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レオナルド・猫One〜🐾

「STARDUST TRAIN」〜流星の記憶〜

2020.07.17 03:09

作者から一言コメント

この台本は青春を過ぎて「青春時代」を一度は振り返る30代前のお話。

懐かしむ想い。大切な想い出。

そんな気持ちの中にふと、残してしまった、置き去ってしまった、想い出。

貴方の中にもそんな想い出、ありますか?



男性1

女性1

2人用台本


男性 拓弥役

女性 叶恵役

​​

​【プロローグ】

​​

​​拓弥:終着駅のない列車なら、どんなにいいだろう…こんなくだらない事を考えながら、隣に座る君を見つめている…

​​

​​叶恵:列車の窓に映る朝焼けに、反射した海の光が二人を包む。会話は何もない代わりに、寄り添い指先がそっと周りから押し隠すように繋がっている…

​​

​​拓弥:1つの思いだけが…燻り続けていた

​​

​​叶恵:この列車が着けば…また…いつもの生活に戻るから…どうか…今だけ…

​​

​​

​​

​【ストーリー開始】

​​

​​拓弥:懐かしい顔ぶれ、思い出達。忙しさに追われ、穏やかとは縁遠いままこなすだけの日々。

​​そんな中で目についた一枚の「ハガキ」

​​

​​拓弥:「同窓会のお知らせ…か」

​​

拓弥:いつもなら日時も確認しないまま、ゴミ箱へ捨てていた。だが、今回は…主催の名前に目を奪われた。

​​

​​拓弥:「幹事 榎本(旧姓 柊木) 叶恵…」(えのもと(きゅうせい ひいらぎ かなえ)


拓弥:​​懐かしい思い出と共に…締め付けるような切なさが身体の中を駆け巡った。

​​

​​

​​【回想1】

​​

​​叶恵:「いつか再会した時、もし私が独身だったら…拓弥、その時はお嫁にもらってね(笑)」

​​

​​拓弥:「バーカ。お前はいつも冗談が過ぎるんだよ…俺だって選ぶ権利はあるだろう?」

​​

​​叶恵:「…何よ。すごく綺麗になってるかも知れないし、一目惚れならぬ二目惚れするかも知れないでしょ?(笑)」

​​

​​拓弥:「そりゃお互い様かもな(笑)まぁ、その時が来たらわかる事だな」

​​

​​叶恵:「…ずっと待ってる…かも知れないし…」

​​

​​拓弥:「ん?なんか言った?」

​​

​​叶恵:「なんでもない♪」

​​

​​拓弥:お互いきっと好きだった。でもお互い踏み込む事はしなかった。下手な感情で、この関係が壊れてしまうのが嫌だったから。

​​

​​​​叶恵:幼い恋だったと思う。ただ待つことしかできない「恋」。夢も希望もたくさん未来には輝いていて、自然とその中へ溶け込んでいくものだと思っていた。

​​

​​

​​

​​【回想2】

​​

​​叶恵:「私ね?恋人出来たら叶えたい夢があるの」

​​

​​拓弥:「へぇ…どんな夢?」

​​

​​叶恵:「何もない草原に寝転んで、星が降る空を二人で手を繋いで…見上げたい」

​​

​​拓弥:「…は?まさかそんなロマンの塊みたいな夢を語るとは(クスリと笑う感じで)」

​​

​​叶恵:「うるさい…!そこには二人しか存在しないみたいな世界で…なんだかそれだけで…気持ちが寄り添ってる感じが素敵じゃない!」

​​

​​拓弥: 「乙女か(笑)でもまぁ、灯(あか)りもない所から見る星空はきっと圧巻だろうな!」

​​

​​叶恵:「星が降ってくる…そんな感じなんじゃないかなぁ…それだけでも素敵だけど」

​​

​​拓弥:「恋人と二人で叶える夢ねぇ…叶恵らしくていんじゃない?」(ダジャレ的に言う)

