


いつも具合の悪い先生・・・。

「役立たず」以外の何者でもない。



なのにね、なのに。


校長先生を始め、どの先生もめちゃくちゃ優しかった。


校長先生と教頭先生は、三年生の隣の教室に校長室の来賓用ソファを抱えてもってきてくださった。

「いつでもここに横になってくださいね」と。


教室にずっといてくれた先生は、丸付けをほとんど全部してくれた。

(丸付け業務って結構な量なんだよね)


どの先生もいつも配慮してくれて、いつも優しい声かけをしてくれた。


そして、子どもたち。

「先生、具合悪かったらいつでもソファに寝に行ってね」

「先生、無理しないでね」

「先生の子どもだから、きっときっと可愛い子が生まれてくるよ」

「どんな名前が良いかなぁ」

・・・・・・・・


「子どもたちのためになること」

つまり、良い授業をすること、リーダーシップをとること、いつも笑顔でいること、元気な先生でいること。

そんなこと全然できなかった。


それなのに、もらうのは愛ばかり。


ある保護者さんからは「先生がつわりで苦しい姿も隠さず見せてくれたことは、子どもたちにとって素晴らしい学びです」という言葉をいただいた。


何の役にも立たないのに、喜ばれていた、という経験。


何も頑張れなかったのに、愛をもらった、という事実。


これは、私の中で、これまでの価値観を180度ひっくり返す、ものすごい転換点だった。



それまでは、「役に立つ」ことが私の存在意義だった。

「頑張る」ことで「そこに居ていい」という許可を与えてもらえるのだと思っていた。


だから、役に立てるように頑張ったよ。

倒れるまで頑張った。

それでもまだ足りないと思っていた。

足りないから「問題」が発生するのだと。


でも、妊娠し、つわりになったことで、強制的に「役立たず」になった私の前に繰り広げられるのは、それまで見たこともない優しい愛の世界だった。


今日、お風呂の中で、超絶役立たずだった自分が、存在を赦され、愛されていたあの期間を思い返しながら、とんでもないことを発見した。


「あれは妊娠期だったから、特別に起こったことなのかなぁ」とぼんやり考えていた私の中で「違うよ」とはっきりとした声が聴こえた。


違うよ。

おんなは生み出す性。

だから、いつでも「出産」できるし、出産前はつわり期もある。


出産ってこどもを産むことだけじゃない。

おんなはなんでも生み出せる。


しごとやお金はもちろん

パートナーや自分に最適な環境まで


自分のよろこびは自分でうみだせるの。


そして、よろこびって、いつも新しく新鮮になるという性質をもっていて、だから、おんなのひとは人生を通して「出産」と「つわり」を繰り返す。

それはまるで波のように。


新たなよろこびを生み出そうとする前は、苦しい時期がある。

ある意味で忍耐や我慢の時期が。

先の見えない不安にさいなまれる時期。

冴えない自分に嫌気がさす時期。


それはもう自然なこと。


だから、今、笑顔になれなくても、眠くて仕方がなくても、吐き気がしてても、もやもやしてても、大丈夫。


それ、つわりです。


あらたないのちをうみだす前の時期。


どんな赤ちゃんが、どんないのちが産まれるのか、今は見えなくて不安かもしれない。


でも、今、ツライってことはさ、出産の前ってこと。

あなたの子宮の中に「あたらしいいのち」がもう存在しているってこと。


大丈夫、大丈夫。

焦らないで。


今は

不安で当たり前。

怖くて当たり前。

つらくて当たり前。


それはいつかかならずあなたの前に現れる。

祝福とともに生み出される時を待っている。

あなたから養分をもらい、ふかふかの子宮の中で少しずつ少しずつ育っている。

それはどんなかたちであれ、「よろこび」そのものに他ならない。

あなたはあなたの中に「よろこび」を育んでいる。


だから、

つわり期のあなたは、周りからの愛を受け取るのがおしごと。

「役立たず」な自分を赦すのがおしごと。



世界は優しく、そして愛に溢れていると、感じるための期間。


それが人生の「つわり期」です。


まるで自分が「役立たず」に思えちゃう時期は、目に見えないところでよろこびを育んでいるんだって思ってほしいな。


あなたが生み出す新しいよろこびの誕生を、世界は期待に満ちて待っています。


Love,

Shoko