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ロベルト・シューマン<ケルナーによる12の詩>より≪Stille Tränen(静かな涙)≫

2020.07.19 10:00

Facebook投稿【クラシック音楽バトンリレー】より


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【クラシック音楽バトンリレー第4日目】


 本日第4日目が一番迷いました💦

そして↓

①日本シューマン協会会員の私としては

②シューマンが最期に生活した街に住む私としては

ロベルト・シューマンの作品は外せないだろうと😉思い、第4日目はロベルト・

シューマンの歌曲<Stille Tränen(静かな涙)>をご紹介したいと思います。


 曲のお話の前に、実は私、ロベルト・シューマンがずーっと苦手でした💧

 協会に入ったのは、私が音楽の道へ進むきっけかをくれた中・高校の同級生、

現在も日本シューマン協会札幌支部長のピアニスト・影山裕子さんにお誘いを

頂いたから(でもお誘いはとても嬉しかったので、すぐに入会しました)。


 会員になってからも『シューマンが苦手な私が協会にいていいのかしら?』

と迷いましたが、今ではこのきっかけに感謝しています。

やはり自分の好みだけではいけない!!(笑)「知ろう」ともがくことが

理解につながる💪。<もがいて見えたパズル>がハマり、そこから感性や作品

の世界が広がることは、自分1人では生み出せないものだったなーとここ数年、

強く実感しています。


 さて、作品の話ですが、歌曲におけるピアノ伴奏は伴奏ではなく、『作品の

主要軸』だと感じていて、とてもとても大切です。といいますのも、 ドイツもの

だけではないと思いますが、歌曲伴奏を専門に勉強された歌曲の伴奏者は、

ピアノ部分だけで一つの世界を作り出します。

 その世界を描くのが卓越している歌曲伴奏、特に前奏で見えてくる情景が

あまりにも美しく素晴らしいと、自分が歌い始めるのが嫌になることも…😅

『ピアノで奏でられている素晴らしい世界観を壊してしまう💧』とドキドキ

したこともありました😍

 

 そんな歌曲のピアノ部分、シューベルトの歌曲にはまだ『ピアノ伴奏』と言う

ニュアンスが残っていたのに対し、シューマンの歌曲では『歌とピアノの二重奏』

と言う作曲家自身の意識的な変化を感じます。

 それゆえ、素敵なピアノ伴奏には緊張しつつも(笑)シューマンの歌曲のピアノ

部分は伴奏ではなく、独立したソロ演奏として充実していてほしいという期待を

さらに大きく持ってしまいます。


 この<静かな涙>では、ピアノが低音の和音を刻み、厳かに始まるので、最初は

少し伴奏的と感じるかもしれません。しかし低音から始まるせいか、和音がこの曲の

重厚さを表し続けます。

 そしてずっと、和音を刻み続けるピアノ部分は分散和音になることもなく、刻まれる

和音の列はいつしか伴奏を呈する枠組みを超え、この曲の大きな軸という印象を残し

ます。

 さらに、時にピアノから奏でられる旋律やトリル表現が、深い情感を表現する効果を

加え、この和音の柱列が描く世界観をより深く見せてくれます。

 多くのシューマンの歌曲は美しく歌われます。神経を遣い、豊かに優しく…。

  この<静かな涙>は迸る思いを全身で表現してもよい、シューマンの歌曲には稀な

作品ですが、作品の根が地面の下へ伸び続けていき、またその根を包み込むように

養分を与えていくような様が、人間の強さを信じ、それを鼓舞しようとしているように

感じます。


 バリトン好きな私が、やはり大好きなホセ・ファン・ダムのストレートな表現で

聴いて頂きたい録音です。↓

https://youtu.be/IBERl7zWHB4