運動失調と心のはたらき ~野口裕介先生(ロイ先生)講義録~
≪野口裕介先生(ロイ先生)講義録より≫
運動失調と心のはたらき
前文略
頭部第五調律点にずっと力が集まってしまって硬直した状態になっているのは、ある意味体が弛まなくなっている状態、緊張状態が長く続いている状態を示しています。
前傾している状態が長く続いているということで、それは一つの運動失調を起こしている状態なわけです。それ故ここは、前後の動きを調節するという時に必要な処でもあるのです。またここは、眠りと大変関係のある処で、眠りを深める急処でもあります。
ともかく、前に傾いてしまっているようなタイプの人の運動失調状態を調整するには頭の第五調律点が一番必要とされるわけです。
その場合、頭の穴追いをやれば誰でもできるからよいのではないかと思うかもしれませんが、穴追いは確かに秋口には良いけれども、十二月になると頭を愉気してもあまり変化しない。
しかし緊張過剰状態が続いている人とか、一年中必要な人はいるわけです。
中略
さて、頭の第五調律点という処ですが、後頭骨の真ん中辺りの少し高くなっている場所です。
頸椎の一番というのは触れません。一番は横突起があるだけで、棘突起といわれている突起がないからです。横突起という横に棒のようになっている線が繋がっているのですが、そこが極端に歪んでいるのは、たいてい精神的におかしい人の特徴でもある。
おかしい人は自分ではあまりおかしいと思っていないものです。だからおかしいと言われればおかしいのですけれどもね。
頸椎の二番は触れます。しかしやはりそこが歪んでくると頭に負担がかかっている状態でもあります。けれども立ち直るときにはこんなに歪んでいた頸椎の一番とか二番の動きが変わりだしてきます。
滅多なことでは歪まないものですが、或る状態に陥ってしまうと歪んでしまう。
しかしまだらボケ状態というか、臨時におかしいという人はけっこういるものです
。
私の知っている人でもAさんという人は後頭骨にコブのある人でした。コブというか、後頭骨が左側にガタツと飛び出している。野口先生にこう言われたそうです。「これがもう少しこちらに出ていたら、頭がおかしい人です」と。もっともその人は「うん、自分でもそうだと思う」と言ってました。
Aさんは、小学校、中学校と飛び級で、東大にストレートで入って、二十歳で東大卒という人でしたが、わずかな歪み方の違いでずいぶん差があるものです。
そういうことはもちろん第五調律点にも関係ありますが、後頭骨の動きにも出てきます。
例えば後頭骨の片方の側が異常に低くなってしまう。左右で高低差が出ている。これは、頸が臨時に曲がっている一つの現象でもあります。そうすると神経的には休まらない。一時もポカンとできなくなっている状態です。
要するにポカンとできなくなってしまう状態というのがおかしい状態なのです。本来人間の心の状態が一番自然な状態というのは、ポカンとしている状態です。何も考えていない。
もっとも、ずっと考えていなければ、それはボケているのですよ。けれども、一瞬もポカンとできない状態というのは、頭がきちんと働いているとは言わない。却って頭の状態は素直に働かない状態とも言えます。
また頸が捻れてしまうというか、頸椎の二番が捻れて左右に傾いてしまったというような場合にも同じようなことが言えます。頭骨の形にそういうものが出てくるのです。
写真
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