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stained glass Ginga

欄間のパネル修復②

2020.07.13 06:13

2枚のパネルを修復&増作したものを欄間に入れるご相談を受けて、お客様とイメージを共有しながらデザインを詰めていきました。

最初はシンプルに格子柄を付け足したものや、大正時代のステンドグラスを彷彿するデザイン等、修復する2枚を欄間の中央に寄せて両端に増作したパネルを置く案で進んでいきました。



設計の仕事をしている夫にもデザインを見てもらったところ、2つのガラスを何故欄間の中央に寄せているのか?メインのパネルを各欄間の芯にもっていってもいいのでは?という助言をもらい、ハッとする出来事がありました。

片側に新しいデザインを付け足す事ばかりに意識がいっていたのです。確かにそれぞれの欄間の芯にメインのパネルを置いた方が、部屋の空間も広く感じます。

青いガラスで縁取られた二枚のパネルが繋がって広がるようなデザインを提案し直し、決定しました。



作業は破損したガラスをパーツごとにテープで固定してからケイム(鉛線)から取り外し、型紙をおこし、同じ形のガラスパーツを一枚一枚切り出していきます。図面が無いので、割れたガラスが頼りです。



当時のガラスは入手困難なので、問屋さんに相談したり、家中のガラス箱をひっくり返して、元のガラスと近いものを探して対応しました。



現代のステンドグラスはガラスをカットした後に、ルーターという研磨機にかけます。昔は機械がなかったので、全て手作業で切り出していました。えぐりが深いカットが多く、昔の職人さんの技術の高さにため息です。しかし、無理なカットはガラスに負担がかかり、破損の原因に繋がりやすくなる事も今回の修復で実感しました。



破損ガラスを約50枚近く直し、増作する部分のガラスも新たに切り出し、端からケイムで組んでいきます。


外枠は横幅が170cmあったのと、デザインの構造上の強度問題があったため、真鍮フレームで制作しました。



パネルのケイムは昔ながらの手法で全面ハンダが施されていました。同じように試みましたが、気を抜くとケイムがハンダゴテの熱で溶けて虫食いのような仕上がりになるので、息を止めながら全集中の作業です。



洗浄、パテ入れ、磨き、ケイム&真鍮染めをして完成です。実作業は3か月近くおよびました。


つづく