単語ができるまで 形態論
タイトルに使っている形態論について説明したいと思います。ことばには、新しい単語を作るいろいろな仕組みがあります。そのような単語のでき方を研究するのが「形態論」です。例えばbooks はご存知の通り「本(複数形)」です。これは元々bookという名詞に複数を意味する「-s」をつけることによってできたものだとわかります。このように単語を細かく分けていき研究することを「形態論」と言います。この形態論を学んでいけば、単語のできる仕組みというものが見えてくるはずです。それでは、始めていきます。
※基本的な知識として、ことばには「意味をもった最小の形式」という基本単位があると考えられ、これを「形態素」と呼びます。
次の例文を見てください。このなかに形態素はいくつあるのか推測してみて下さい。
Ex, The police officer checked Tom's car carefully.
形態素というものが二つに分かれるということに気が付くと思います。
形態素→policeやcarのようにそれだけで単語になれるもの。(自由形態素)
形態素→-edや-lyのようにそれだけでは単語になることはできず他の形態素に付いて使われる もの。(拘束形態素)
拘束形態素に付いて少し細かくやっていきたいと思います。拘束形態素の大部分は「接辞」と呼ばれるもので、-edのように語形変化という文法的機能のようなものを「屈折接辞」
-nessのようにそれがつくことによって意味が変わり別の語を作るものを「派生接辞」という。派生接辞が語の頭に付けば「接頭辞」語の末端につけば「接尾辞」という。
語形成【複合】
自由形態素と自由形態素どうしの組み合わせで新しい単語ができることを複合と言います。例えば、
Ex, blackboard,housekeeping,drinking water,junk-in-the-box,hardworking,water proof,homemade,overflow,undertake etc
語形成【派生】
拘束形態素の派生接辞を用いて新しい語を作るプロセスを派生と言います。
接頭辞 un- : unhappy,unfair,uncertain,unfortunate,
in-(im-,ir-):impossible,incredible,irregular
dis-: disapper,disagree,dislike
接尾辞
名詞を作る -er: singer,worker,teacher
-ist: pianist,violist
-ment: appointment,treatment
-ness: happiness,brightness,kindness
形容詞を作る -able: acceptable,washable,lovable
-ic: heroic,organic,romantic
動詞を作る -ize: realize,criticize
-ate: domesticate,faciliate
副詞を作る -ly: happily,quickly,willingly
-wise: likewise,clockwise
単語を見たときに右端を見れば大体その単語の品詞が理解できてしまいます。例えば、singerは名詞を作る-erがついていますので名詞。他も同様です。unhappyも右端を見るとhappyですね。happyは形容詞なのでunhappyも形容詞です。このように単語は大体が右端が品詞の決定権をもっているのです。
語形成は他にも【転換】や【逆成】や【短縮】、【混合】などがありますが長くなってしまいますので、また気が向いたときに続きとして書いていきたいと思います。