​​

​​叶恵:「バカにしたでしょ…!ゆるさないから!」

​​

​​拓弥:「してない、してないw」

​​

​​拓弥:「星が降る夜空」君が話してくれた夢…、どんな所があるか、いろんなとこを調べてみたが、今の自分ではとても連れていけない、遠い場所達。

大人になればきっとたやすく叶えられる。でも、そこへ進めば、大人都合の世界が待っていた。

夢を掴む為には追いかけられる時間、好きな事を好きだけの理由では、立ち向かえない事実。

「大人になれば、思い通りに事は進むと信じていた」もっと簡単に…当たり前のように…


​​

​​​叶恵:本当は星を眺めたかったわけじゃない。今は叶わなくても、貴方の横で当たり前のように

​​寄り添って過ごしたい。二人の時間を繋いでいけたら…


​​叶恵:「拙い、でも真剣な想い」


​​叶恵:繋がりが切れるのは、自然なのか…?それとも自分が耐えられなくなるからなのか…?相手が自分を時の中で忘れていくからなのか…そんな事もわからないままの真っ直ぐなあなたへの思いだった…

​​

​​

​​

​​0:【回想3】

​​

​​叶恵:「久しぶりに会ったんだからさ、もっと嬉しそうな顔してよ」

​​

​​拓弥:「叶恵と会うのは大学卒業して以来か…なんかあっという間の2年だったな」

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​​叶恵:「何回か連絡しても折り返しもないから…心配はしてた…」

​​

​​拓弥:「悪かったよ。なんか本当に仕事に追われて…ただ今を追いかけることに必死になってた…」

​​

​​叶恵:「私は…平凡にOLを突き進んじゃったから…あんなに夢を語ってたのに。

​​気がつけば毎日同じことの繰り返し…」

​​

​​拓弥:「俺ももっと自分は出来るやつだと信じてたところがあった…。

​​でも実際は、周りはすごくて、俺は現実に打ちのめされた。

​​だけど、負けたくないんだ。自分に」

​​

​​叶恵:「拓弥は変わらない…ね…。真っ直ぐな眼差しも、自分に対しても…変わらない。なんだか…嫉妬してしまいそうだよ」

​​

​​拓弥:「叶恵…どうした…?何かあったのか?」

​​

​​叶恵:「何もないよ…だから、不安になるなんてきっと、拓弥にはわからないよね」

​​

​​拓弥:「不安か…俺も焦りがいつも根底にある。このまま埋もれていくのか…やりたい事まで手が届かず諦める人になるんじゃないか…そんな漠然とした不安。だからもがいてる。今できる事を必死で…追い求めてる」

​​

​​叶恵:「そうだよね…。でも私は…自分に…自分の心に…負けそうなの…強くないから…」

​​

​​拓弥:「…叶恵…おいで…」


​​拓弥:本当は気付いていた。君の気持ちも、心の中に蔓延るように浸透していく不安も。

​​初めて君に触れた夜、自分の中にある弱さ、君の中にある弱さを…二人で埋めあった。その瞬間だけは目の前の叶恵の肌だけに縋りついて…。

​​でもまだ…自分の事に必死すぎて、確信に気付かないフリで誤魔化した。

​​

​​叶恵:「このまま…時が止まれば…いい…のに…」

​​

​​叶恵:わかっていたの。貴方の中で私がどんどん影になっている事を…それでも繋がっていたかった!貴方の中で過去の私になりたくなかった!だから縋った…。私の中の想いを貴方の優しさに託(かこつ)けて。忘れ、られたくなかった…!私も貴方の中で同じ時を過ごしたかったから…。

​​

​​

【現在】

​​

​​拓弥:同窓会が行われる会場には、懐かしい顔触れが揃っていた。久しぶりだなと、声をかけられながら愛想笑いを繰り返しながら。

視線を向けた先で、あの頃と変わらないままの笑顔を浮かべた君の姿が目に飛び込んできた。

あの頃より大人びた、落ち着いた雰囲気…。君はとても綺麗に…なっていた。

​​

​​

​​叶恵:貴方の姿を…10年近く過ぎても迷う事なく見つけてしまう。「断ち切った想い」貴方が見つめる未来を、私は縛り、奪ってしまうのだと、気付いたあの日。私が出来る事…、それは貴方への想いを閉じ込める事だった。

