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1989 Fender Stratocaster Limiited Edition 〜 Very Rare Guitar / SOLD

2020.07.27 20:12

歴史上、純粋なアメリカ製フェンダー( ヴィンテージ解釈として)はCBS期まで…とされるFender。最後のCBS個体、出荷時期が1982〜4年と考えるのが一般的です。


コロナ工場移転後は、基本的にフェンダーは日米合作ブランドとして再生の道を歩みます。


初期のカスタムショップと言えども、基本的にはフジゲンの技術介入後に立ち上げられており、後にギブソンジャパン代表にも選出された日本人ビルダー、岩撫安彦氏が関わる事も、ある意味必然でした。


もちろん、フェンダージャパン設立とも密接に関係しています。


純粋なUSA製フェンダーの定義はフラートン工場製まで!となりますので、ギブソンのヴィンテージの解釈と変わりません。カラマズー工場製までをオリジナルギブソン、フラートン工場製までがオリジナルフェンダーと言う事になります。


そしてフラートン工場最後のストラトキャスターにはスタンダードの名称が加えられました。


オリジナルのストラトキャスターは1954年頃にリリースされ、1982年頃には生産が完了しますが、最後はスモールヘッドに戻ったのにCBSロゴと言う形で、正式名称ストラトキャスターは終了します。通称Dan Smith Straratocasterです。



そのスミス・ストラトの後継モデルが1983〜1985年頃にかけて、ごく短期間だけ生産されたフリーフライト・トレモロFreeflyte Tremolo搭載のスタンダード・ストラトキャスターです。


そして当時はトップシークレットでしたが、フラートン工場からコロナ工場への移転期…生産体制が整っていないタイミングで設立されたのがフェンダージャパンですから…


このスタンダードストラトキャスター辺りから木部を日本で生産して、アメリカでは組み上げるのみ…と言う繋ぎ区間が存在します。


Transitionを日本語に訳すと、過渡期とか移行期と言う意味があります。CBSへの売却時にスパロゴからブランドロゴが変わる1965年〜66年辺りをトラロゴと呼ぶのは、そう言う意味です。


そしてトラロゴの内部が黒で塗り潰されたラージヘッドモデルの象徴がCBSロゴですから…


スミスストラトの第2段で、再度使われたトラロゴ風だけど、中がシルバー…これがスタンダード、アメリカンスタンダードとして使用された1994年までのスタンダードロゴになります。

実際には1984年は移転真只中なので、E4シリアル( エイティーズ4の意味 )、出荷は1987年とかでも普通にあり得ます。


この頃はフェンダージャパンは、日本限定マーケット…しかもフジゲンが生産体制の主力だった事もあり、スタンダードストラトキャスターの木部はフェンダージャパンには絡まなかった…日本では昔から知られたある工場で生産されたのです。


その工場を持っていたブランド名の公表は避けますが…アメリカンスタンダードストラトキャスターとは…言葉を変えるなら日米合作であり、当然ながらごく僅かな期間にはリミテッドモデルとしてフェンダージャパンでも発売されました。


但し…最初からフェンダージャパンのST650SPLにするか?米国フェンダー社へ送る木部にするか?でヘッドロゴやシリアル位置などが変わってしまいますから…


木部提供とは言え、訳アリになる個体も結果的に生まれてしまいました。


それが今回当店に入荷した個体です。


ネックデイトはアメリカンスタンダード用の

1989年デイトですが、ピックガードを含むアッセンは日本発売用のST650SPL用なので…


輸出用に用意していたのに、訳あって日本限定バージョンとして組み上げられた個体と判断して間違いないでしょう。


要するにこのモデルだけは、フェンダージャパン発売が最初から決まっていた個体にはシリアルが打たれ、ヘッドはトラロゴですが…


アメリカンスタンダード用に用意したのに、フェンダージャパンバージョンとして組み込まれたので、Made in Japan表記とシリアルナンバーがありません。何故なら輸出用はフェンダーコロナ工場でヘッドにシリアル一体型の中シルバーとなるスタンダードロゴを貼る必要があったので…と結論付けることが出来ます。


