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「建国記念の日」反対大阪連絡会議

2019年 第53回 小林啓治さん(京都府立大学文学部歴史学科教授)が講演

2019.02.11 06:25

開催日:2019年2月11日

会場:たかつガーデン8階たかつ

記念講演:「日本国憲法制定と天皇制・民主主義-戦後初期の象徴天皇制議論から現代的課題を考える-」

講師:小林啓治さん(京都府立大学文学部歴史学科教授)

文化行事:久保比呂志さん(津軽三味線)


 第54回「建国記念の日」不承認2・11大阪府民のつどいは、天皇の退位と新天皇の即位が予定される中、「日本国憲法制定と天皇制・民主主義-戦後初期の象徴天皇制議論から現代的課題を考える-」と題して小林啓治さん(京都府立大学文学部歴史学科教授)が記念講演を行いました。文化行事は、久保比呂志さんが津軽三味線を演奏しました。

 「天皇は政権の意に反する行動をしている」「日本の旧戦地をまわるなど、政権がやろうとしない過去との向き合いをしている」という意見や、天皇の積極的行動や言動について「政治的な期待」を持つ向きがありますが、本来は政権や国会がやらないといけないことを天皇が肩代わりしている点は、主権在民との関係でよく検証する必要があると、「建国記念の日」反対大阪連絡会議は集会を準備する中で議論してきました。

 これら現天皇(当時、明仁天皇)の積極的行動は、論議を象徴天皇制の枠内におさえる役割を果たしているとともに、「政治的な期待」を生んだり、そもそも退位が天皇のメッセージがきっかけとなるなど、一定の政治的な影響力を持つことにつながっています。

 また、代替わり儀式を含む天皇制のあり方がほとんど議論されることなく政府の閣議決定などで決められてしまったことも、主権と民主主義に照らして課題を残しています。


 小林さんは恒藤恭(戦後、大阪市立大学学長)の論議を中心にしながら、現代的課題として上記の事象について、「象徴権力」という表現。恒藤が象徴天皇制は国民主権や民主主義との関係で過渡的な制度であると主張していたことなどを紹介しました。

 現天皇の行動や言動について小林さんは、「現在の政権との関係で天皇の発言や行動は、『ねじれ』ているように見える。しかし、一見リベラルに思える発言や天皇即位以後の発言を丁寧に見てみると、慰霊についても侵略戦争を反省する旅なのかというと、侵略された人たちの慰霊ではない。天皇制維持のための行動だと見る必要がある。天皇に政権批判を期待するのは、二・二六事件の青年将校のようなもの」「天皇の存在は、究極的には自由や平等などの壁になるもので、民主主義的意識を弱体化させるもの」と回答しました。