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台湾いとしこいし

国立台湾博物館・南門館。目立たないけど、穴場の素敵スポット!

2020.07.19 12:30

6月と7月、最近の私のマイブームは台北古跡めぐり。

台北駅周辺の以前何度も行った事があるところが中心だが、何度行っても素敵なところは素敵なのだ。

という訳で、先週はザ基本中の基本、国立台湾博物館の本館とお向かいの古生物館からご紹介したのだが、本日は引き続き、国立台湾博物館・南門館をご紹介したいと思う。

(本記事の写真は2019年に撮影したものです。新しいのが無いので汗)


国立台湾博物館・南門館は、「南門」という名前からも分かるように、旧台北城の南門エリア、現在の中正紀念堂近くに位置する。MRT中正紀念堂駅1番出口から歩いて2、3分、表の通りからだと大きなビルに隠れて目立たない場所に、ひっそり佇んでいる。

正直申しあげて、私も2019年の初訪問まで、南門館がここにあることを知らなかった。

しかも、毎週のように中正紀念堂を散歩しているにもかかわらず、だ。しかも前を通りかかったこともあるのに……! これは恥ずかしい。

という訳で、2019年の夏のある日に散歩途中に涼みに行くのも兼ねて、足をのばしてみたのが最初の訪問となったのであった。

さて、南門館である。

正門を入るとすぐに目に入る赤レンガの建物は、紅楼と呼ばれている元樟脳倉庫だそう。

奥に見える白っぽい建物は、小白宮と呼ばれている元物品倉庫。

紅楼のほうで資料を展示しているので、まずは紅楼へ。

入口で入場料20元を支払ったときに、「予約してますか?」と聞かれ「?」となった。

博物館に何の予約がいるのか。良く分からず聞いてみると、2階は時間制入れ替えの見学になっているのだが、子供向けの市場体験コーナーは予約している人しか遊べないのだという。

予約なしでも建物の2階部分の見学は可能なのか聞くと、時間指定の整理券があればOKという。時間はもうすぐ13:30。次の14:00の回を見学できる整理券をもらった。

あらためて、展示エリア内へ見学へ。

展示資料を見ていくと、ここは元々、1899年建設の、日本統治時代に専売品だった樟脳とアヘン(!)を製造していた工場だったという。樟脳はともかく、アヘンというと、医療用もあったかもだけど、負の歴史の方もあるのだろうなと、複雑な気分。

いま見学している紅楼は1914年に建てられたものだそうだ。

往時の資料とともに、樟脳の木片や樟脳精製システムなどを興味深く眺めていると、14:00近くになり、小さいお子さんと親御さんがわらわら階段付近に大集合し始めた。こちらのみなさんは予約組なのだろう。

時間少し前に、スタッフによる見学の説明があり、14時に予約組も整理券持ちの見学者も、一緒に階段で2階へ。

予約組の方たちが遊戯の説明を受けている間に、私は2階の建物を見学。なんだか可愛らしい食品のぬいぐるみでいっぱいだが、一応元の建物の構造もよくかかって満足。

後方では子供たちの市場体験が始まっていて、楽しそうな歓声が響いていた。

ひと通り建築構造を見学し終わったところで1階へもどると、先ほどの混雑がウソのように静かで空いていた。これは改めてじっくり見学できるチャンスだなと思っていたところ、スタッフの人に、「お時間おありですか? 今からガイドツアーが始まるんですが、参加してみませんか?」と声をかけられ、参加することに。

結果としては、これが素晴らしい解説満載のツアーで、とても充実した時間となった。

例えば、赤レンガ倉庫の紅楼は、赤レンガと白い石(花崗岩かな?)を組み合わせた「辰野式」という建築スタイルの建物であることとか。辰野式建築というのは東京駅を設計した建築家の辰野金吾氏の作品に影響を受けたお弟子さんやその他の建築家が設計した建物を言うんだそうで。台湾だと、総督府や、西門町の紅楼とか。明治時代ごろの建物に多いんだそう。こんな倉庫にも、そんなお洒落な設計が取り入れられてるなんて、なんかすごく贅沢だったのでは。

次に見学した小白宮には台北産の唭哩岸石と赤レンガで建てられている。小白宮と呼ばれるのは唭哩岸石が灰色っぽい白い石だからなのだろう。ガイドさんによると、この唭哩岸石は、清朝が台北に築いていた台北城の城壁を日本政府が取り壊したときに出た石材を再利用しているんだそうで。

建物の前後の地面には、樟脳工場の内部の運搬に活躍していたトロッコの線路跡も残されていた。

奥には、トロッコの見本も置いてあった。

紅楼閣と小白宮に囲まれた裏庭には、可愛らしい円形の池の四百石貯水槽。これは元々、消防用の貯水池で、1929年の建築当時はここに神社もあったそうだ。

池の奥の赤レンガの壁は、日本統治時代の建築当初の壁。元々の広い敷地の壁はここしか残ってないみたい。(元の敷地は今の8倍以上だったとか!)

紅楼の裏口の床には昔のレンガがよく見えるようになっていた。

TRレンガとSレンガ。これは台湾近代建築を見るうえですごい重要なレンガ。がぁこさんも古跡見学で、レンガに「TR」とか「S」とかの刻印を見つけると、萌えるアイテムだ。

おさらいしておくと、「TR」のほうは、日本統治時代の日本のレンガ会社「台湾煉瓦株式会社」による台湾製造の製品。「Taiwan Renga」だから「TR」。

「S」のほうは、英国サミュエル商会の輸入レンガ。「Samuel, Samuel & Co., Ltd.」だらか「S]。

Sレンガは輸入品だから高級だったらしく、台湾産の登場が台湾全国の近代化建築の発展に大いに貢献したという。

さて、紅楼の裏口から建物内に入ると、なんだかおしゃれな雰囲気のカフェになっていた。建物の構造が本体とは違うっぽいから、ここは建て増しなのかもだけど。庭側の席は池と庭が見えてきもちよさげ。

ガイドツアーはそのままカフェを通過して、紅楼の受付でツアー終了。本当に素晴らしいツアーだった。


ここまで、最初に入場してからちらっと1階を見学して、そのまま2階見学、降りてきてすぐガイドツアーだったので、実はまだ1階をじっくり見ていない。

時間は15:00すぎ。ここからは、1階の体験型展示でスクリーン映像に取り込まれた自分が再現映像の中をトロッコでめぐる風のコーナーを楽しんだり、日本統治時代のニュース映像を鑑賞したり、引き続きじっくり楽しませていただいた。

この日、南門館を出た時にはまもなく16:30になろうとしていた。実に3時間滞在していたことになる。

南門館、小規模だが非常に見ごたえのある博物館だ。お時間のある時に、ぜひ足を運んでみてほしい。

国立台湾博物館・南門館

住所:臺北市中正區南昌路一段1號

時間:館内:09:30-17:00、月曜休館

   庭園:06:00-22:00

料金:20元(激安すぎ…)