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The Weekend Traveler

もはや幻。伊勢志摩の旅。

2020.07.18 08:34

それはもはや遠い昔のような2月の話。

コロナがじわじわ迫ってきて会社でも対応に追われまくり、遂に予定していたカンボジアの旅をキャンセルせざるを得ない事態に。悔しいったらない。


他にもう一件、会社の福利厚生で手に入れたゼロ円宿泊の旅がスタンバイしておりましたとさ。


行くよ。

あたしは行くよ。


カンボジアキャンセルの反動もあって、三密回避を心に誓い完全装備で向かった先は三重県の伊勢市。

でも伊勢神宮じゃなくて向かうは伊勢志摩。


ガラ空きの新幹線でガラ空きの名古屋を経由して近鉄で賢島へ。

伊勢志摩サミットでにぎわった賢島だけども、このご時世だからかいつもそうなのかわからないけど密とは程遠く、車内はこんな。


ひゅ~!貸切!独占!

早朝に横浜を出たので座席を贅沢に使わせてもらって爆睡したら勝手に賢島に着いた感じだった。

かっちょいい近鉄を動かす車掌さん。

乗客がいてもいなくても動かしてくれるんだもんね。ありがとうございます。おかげでここまで来れました。


・・・がしかし、時は3月。

何もかもが閉まっている事実。

伊勢志摩サミットの資料館も休館中。税金の使い道をたっぷり検証してやろうと息巻いていたのに残念無念。

併設されたカフェだけ開いていて地元のみかんジャムを添えたパウンドケーキでもいただきながら、かっちょいい電車を眺めることに。

電車は基本的に乗るのが好きなんだけど、こうやって特急と普通列車がツラ合わせで並んでたりするとドラマがあるなーなんて勝手に空想しながらばしばし写真を撮る。

施設の類はどこも開いてないからいつでもオープンなところに行ってみよう。

というわけで一駅戻って伊勢明神にある神社へ。

性善説に則ったシステムが未だに生きててなんだかほっこりする。


駅から10分ほどてこてこ歩いて到着。

はい、もちろん誰もいません。

と思ったらいたーーーーーーーーーー!!

お参りがルーティンみたいなおじいさんを発見。

ちょうどお祈りしているところだったので、本堂あたりまで靴を脱がなきゃとか、そもそもあそこが本堂か、とかいろいろ分かって、なんとかここの神様に失礼こくのを免れたわたし。人のふり見るのも時には大事。

絵馬でチラッと地元のみなさんの願いをのぞき見してみる。

「中学になっても勉強をがんばる」とか素朴で健気な願いばかりで、こんなのんびりした賢島まで来て「ユーチューバーになりたい」とかに出会わなくて勝手ながらちょっとほっとする。ぜひともここの若者たちみたいな子に21世紀を支えていただきたい。


夕暮れが近づいてきたので宿へ向かう。

勤続で手に入れた旅の宿。会社よ、ありがとう。

道中はこんなかわいい風景にも出会って、なごみまくる。猫派だけどその瞳と両手は反則ですぜ、わんこよ。

部屋からの眺めはとてもよくて、夕焼けもきれい。

コロナ対策だ、リモートワーク導入だって追いかけ回されてた世界を置いてこれた実感がじわじわ。

前に夕焼けなんてみたのはいつだっけって思い出せない。

宿までもなんと貸切!!

コロナで私たち以外全部キャンセルになったそう。

ここは私たちの別荘だと思って大いに楽しもうじゃないか!


と、この昭和の名残漂う、でもとてもきれいに清潔に管理されてるお宿で、私たちは携帯から離れてオセロに興じ、地元の雑誌から明日行く場所を探し、宿の割高自販機でじゃぶじゃぶハイボールを買って飲んで、幸せな酔いの中、眠りに落ちて1日はおしまい。


観光客がいなくて空っぽみたいな町でも、静かにちゃんと人の営みがあってこんな半島の末端まで来てもまだ世界が生きていて安心した。

宿のおばちゃん達も私たちしかいないのに丁寧に接してくれて、こんな時期に来てしまってすみませんって気持ちも少しあったけど、こんな時期に来たからこそ志摩の風景と優しくてやわらかい賢島の雰囲気をみんなにも伝えたいと心底思った。


きっと次に訪れるときには賑やかな伊勢志摩に戻ってる事を祈って、翌日の神島につづく。