[EBP尺度の紹介] BARRIERS SCALE (日本語訳あり)
2020.07.13 22:00
EBMの概念が提唱される以前は、「研究成果の利活用」というキーワードがよく用いられていました.この「研究成果の利活用」の研究で、古くからよく使われている尺度の1つがBarriers scaleです(Funk SG, et al., 1991).
日本語で利用可能なBarriers scaleについて検索すると(2020年7月14日時点)、以下のことがわかりました.
・Barriers scaleは、研究成果を利活用する過程での阻害要因に焦点をあてた尺度である
・Funk SG.らが開発したBARRIERS SCALEと、のちに、Retasが1項目追加したBarriers to Research Utilization Scaleがある
・日本語の翻訳は、清村ら(2003)によって信頼性・妥当性が検証されたのち、他の研究者も検証を行っている(岡ら, 2005., 遠藤ら, 2010.)
Barriers scaleは、EBPというよりは、どちらかというとResearch Utilization(研究成果の利活用)という少し広めの視点で評価したいときに使える尺度です.
日本語で利用可能なEBP関連の自己評価尺度はいくつかありますが、尺度によって測定可能な内容が異なります.研究の目的によって適切な尺度を選択できるよう、質問の内容などをよく吟味することが大切です.
References.
- Funk SG, et al. BARRIERS: the barriers to research utilization scale. Appl Nurs Res. 1991; 4(1): 39–45. https://doi.org/10.1016/S0897-1897(05)80052-7
- 清村紀子, 西阪和子. 日本語版BARRIERS Scaleの信頼性・妥当性に関する検討 ~第1報~. 日本看護研究学会雑誌. 2003; 26(5): 101-121. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsnr/26/5/26_20030908007/_article/-char/ja/
- 遠藤良仁, 布施淳子. 看護管理者が認識する研究成果活用を推進する 組織的支援の現状と阻害要因の検討. 日本看護研究学会雑誌. 2010; 33(2): 61 - 68. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsnr/33/2/33_20091119004/_pdf/-char/ja
- 岡美智代, 石田貞代, 河村誠, W., C., Creedy D. Evidence based practiceに関する日本語版尺度開発と等価性の検証. 日本保健医療行動科学会年報. 2005; 20: 100–113. https://ci.nii.ac.jp/naid/40007137937