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Oimachi Act./おい街アクト

ビリー・ホリデイこそが歌姫と呼ぶにむさわしいお方。黒人差別と愛を歌に託した人生だった

2020.07.23 03:00

音楽の出逢いがパソコンでなかった頃の話。

僕が21歳の時、長崎市内に友人と行った。

ね夜は別れて単独行動だった。

ふらりと長崎商店街(?)に入り、喫茶店でコーヒーを飲むことにした。

入った店はカウンターがなく、ボックス掛けの店で客は少なかった。

レコードをかけていたその店は、ジャズが好きなオーナーなのだろう。「ジ・イン・クラウド」が流れていた。

コーヒーを飲んでいると店のスタッフらしい女性が「このレコードかけましょうか?」と話しかけてきた。「ハイ!」と答えて流れてきたのが、ビリー・ホリデイの唄だった。


その時は曲名が解からなかったが、後に知った。

「奇妙な果実」だった。

今のアメリカで起こっている差別問題は、どうしても変え

ることが出来ないのか・・・。誰が大統領になってもか‥‥。

大歌手、ビリー・ホリデイにかなうシンガーはいない。彼女の情感の深さや天才的なリズム感、歌に盛り込む喜怒哀楽のあふれこぼれそうなハート。

ジャズ・シンガーと間違いなく言える方だ。

彼女がニューヨークの「カフェ・ソサエティ」に出演していた時、ある日一人のユダヤ系アメリカ人が訪れて、一篇の詩を見せる。

それはリンチにあった黒人が木から吊るされているアメリカ南部の”光景”が描かれていた。


ビリーは父親のことを想い出したという。

ギタリストであった父は南部ツアー中に体を崩して病院に行くが、黒人であるということだけで断られ絶命してしまう。


ビリーはこの詩を歌にしようと考え、友人の協力を得て曲は完成する。

ビリーは59年になくなるまでに繰り返してこの「奇妙な果実」を唄い続けた。


社会の歪みを告発するビリー。そして切々と恋心を歌に込めて唄うビリー。

彼女の存在は大きい。

あまりにも大きい。

彼女を超えようとしても、おそらくむなしいだけだ。

だからシンガーたるもの、ジャズを意識しないで唄った方が正しいに決まっている。