​​

​​拓弥:「久しぶり…だな」

​​

​​叶恵:「うん…本当、あれから10年近く過ぎたなんて…嘘みたいね」

​​

​​拓弥:「もう…そんなになるんだな…」

​​

​​叶恵:「自分の夢に必死だったから、振り返る暇なんてなかったでしょ?」

​​

​​拓弥:「…振り返る…か」

​​

​​拓弥:何度も…、君に縋ろうと思った。君の優しさ、肌の温もり、そっと寄り添ってくれるそのあたたかな眼差し。でも、足りない物だらけの自分、君に縋るだけの情けない自分になりたくないからこそ、必死になって走り抜いた。「君の夢を叶える為」に...。

​​でも、それ以上に。時の流れの速さについていく事に…必死になり過ぎてしまったん…だ。

​​

​​叶恵:貴方の前から消えようと決めた。だから連絡先も、住所も全て変えた。それでももし…貴方が、私を探してくれたら…と一縷(いちる)の願いもどこかで抱いていた。あり得ないとわかってたのに...。

​​

​​拓弥:「結婚…したんだな…」

​​

​​叶恵:「ええ…2年前に…ね」

​​

​​拓弥:「そうか…2年…前か。うん、幸せそうでよかった」

​​

​​叶恵:「幸せ…よ?私を愛してくれるから」

​​

​​拓弥:「とても綺麗になってて…幸せなのがわかる。安心したよ…」

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​​叶恵:「拓弥は…まだ独身のままなの?」

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​​拓弥:「…あぁ、ここまで登り詰めるのに時間が足りな過ぎて

​​振り返れば…独身のままだ(笑)

​​

​​叶恵:「真っ直ぐな瞳はあの頃と変わらないのね…時は容赦無く進むもの…懐かしく感じるのは…それだけ歳を重ねた…からなのかなぁ」

​​

​​拓弥:「…ひとつだけ聞いてもいいか?」

​​

​​叶恵:「…なぁに?」

​​

​​拓弥:「星の降る夜空の夢は…叶えたのか?」

​​

​​叶恵:「!?……そんな夢は…忘れてた…わ」

​​

​​拓弥:「そうか…変な事聞いて悪かった」

​​

​​叶恵:心臓がえぐられる様な…痛みと、貴方の優しさが全身に込み上げてきて、閉じ込めたはずの想いが…堰を切って涙と一緒に溢れそうになるのを、抑えるのに必死だった。

​​

​​拓弥:君の手を握りしめ、ここから飛び出したい気持ちを、奥歯でかみ砕くようにねじ込んだ...。君の中に、俺を思う気持ちが残ってる、そんな身勝手な想いを感じる自分。

そうであって欲しいと…、叫んでしまいそうな想いが渦巻くのを必死で押し隠し、同級生たちとの昔を懐かしむ会話中も、どこか上の空だった。

​​

​​

​​

​​

​​【現在2】

​​

​​

​​拓弥:二次会まで懐かしい顔ぶれと懐かしい話題に花が咲いて盛り上がりをみせた。

だが、自分の様に独身の者はもう数える程しかいなくなっていた。

​​当たり前の様に…皆、自分の家庭の中へと帰っていく。

​​その姿を見送りながら、過ぎ行く時の中に一人取り残された自分を痛いほど感じて、そっと…空を見上げた。

​​

​​拓弥:「故郷の夜空は星がこんなに見えるんだな…あの頃は気付かなかったよ」

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​​叶恵:「今日はこっちで泊まるの?」

​​

​​拓弥:声に振り返ると、叶恵が同じように空を見上げていた。


​​​​拓弥:「あぁ、3日程休みを無理やり入れたんだ。自分を振り返るにはいい機会だと思ってね」

​​

​​叶恵:「そっか…

​​本当に走り抜いてきたんだから、たまには息も抜かないと…かな?」

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​​拓弥:「柊木…あ、榎本さんか…」


​​叶恵:「やめてよ…叶恵でいい」

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​​拓弥:「…わかった。叶恵は帰らなくて、いいのか?」

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​​叶恵:「主人がたまたま長期の出張も重なって、里帰りも兼ねてこっちに戻ってきてるの。来週までこっちで過ごすつもり」

