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富士の高嶺から見渡せば

中国、G20で南京訪問を画策。恥の上塗りか?

2016.06.04 08:54


オバマ大統領による被爆地広島への歴史的な訪問とスピーチは、日本国民のほとんどからから好意的に受け止められている(報道各社の世論調査では98%が「よかった」「評価」と回答)。戦後71年のときを越えて核兵器使用の当事国とヒバクシャが真に和解した姿を世界に発信しただけでなく、「核なき世界」の実現に向けて決意を新たにし、未来に踏み出す歴史的契機になったはずだと、日本の国民の多くは信じている。

しかし、日米両国のみならず世界が注目した歴史的イベントに、異議を差し挟み、後ろ向きな議論ばかりしたがる国がある。中国と韓国である。

中国外相の王毅は、オバマ大統領の広島訪問の当日、「広島は注目するに値するが、南京はさらに忘れられてはいけない。被害者は同情されるべきであるが、加害者はその責任を永遠に逃れられない」と言い放った。http://jp.xinhuanet.com/2016-05/28/c_135395018.htm

被爆国の日本が、被害者としての側面ばかりが強調され、侵略戦争を行った加害者として側面が無視され、希薄化されることは、彼らにとって、あってはならないことで、日本は未来永劫にわたって侵略国家、戦犯国家として烙印を押され、加害者の責任を果たし、謝罪をし続けなければならない存在のである。

新華網日本語サイトは5月30日、以下のような新華社記者謝琳の『オバマ大統領の広島での「パフォーマンス」、日米はそれぞれの政治的計算が浮き彫りにされた』とする記事を配信した。 http://jp.xinhuanet.com/2016-05/30/c_135398961.htm

そのなかで、「日本の右翼分子」と名指しして、橋下徹前大阪市長の以下のツイートを引用している。「今回のオバマ大統領の広島訪問の最大の効果は、今後日本が中国・韓国に対して謝罪をしなくてもよくなること。過去の戦争について謝罪は不要。これをアメリカが示す」。http://ichef.bbci.co.uk/news/624/cpsprodpb/155D6/production/_89801578_dd3f7641-81e5-4876-a412-19de392cb54f.jpg

あいも変わらず、過去に目を向けさせ、旧態依然の謝罪や賠償の要求を繰り返すしかないのが、哀れ中国、韓国、北朝鮮なのである。安倍首相の「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」(戦後70年談話)というのは、まったくそのとおりで、中国や韓国自身がまともに自分たちの歴史に向き合おうとしないなかで、彼らのいいなりになって、一方的に過去に縛りつけられ、歴史認識論争を繰り返す不毛の連鎖は、断ち切るべきなのだ。

オバマ大統領の広島訪問が、事前の予想に反して大成功に終わり、歴史を画する大きな成果を収め、世界の注目を浴びたことに対抗して、中国は、ことし9月のG20首脳会議で杭州に集まる各国首脳らを、南京の「南京大虐殺記念館」に案内し献花させる計画が進行しているという。SAPIO 2016年6月号は北京在住ジャーナリスト李大音によるリポート「今年9月、杭州G20での秘密計画を掴んだ。習近平はオバマを南京大虐殺記念館に連れていき、79年前の”屈辱“を晴らす」を掲載している。

しかし、良識ある中国の知性は、「南京大虐殺記念館」が抱える中国にとっての否定的な側面、中国と中国人に突きつけている歴史的課題をよく理解している。

その急先鋒は中国外務省で報道官、駐仏大使、北京外交学院院長などを務めた呉建民氏である。かれは、今年3月30日外交学院で行った講演で、次のように述べた。

「私の兄は人民解放軍の少将だが、南京大虐殺記念館へ行って、こんなものは中国の軍人の恥辱だと思ったという。中国政府が外国の侵入を許し、国民の命を守れなかったという証明ではないか。われわれの方こそ、なぜこうなったのかを考えるべきなのだ」

(SAPIO 2016年6月号 北京在住ジャーナリスト李大音のリポート「今年9月、杭州G20での秘密計画を掴んだ。習近平はオバマを南京大虐殺記念館に連れていき、79年前の”屈辱“を晴らす」より引用。呉建民氏の講演内容は以下の中文サイト「呉建民・准確認識今日的世界」http://www.21ccom.net/html/2016/zlwj_0331/2889.html (我们中国人也必须懂得,几百年怎么落后的。我哥哥是一个少将,他去南京大屠杀纪念馆,说这是中国军人的耻辱。为什么中国受人入侵?为什么中国军人保护不了老百姓?关键是中国落后了。中国人为什么落后于世界)。

南京事件の真実とは、蒋介石や首都防衛軍の司令官唐生智らが、南京に市民や軍隊を残したままいち早く逃亡したため、指揮官を失って混乱した兵士らが軍服を脱ぎ捨て、平服に着替えて一般市民にまぎれて、ゲリラ兵(便衣兵)として市内に潜伏したことや、混乱のなかで大量の国民党軍兵士が投降したり、捕虜として捕まったりしたことが原因だった。便衣兵の武装解除のため、日本軍はあくまで戦闘行為の一環として市内の掃討作戦を行う必要があった。その過程で散発的な銃撃戦があったかもしれない。さらに投降したり捕虜として捕まった大量のシナ兵を収容する必要が生じたが、収容施設や捕虜のための食料の手配もままならず、シナ兵の一部を対岸に移送して解放する作業を行っていた途中に、捕虜が暴動を起こし、やむをえず機関銃の一斉射撃で制圧せざるを得ないケースもあったと言われる。しかし、これもあくまでも戦場における戦闘行為、あるいはそれに付随した作戦行動であり、相手を倒さなければ自分が死ぬだけという、極限状況の中での戦闘行為であり、何ら戦闘法規や国際法に違反するものではないはずだ。

問題は、一般市民に対する無差別の殺害や計画的な大量殺人、さらには婦女子に対するレイプなど人権侵害の行為があったか、なかったかだが、中国側が記憶遺産登録に成功した南京事件に関する記録文書でも、直接それらを目撃したとする証言や第一次資料となる記録は皆無と言ってよく、そうした事実があったことを主張したいのであれば、ぜひともそれを示す直接証拠を提示してほしいものだ。

それよりも当時の日本の新聞社が現地に派遣したカメラマンらによって撮影された日本軍の南京入城からその直後、さらには数週間、数か月後の南京の市内の風景、市民の日常生活などを捉えた写真からは、占領軍である日本軍兵士と南京市民の笑顔を交えた交流の様子など、心あたたまる場面や平和な風景が多数、記録に残されている。 一般市民を含め当時の南京在住の人口数を越える30万が殺害されたとする主張と、写真が示す事実をどう説明するのか。

G20に集まった各国首脳を南京「大虐殺」記念館の見学をさせたいと中国が考えるのならば、日本も反証となる歴史資料を各国首脳に提示し、彼らの公正な判断の材料にしてもらうべきだ。中国の試みはおそらく、呉建民氏も言うとおり「(南京虐殺記念館は)中国の軍人の恥辱だ。中国政府が外国の侵入を許し、国民の命を守れなかったという証明」だということを、各国の指導者の目に晒し、恥の上塗りをするだけだと思う。