すずめはバカだな

仕事をしていたら「タナカさん、鳥のヒナが巣から落ちてるんです。」と言われた。

なぜオレに言うんだ、と思ったが様子を見に行くと小指ぐらいの鳥が3羽落ちていた。

小指のサイズは人それぞれ。

すずめだ。

既に息絶えたのが1

何となく生きてるのが2。

しゃがんでると後ろから上司がやってきた。別に上司がいるからではなく「ちょっと助けますわ～。」とゴム手袋の方向に進みながら言った。

すずめはバカだな、と歩いた。

フクロウだったら助ける。でもなんですずめを助けなアカンねん。同じ鳥やから面倒は見るけど、なんで助けんと生きられへんの。

すずめはバカだな、とゴム手袋をつけた。

現場に戻り、すずめの雛をもう見失う。

ピーピー鳴ってる方向を確認。

すくう。掌に乗せると生命線ぐらいのすずめが、大人しくしてるわけでもなく暴れているわけでもなく、ただいる。生命線の長さは人それぞれ。なんか短いな、オレもお前も。

巣に戻そうと思ったが、届かないので壁際にそっと置く。申し訳ない。×2。

すくえないのをすくう。

まぁ、いつか死ぬから今日はたまたまお前。

最初の亀にぶつからなかったが、穴に落ちたのがお前。マリオみてぇなもん、と掘れる土を探しながら彷徨く。暑いけど額の汗は拭えない。

すずめはバカだな、と公園未満の広場に行く。

ファミチキみたいな石を拾う。

ファミチキのサイズは大体同じ。

が、ここで鳥例えを出す自分に軽く引く。

昨日の雨で土は柔らかい。ファミチキでザクザク掘りながら久しぶりにダンゴムシを見る。柔らかかったので深めに掘る。

ファミチキじゃない方のチキンを置く。

「うるせぇ」

独り言。よくある。

うるせぇって言う0.1秒前に

チキンちゃうやろって心の中で思ったから。

自分対自分の話なので、まぁまぁどうでもいいはずだが、ゴメンと思う。横たわったいる所への１発目の言葉が「うるせぇ」になってしまった。

すずめはバカだな、こんなこと言われてんのに。

「お疲れ様でーす」

さっき報告してきた人。帰宅する格好。

すずめはバカだな。

手を合わせる。

しんだときわざわざツイートするヤツどう思う？あげく合掌とかRIPとかつけられたらたまらんよな。マジほっといてくれや。まぁ、しんだことないからわからんねんけども。

てか、生きてるし。お前が思い出してるから。あと、ベタなヤツやねんけど、なんとなく手ぇ合わせてるよ。ほんであれやな。オレが代わりに鳥として生きるわ。

雑談終了。合掌とか黙祷とかじゃなく

いちばん真面目なシンキングタイム。

適当な植物の枝をちぎって、土に挿した。

すずめはバカだな、アホな奴に埋葬されて。

2へ続く。