​​

​​拓弥:「それはまた、働き者のご主人だ。あれ?叶恵、子供は…?」

​​

​​叶恵:「結婚したのは2年前だけど、一緒に暮らし始めたのはこの春からなの。だからまだ授かるチャンス待ちかな」

​​

​​拓弥:「子供好きだもんな、叶恵は。未来は、楽しみが盛り沢山だな!」

​​

​​叶恵:「そうね…そうだといいな!」

​​

​​拓弥:伏せ目がちに微笑む君を見つめながら、何故か悲しさが滲むのを感じて思わず手首を掴んでいた。


​​拓弥:「なぁ…入れないのはわかってるんだけど、高校の校舎行ってみないか?いや、この際だ!時間あるだろ!付き合え!!」

​​

​​叶恵:「あ…うん!」

​​

​​拓弥:懐かしい景色…毎日通った通学路。時が経っても消えない想い。街並みを2人で駆け足で通り過ぎながら、学生だった日々が走馬灯の様に浮かぶ。

​​

​​叶恵:ただ毎日が幸せだった。貴方に会えること、他愛のない話。部活帰りに寄ったカフェテリア。

​​

​​拓弥:時が遡っていく...。そんな気持ちに指先が熱くなる!

​​

​​叶恵:握られた手首の熱が、焦れる様に広がっていく!

​​


​​拓弥:「変わらないな!!!」

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​​叶恵:「懐かしい!!!なんか思えばあの後ここに立ち寄ったりしてないから」

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​​拓弥:「意外とそんなもんだよな…うわぁ…なんも変わってない…あのまんま」

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​​叶恵:「あ!裏の入り口…変わってなかったら施錠されてないかも?行ってみる?」

​​

​​拓弥:「あぁ!行こう!」


​​拓弥:案の定、あの頃と同じまま閂(かんぬき)で閉められただけの裏門閂差(かんぬきさ)しをスライドさせると、静かに佇む夜の校庭に…二人で足を踏み入れた。

​​

​​叶恵:本当は…過ぎ去った私達が、簡単に踏み込んではいけない場所だって事はわかってる。でも…何故だろうドキドキが止まらない

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​​拓弥:「あぁ、…懐かしい…!」

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​​叶恵:「うん…本当…!」

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​​拓弥:「よく入り浸ってたなぁ、図書室…」

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​​叶恵:「教室から拓弥がこの校庭で部活してるのを見つけるの私、得意だった…」

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​​拓弥:「へぇ…それは初耳!」

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​​叶恵:「あ…。うん…そうだよ…ずっと姿を追ってた…本当にそれだけで幸せな…日々だった」

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​​拓弥:「…俺は…いつも、部活終わりに叶恵の教室の席を…覗くのが日課だった。」

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​​叶恵:「えっ?」

​​

​​拓弥:「今だから打ち明けると…、荷物がある日は…下駄箱で待ってた」

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​​叶恵:「…あれって…偶然じゃなかったんだ…」

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​​拓弥:「(笑)お互い不器用だったな…」

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​​叶恵:「…(驚きと思い出に涙があふれる)」

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​​拓弥:「泣くなよ…叶恵…頼む…泣かないでくれ」

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​​叶恵:「…泣いて…なんかない…」

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​​拓弥:「叶恵の、優しさに甘えてた…それだけは…わかる」

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​​叶恵:「優しくなんか…ない!私は!…自分で…いっぱい、いっぱいだった…」

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​​拓弥:絞り出す声に…握りしめていた君の手首からそっと下へ降りて指先を絡めた。その時…薬指から感じた冷たさに…懐かしい気持ちから一気に現実へ引き戻される。そう…君はもう…誰かのものになったんだ…と。

​​

​​叶恵:貴方の熱を帯びた指先が…左手の指先に絡んで、思わず自らも握り返そうとした時…指がそっと止まったのがわかった。「薬指」の指輪…。そう…、どれだけ思いが今さら溢れ出しても…私は貴方への思いを…封じ込めて…貴方の前から逃げたのは、私なのだから!

