【エッセイ】娘に「きな粉」と名付けたいと言ったら全力で止められた件
きな粉が好きだ。全ての粉の中できな粉が一番好きだ。餅につけて食べるのが最高だが、和菓子なんかも良い。地方のお土産コーナーでは、きな粉と付いているという理由だけで買ってしまうこともある。そのくらい愛している。だから当然、娘が出来た際には「きな粉」と名付けたい。当然、最後の文字は「子」ではなく「粉」だ。そこは譲れない。
そんな話を過去に何度かしたことがあるのだが。誰が相手であろうとも、共通しているのは「全力で止められる」ということ。例外はない。子供がいじめられるよ、とか。それだけはやめてあげて、とか。もはや本当に心配している感じで、みんな言ってくる。
そうか。ダメか。きな粉。良い名前だと思うけどな。第一かわいいじゃないか。そんな名前の子供、見たことない。だから他の子供と間違えらなれないし、インパクト大。呼んだらすぐに来るよ、うちのきな粉は。と、粘ってみるものの、更に強い調子で止められるので、これ以上はもう言わないようにしている。
せめて動物の名前にしたら?と妥協案も出てきた。なるほど。人間はかわいそうだけど、犬なら良いか。柴犬あたりだと、きな粉っぽい色のもいるしな。ということで、きな粉は犬の名前になりそうだ。
とは言うものの、人間以外の動くものが怖くて触れない。ソニーのAIBOで「ギリ、アウト」なのだ。そんな男が犬を飼うなんて絶対に無理。だから娘につけたいって言ったのに。あ、娘もいないか。そもそも結婚すらしていない。じゃあ、きな粉というネーミングの行き先はどうなるんだ?
子供が生まれる予定の友人や知人には「きな粉、使っていいよ」と勧めているが。みんな迷惑そうな苦笑いで「うん、大丈夫・・・」と言ってくる。そうか、きな粉は付けないのか。そんなことを言い出して、かれこれ5年は経っている。今日も元気に生きてます。