基準
誰が見ても 明確な比較対象を作るということができなければ人に状況を伝えることすら難しいと思います。もちろん、見ただけではなく感覚を同じにできる方法でないと東洋医学的ではありません。
そうでないと追試してもらうこともできません。基準が明確に提示されていないということが鍼灸治療をする上で大きなネックになっていると思います。
東洋医学は、あくまでも感覚の世界です。感覚を元にした科学だと私は考えています。ただ、感覚も漠然とし過ぎていると基準がハッキリしません。
鍼灸は流派にわかれすぎて、大変なことになってます。何々流という無数の流派があり、その流派が一つ一つ違った基準があるように思えてなりません。私は、各流派を見学したこともないので、どんな基準があるのかもわかりませんが、それぞれに共通する明確な基準があるとは思えません。
だから激しく対立します。とても馬鹿らしいことだと思います。
そこで 何か基準になる 良いものはないかと考えた挙句、やはり体の形に注意を向けてみることが、 明確でわかりやすいのではないかと考えました。
身体の形ならば第三者に伝えるのに伝わりやすいと思います。 もちろん個体差があるので、綺麗な形が必ずしも正しいとは言えません。側弯症であったり、先天性股関節脱臼がある場合、真っ直ぐが必ずしも良いとは言えません。しかし、静止した時の綺麗な形は運動をする上で機能的であることには違いありません。そこで、形だけでなく感覚を使う必要です。そして、感覚の比較が必要で、比較しやすい対象を作るということが重要です。
関節や筋肉の問題だとするのか?
もし、筋肉や関節の問題だとすると、側弯したものを元の位置に戻すためには手術が必要でしょう。
それは私達の範疇にはありません。
いかにその人の状況で機能的にさせるかということが重要です。だからこそ、可動域ではなく可動状態を観察することが重要なのです。その解釈が大きく違っていると明確な答えはでてきません。
関節の可動域を観察するだけなら、整形外科や整骨、整体等で今までもさんざん観察されています。観察する中にも、感じるという基準を入れることが感覚の世界ではとても重要です。
まずは静止した状態を観察してみることです。 まっすぐ立つ、まっすぐ座る 手の平を身体の正面に向けて、足のつま先も、真正面に向けてみる。
これは解剖学的肢位と呼ばれているもので、一つの基準となります。
単純に位置と言っているのではなく、それをどう感じるかです。
問題を抱えている人の場合、特に感覚に違和感が強くなります。この現象をみると形と症状に何らかの相関関係があるのではないかと容易に考えられます。