「センス・オブ・ワンダー」を忘れるな
「センス・オブ・ワンダー」の著者レイチェル・カーソンは、『子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます』と綴っています。
子ども達の日常は彼女が指摘するように「驚きと感動」に満ち溢れています。「みてみて~」「きてきて~」「ねえ、きいて~」と、言葉だけではなく、体全体を使って、驚きと感動を、そして世の中の素晴らしさを、我々に伝えてくれています。
この驚きと感動を我々大人も鈍らせないで共有して、子どもたちがいる豊かで暮らしやすい社会が実現できるようにという思いから、今回のタブロイド判くうねあの出版となりました。
我々は「食う・寝る・遊ぶ」という基本的なことを大切にして、子どもたちと関わっています。その毎日は、子ども達のたくさんの言葉、たくさんの表情、たくさんの表現で溢れかえっています。それらはレイチェルが指摘するように「かつて我々大人も、たくさん持っていた」ということを思い出させてくれます。
大人にとって子どもたちの日常は、人生を完成させるための示唆に富んだ日常なのです。このことを地域全体で育んでいきたいと願っています。
子どもたちの驚きと感動に満ちた素晴らしい言葉、表情や表現を、そして、それを支える大人たちの活動を、この紙面を通じて少しでも感じていただければ幸いです。
株式会社くうねあ代表/堀江宗巨
◆レイチェル・カーソン(Rachel Louise Carson、1907年-1964年)
アメリカの海洋生物学者で作家、1962年出版の「沈黙の春」ではDDTなどの化学物質の危険性を告発。この本によって世界は環境問題に眼を開かされた。病のため56歳で生涯を閉じるが、没後に出版された「センス・オプ・ワンダー」は、幼少時から自然の不思議さ・素睛らしさに触れることの大切さを説き、自然深境教育のバイブルとなる。
◆センス・オブ・ワンダー
子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オプ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。
「センス・オブ・ワンダー」、レイチェル・カーソン著 上遠恵子訳 新潮社刊より
出典・協力/レイチェル・カーソン日本協会