​​

​​拓弥:「指…、ごめん…、。懐かしいからって…思わず極まっっちゃって、失礼だったな…」

​​

​​叶恵:「やだ!!!お願い…今だけでいい…解(ほど)かないで…」

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​​拓弥:「...叶恵。」

​​

​​叶恵:「今だけで…いいの…」

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​​拓弥:自分が過ごした時の中で、置き去りにしたものの答え、。そう…それは…君への想い。

​​

​​叶恵:封じ込めたはずの想い。自分の気持ちが抑えられなくて、貴方の前から消えたのは…私。

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​​拓弥:「ずっと好きだった!いや…ごめん…!今でも本当は…好きだ!」

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​​叶恵:「ズルいよ…拓弥…でも1番ズルいのは…貴方への想いから逃げた私」

​​

​​拓弥:「電話が繋がらなくなった時…叶恵から愛想を尽かされたんだと悟った。

まだあの時の俺は、何もないただの理想を追いかけるだけの奴だった…」

​​

​​叶恵:「学生の頃から真っ直ぐ見つめた夢を追いかける貴方を…応援したいと思っていた。

​​でも…私には何もなかった…貴方に誇れるものが…自分にはない…そんな気持ちが貴方の夢を奪いそうになった…」

​​

​​拓弥:「わかってたんだ…叶恵の心が揺らいでたことも…だけど労われなかった…自分の事で…必死だった」

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​​叶恵:「貴方が私の肌に触れてくれたあの日…。これで私は生きていけると思った。貴方との思い出は私の中で支えになるって…だから貴方への思いを、すべてを断ち切った...はずだった!」

​​

​​拓弥:「幸せ…なのか?…叶恵…幸せ…なんだよな…」

​​

​​叶恵:「…幸せだよ…」

​​

​​拓弥:「俺の目をみて…叶恵。お前は、ご主人を愛してるのか?」

​​

​​叶恵:「拓弥…。貴方への思いはきっと誰かを超えるとかそういうものではないのだと…わかってる…

​​私の中で…貴方ごと…大切な青春そのもので…切り離す事は出来ないものなんだって…でも…それごと…寄り添ってくれたあの人の事を…私は…大切にしたいと思ってる…」

​​

​​拓弥:「そうか…うん…わかってる。本当はちゃんとけじめをつけたかったんだ…お前への気持ちを捨てられなかった、お前を諦めきれなかった…過去から今までの…置き去るフリで蔑ろにした自分の心を…」

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​​叶恵:今日が終われば…きっと私達は…過去になる。それでいい、それが幸せなんだと。わかっている!だからちゃんと昇華させなければいけない。

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​​拓弥:どれだけ色んな人に出逢っても、忘れられなかった。どれだけ悔いても…遡れないものがある。だからこそ…君の幸せを、俺は心から願わなければいけない。

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​​【現在3】

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​​拓弥:「まだ…間に合うな…」

​​拓弥:時計を見ると…二十一時二十分。

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​​拓弥:「叶えたいと思ってた事があるんだ…最後のわがまま、聞いてくれないか?」

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​​叶恵:「なぁに?」

​​

​​拓弥:「星を…見に行こう!」

​​

​​叶恵:「え?」

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​​拓弥:「ここからそう遠くない所に、星見ヶ丘(ほしみがおか)ってところがあるんだ…列車に乗れば今から間に合う。行かないか?帰りは始発になるが…」

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​​叶恵:「わかった…実家に連絡だけしておく…心配させちゃいけないから」

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​​拓弥:「わかった。その間にちょっとコンビニで買い物だけしとく…ま、ちょっとした…遠足気分だな!」

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​​拓弥:この時間はまだ流石に人通りは賑やかだが、いざ列車に乗ると、人のまばらさが妙に心を落ち着かせてくれる。

​​

​​叶恵:母に同窓会で盛り上がって、そのままお友達の家に泊まる事となったと…嘘をついた。

​​叶恵:罪悪感よりも…まだ離れたくない気持ちが…強かったから。

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​​拓弥:向かいあって座ればよかったのかもしれない。でも隣で体温を感じていたかった。酒に弱くはないが、酔った勢いに身を任せるぐらいの気持ちで、君の隣で揺られていたかった。

