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逆のものさし講新聞 「後世への手紙」

「本当のことは書けない」だからこそ。

2020.07.13 22:00



2月に開催してから約半年ぶり。

逆もの名古屋に小川さんをお招きして、僕たちは本当に久しぶりに集う機会を得ました。

しかしまだ状況は完全に元通りというわけにはいかず、様々な状況の中でまだ来れない、そういう人がいることを思って、ここに皆で集えていることが、本当に有難い気持ちでした。


この半年間、僕は本当に色々な非日常を味わいました。しかしそれは何も自分にだけ起きた出来事ではなくって、よくよく考えてみれば当たり前のことだけど、その当たり前のことを再確認するには、

人と会わなければなりません。


ある人はこう発言しました。

「本当のことは書けない」と。

つまり公には出来ないことの中に、真実があるということ。

もしくは、真実は、言葉だけでは伝えられないということ。

言葉と、表情と、声のトーンと、微妙な空気。


会う。

そういうことでしか、伝えられないことがあるんだ。僕は自分の気持ちを代弁してくれたこの発言に、救われた気がしました。


この半年間に僕が経験した出来事の数々は、

とても簡単には書けないことばかり。

「苦渋の決断の連続だった」と表現したところで、

上滑りしている感は拭えない。

言葉で誰かにこの思いを伝えることは、到底出来ない。

言葉は万能では無いということを、嫌というほどに突きつけられる。

それでもなお、書かなければなりません。


読書とは、読むと、書く。

文字で。映像で。音で。

発信することが必要だと、そう思います。


「本当のことは書けない」の裏側には、

書くことで、書けない本当のことを、見つけられるというささやかな希望が見え隠れしているから。




人は、経験したことをいとも簡単に忘れることができます。

試しに思い出してみてください。

この数年前、どんな出来事がいつあって、そのときあなたは何を考え、どう自分を奮い立たせ、生きてきたのか。

今の自分に至るまでに、どんな本の、どんな人の、どんな言葉に奮い立ち、

何を思い、何を行動し、どうやって自分を変えてきたのか。


諸行無常といって、人は常に変化しているのだけれど、

今の自分に至るどのタイミングで今の自分が形成されたかなんて、

正確に言い当てることはもはや出来ない。

書いてこなかったから。

書くまでもない。

僕の人生の、ちっぽけな一日一日の積み重ねだと思っていたから。


そうやっていつしか、忘れている。

でも、それでいいと思っています。

忘れる能力は、神からの恩寵だと思います。

私達には忘却システムが備わっていて、だからこそ、生きていける。

日々どれほどに苦しんだとしても、きっとその苦しみを忘れて、乗り越えていけるのだから。


しかし忘却の彼方へ押しやられた自分の葛藤の日々は、

そのまま消えてなくなってしまえば、

後世へと伝える術を失ってしまう。


僕は、今まで矛盾や葛藤にどう向き合ってきただろう。

大概のことは、もう忘れてしまった。

でも、忘れ去られてしまうことは、ちょっと残念な気もする。

自分自身でも、過去の自分が葛藤した日々を、思い返したい時がある。

人に見せる必要は無い。

ささやかな日記でも、十分だ。


そう思ったから、僕は2年前から毎日日記を書いています。

つまり、毎日「書く」という行為を続けています。


今回、ある人は日記をもう12年続けて書いていると言いました。

その人の言葉は、静かで、重みがあった。

経験に裏打ちされた、実感のこもった言葉。

そういう言葉を発することが出来る大人に、誰だってなれる。

だから、書けばいい。


でも、

「本当のことは書けない。」

残念な気もしますが、これは真理だと思います。

それに気づかせてもらえて、良かった。


だからこそ、書くことでこの大いなる矛盾と対峙しつつ、

日常と非日常の波を乗りこなして生きていこう。

そう思うことができた、約半年ぶりの逆もの名古屋での集いでした。


大阪や東京からも来てくださいました。

参加者皆様で作り上げたかけがえのない時間と空間に、感謝致します。

まさに一期一会ですね。

名古屋の逆ものは、茶道の教えに通ずるものを感じます。

毎回が違っていて、毎回が真剣ですよ。

実践人と実践人の生き様のぶつかり合いを皆で共有し、

今日からまた、自分のやるべき日々を送っていきます。

また会う日まで。


改めて。

文字で、書く。

映像で、語る。

音で、伝える。




「本当のことは、書けない。」


だからこそ発することで、

本当のことを見つけ出し、

本当のことと向き合い、

本当のことを内に秘める人たちと、

また集いたいですね。