AOA、議論の中「Good Luck」の活動を終了。トップグループが直面した活動の転機。
AOAが新曲「Good Luck」の活動を5月28日の「人気歌謡」でのステージで終えた。振り返ればカムバック前から様々な論議に巻き込まれ、メンバーにとっても負担の大きい活動だったと思う。
発端はバラエティでの発言。韓国で「英雄」とされている人物の名前を「分からない」と言った上にそれに対してふざけたような態度をとった、というのが理由だ。若い女の子ならありそうな態度で、むしろ彼女たちの素顔が見れて楽しいシーンとも思える。しかし番組は生放送ではないから、編集してカットすることも可能だったのにそれを放送してしまった番組側に責任がある。当然、製作側から謝罪文が出たが、AOAに対するパッシングは収まらないままだった。
さらに「Good Luck」のミュージックビデオに登場した車がいわゆる「戦犯企業」である日本車だというのも批判の的になった。もちろんそんなことはメンバーには関係のないことだが、ネット上には活動自粛を促すような書き込みが続く事態となった。
そんな中、5月16日予定通りAOAはカムバックを果たすが、ショーケースではメンバーが涙を流すシーンもあるなど、スタートから波乱の活動開始だった。
それでも SBS 「THE SHOW」、MBC「SHOW CHAMPION」で1位を獲得。結果を出して来たが、KBSの「ミュージックバンク」で異例の事態が降りかかった。集計のミスにより1位を獲得したのがAOAではなくTWICEであると発表されたのだ。AOAにしてみれば一旦手にしたはずのトロフィーを手放さなければならなくなったうえ、またも批判の矢面に立たされる事態に。
番組側が「集計ミス」と発表したにもかかわらず、「事務所が音源を買い占めた」などの不正行為を疑うような書き込みがネット上にあふれ、「AOA活動休止」という噂まで流れ始めた。事務所側もこのまま活動を続けてもプラスにはならないと判断し、活動を打ち切る形で終了した。
そもそも歌番組のランキングの集計方法については、不透明なことも多いし、多くのグループが凌ぎ合う韓国歌謡界ではスキャンダルはつきものだが、今回の事はAOAがトップガールズグループだったからこそ問題が大きくなった、というのはあるだろう。さらにミュージックバンクの事件もAOAとTWICEというどちらも時代を代表するガールズグループだからこそ注目も大きかったのだと思う。
2013年の「揺れる」のブレイク以来ガールズグループをけん引してきたAOA。セクシーさを推しながらもクラスメイトのような親しみのあるイメージで、新たなガールズグループのコンセプトを確立してトップグループに成長した。その反面多くの後輩グループがデビュー、ヒットを重ねて来た今、AOAは「攻め」よりも「守り」に入る時期になってしまったのだろう。
いわゆる「グッバイステージ」を行わないまま活動を終了したAOAは、応援してくれたファンに感謝の気持ちを込めて6月11日にミニライブ「Good Luck to ELVIS」(ELVISはAOAのファンの愛称)を行うことになった。韓国では単独ライブを開催したことのないAOAにとってミニライブとはいえ、期せずして初の単独ライブを行うことになった。
また7月には2度目となるソロコンサート「AOA Summer Concert in JAPAN ANGEL WORLD 2016」を東京と名古屋で開催する。
日本ではT.M.Revolution(西川貴教)とコラボ、「Good Luck」のMVも海外で撮影するなど、新たな一歩を踏み出したAOA。新たなステップを踏み間違えることのないよう、ここは少し慎重に歩む道を選ばなければならないのかもしれない。