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​​叶恵:私が先に座れる様に振る舞って、その後そっと隣に座った貴方が愛しくて、何度も…何度も…今だけだから…と呪文の様に心の中で唱える。

​​

​​拓弥:列車の揺れが気持ち良くて、君の肩に頭を擡(もた)げてみる。いつもならきっと出来ないだろう。でももう自分を抑える事を、今だけは捨てた。

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​​叶恵:肩に重みがそっとおりてきて…ただそれだけで…泣きそうになる。貴方の温度が肩から私の中へ広がっていく…このまま到着駅など来なければいい!そんなことまで、思ってしまう...。

​​

​​拓弥:終点の駅に着くと、辺りは闇に包まれていて、街灯もまばらで暗闇に近い。

​​ただありがたいことに、駅にはタクシーが常在していてくれて、星見ヶ丘までと伝えるとスムーズに俺達をその場所まで運んでくれた。

​​

​​叶恵:タクシーの中でそっと手を握ってくれていた。

​​いけない事をしてる罪の意識に1人だけ取り残されない様に…貴方の優しさが、流れ込んでくる。

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​​拓弥:「本当に…真っ暗闇だな…あ、まだ空は見たらダメだぞ?!」

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​​叶恵:「うん…わかった…でも本当に…全く先の道が見えない程、街灯もない真っ暗な場所が今でもあるのね…」

​​

​​拓弥:携帯を取り出して、明かりをつけそっと手を取り合って道を進んでいくと虫の声が草むらから響いてくる。この世界には二人きりの様な、そんな錯覚が起きそうになる。

​​

​​叶恵:迷いもなく歩く貴方に導かれて進んでいく…きっと貴方は…ここに私を…連れてくる事をもう何度も考えて…調べてくれていたのだと…足取りから感じ取れる…

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​​拓弥:「さあ着いた…寝っ転がるためにはっと…コンビニで新聞買ったからこれを敷き詰めて…よし。出来た!さぁ、叶恵こちらへどうぞ?」

​​

​​叶恵:「すごい…((笑) 準備万端…!」

​​

​​拓弥:「朝方は冷えるみたいだから、この遮熱マットをかければ熱が逃げなくなるから凌(しの)げる…はず…よし、星を思う存分楽しむとしよう!」

​​

​​叶恵:伏せ目がちに歩きながら、貴方が準備してくれた場所に寝そべると…

​​叶恵:そこにはまるで今にも落ちてきそうなほど散りばめられた星たちで埋め尽くされた空だった…

​​

​​叶恵:「え…なに?!こんなに星が…!!宝石箱をひっくり返したみたい…!」

​​

​​拓弥:「海外にも星の綺麗なところはあるけど、日本の中にもこんなに綺麗な星空を見れる場所があるって知ったんだよ。それも意外と身近な場所にね!いつか叶恵とこの星空を…みたいと思っていた。ようやく叶えることが…出来た」