フジゲン製でもトーカイ製でもない、ましてやダイナ製でもない…Fender Japanに唯一存在している「木部アメスタと同じモデル」が91年と92年のカタログにのみ、Limited Editionとして掲載されたFender Japan ST650SPLと言う事になります。


それを証明してしまうのがヘッドシェイプです。Fender Japan名義発売モデルだとしても…です。


プラスアルファ、弦間ピッチ10.5と言うスタイルを確立した事も特徴的です。



ちょっとギターに詳しい方なら…もうお分かりですね。スモールヘッドの外周がやや外カーブ、通称グッピーヘッドです。


フェンダリアン、コレクターの皆様にも見逃せない激レア個体でかつVGコンディション!


もちろんフェンダー初の両方向に効くバイフレックストラスロッドを採用する事で、ネックが反ってしまってどうにもならない…にも初期段階は両方向に効く事で解消。最終段階だとしても、大幅な手術…いわゆるリペアによるロッド入れ替えや調整に関しても…設計段階から考慮された…「 治せるストラトキャスター」としても軽く見ること自体が間違えた解釈です。




USA信者の方でフェンダージャパンを軽く見て来た方にはショックかも知れませんが…


ジャパンヴィンテージを極めないでUSA、USAって騒いだ方は…楽器の本質は見抜けずにブランドネームを重視された事かと思いますので…この機会に是非フェンダーはヴィンテージ以外は日本の技術介入があって復活したブランドである….と認識して頂ければ幸いです。


現代版のフェンダーUSAの主力モデル、アメリカンスタンダードから派生したジェフベックシグネイチャーを筆頭に…


アメスタスタイルは、あのジェフベックにヴィンテージギターの使用をほぼ無くさせ…クラプトンにしても、このフジゲン技術介入後のフェンダーを愛用し続けている事を忘れては行けないと思います。


JVシリアル以上に、レアで入手機会がないモデルでもありますので…


お早めにお問い合わせ下さいませ。


1994年にヘッドにバッジが付くアニバーサリーアメリカンスタンダードを最後に…


スタンダードロゴのアメスタは無くなり、同時にようやく全ての生産体制も整って、1990年にメキシコ、エンセナダ工場の立ち上げにもフジゲンが協力した事で…


日本からの木部提供は終了します。この段階からはUSAコロナ、メキシコエンセナダの2拠点を中心としたFender USA、本家の体制が固まる事になるのです。


同時に役目を終えた第一期フェンダージャパンは終了。神田商会取り扱いとなる、いわゆるCIJ時期のフェンダージャパン第2期がスタートします。


フェンダージャパンは単なるライセンス生産と言う認識どころか…フラートン工場閉鎖後は日米合作とも言うべき、正真正銘のフェンダーブランドであった事を知ると…


メキシコエンセナダ工場の立ち上げ、コロナ工場のライン分散化によるセクション分けなど…全ての年度で辻褄が合うのは必然だったのです。


もちろん、ご購入頂けるお客様にもご納得頂けるプライスにてご提供致します。


7/29 売約済み




当店では、価格吊り上げ的なプライスリーダーを自称するような販売意図は一切ございません。


唯一、あまりにも海外へ流出してしまうと…それこそ相場は上がり続けてしまいますので、貴重なジャパンヴィンテージこそ、国内で回したいと考えております。当店のポリシーにご賛同頂けるお客様なら、プロもアマも入門者も区別しない方針です。


末長くご利用頂けるお得意様には、絶対にお買い得だった…と思って頂けるような…そんなギターを中心にご紹介して参ります。


販売済み商品を中心にした各モデルの詳しい解説をコラム専用ブログにて公開しております。この7〜8年の間に執筆した記事も、いずれはこのコラム専用ブログにまとめますので、ギブソンやフェンダーに限らず、ギターコレクターやプレイヤーの皆様にお楽しみ頂けるように執筆して参ります。読み物としても是非ご覧くださいませ。