​​

​​叶恵:「…うん…。覚えてくれていたことが…嬉しかったの…」

​​

​​拓弥:「二目惚れの約束は…もう叶わないけれど…これだけは…叶えたかったから」

​​

​​叶恵:「…ばかね。本当に…私は…ばかだった…」

​​

​​拓弥:「違うよ…?叶恵は、俺をちゃんと導いてくれた…この時間を俺に与えてくれた…ありがとうな」

​​

​​叶恵:「…私は…貴方を忘れたくて…紹介された主人と付き合い始めたの…自信も何もかも失った私を…彼は…何も言わないで寄り添おうとしてくれた…」

​​

​​拓弥:「…あぁ」

​​

​​叶恵:「それでも…貴方の影は私の中で消える事が無かった…」

​​

​​拓弥:「…ごめん」

​​

​​叶恵:「彼はとても誠実でね?貴方を思うままの私を、そのまま抱きしめて愛してくれてるの。真っ直ぐな貴方と、同じように」

​​

​​拓弥:「…素敵な人と出逢ってくれてありがとう、叶恵」

​​

​​叶恵:「拓弥…貴方を…待てなくてごめん…なさい…」

​​

​​拓弥:「いや…これでいいんだ。この先何十年経っても、この気持ちは色褪せないもの。だから、それ以上に君が幸せでいてくれたら…俺も頑張れるからさ」

​​

叶恵:​​「貴方を忘れる事は出来ない…だけど、貴方を待てなかった自分をどこかで悔いていた…。だから今日、…私達はこの想いを昇華させて、これからの幸せを願いたい」

​​

​​拓弥:「あぁ…そうだな…12年の月日の中で置き去った影達が、ようやく星空と一緒に答えを導く…」

​​

​​叶恵:「だから…今日だけは…過去からの想いの丈、全てを…貴方のそばで貴方を感じさせて?」

​​

​​拓弥:「…叶恵…好きだ…ずっと忘れられなかった…。誰を写しても誰といても、君の影が俺の中で消える事は無かった…」

​​

​​叶恵:「…拓哉も苦しんでくれたのね」

​​

​​拓弥:「明日、日常へ戻ったら。この想いは思い出として生涯大切にしまい込む…だから…」

​​

​​叶恵:「いい…よ…?私も望んでるから」

​​

​​叶恵:星空へと吸い込まれるように、貴方の温かさが唇へと降り注ぐ。

​​

​​拓弥:温かさが、全ての想いをつなぎ合わせ、過去から未来へと進もうとしている。

​​

​​叶恵:お互いの瞼から溢れる想いと一緒に。涙となってお互いを濡らしていく。

​​

​​拓弥:その涙は、流れ星のようにすっと溢れては、消えていった。

​​

​​叶恵:「星が降ってるみたい…」

​​

​​拓弥:「あぁ…本当に…とても優しくて綺麗な、流星群だ」

​​

​​

​​

​​【現在4】

​​

​​

​​拓弥:朝焼けが白むまで色んな想いを紡ぎあった。空から流れる星と一緒に

​​また一つまた一つ…流れては消えて昇華されていく。

​​

​​叶恵:何度も口付けを交わし、でもそれは愛でもあり優しさでもあり、過去からの決別でもあり、お互いの中で優しい時間へと移り過ぎていく。

​​

​​拓弥:「寒くなかったか?」

​​

​​叶恵:「拓弥のおかげで肌寒さは感じなかった、ありがとう」

​​

​​拓弥:「それならよかった…!」

​​

​​拓弥:帰りの列車に揺られながら、この旅がもうすぐ終わりを迎えようとしている。

​​

​​叶恵:始発の列車は2人きりで、この列車がつけば…もう二度と想いを交わらせる事はない。

​​

​​拓弥:何もかも捨てて、君を奪うつもりだった

​​

​​叶恵:何もかも捨てて、貴方を求めたかった

​​

​​拓弥:だけど君の幸せはもう俺の隣にはないのだと。

​​

​​叶恵:私の横では貴方は輝けないのだと。

​​

​​拓弥:お互いを理解しているから。

​​叶恵:それぞれの別の道を私達は選ぶ。

​​

​​拓弥:「着くまで…繋いでていいか?」

​​​​叶恵:「うん…握っていて」

​​

​​拓弥:君に捧げる言葉は「さよなら」じゃなく

叶恵:大切な想いを「ありがとう」…


​​

​​拓弥:「じゃ…また会う時は…お互いもっと幸せであれるように!」

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​​叶恵:「ええ…笑顔の絶えない優しい家庭を築いてみせるわ♪」

​​

​​拓弥:「…ありがとう…幸せだった」

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​​叶恵:「…ありがとう…幸せでした」

​​

​​拓弥:お互い今にも泣きそうで、それでもどこか清々しい想いで満たされている。

​​

​​叶恵:振り返れば泣いてしまいそうだから、真っすぐ前を向いて貴方の想いを抱(いだ)き歩き出す。

​​


​​叶恵:「…じゃあ!また会う日まで」

​​​​拓弥:「あぁ!また会う日まで、元気で!」

​​

​​拓弥:お互い振り返る事は無く背中越しで交わした「お互いへのエール」

​​叶恵:朝の雑踏へと吸い込まれていく足音と共に、互いの幸せを願う。

​​

​​

​​叶恵:どうか…貴方の未来が誰よりも幸せでありますように…!

​​拓弥:どうか…君が、心からずっと幸せでありますように…!

​​

​​

​​