「外国人の私でも遺言書は日本語でないとダメですか?」
2021.03.15 23:00
Question
「外国人の私でも遺言書は日本語でないとダメですか?」
Answer
1 母国語でもよい
遺言書の要件を備えていれば、母国語でもOK.です。そして、日本語訳も添えます。
また、公正遺言証書作成の時は,通訳人・翻訳書も交える必要があります。
長年日本に在住している外国人(帰化以外)の遺言は、方式については、日本の方式に準じます。(準拠法は日本と言う事)。
しかし、遺言の内容・能力(遺言時の痴呆症など遺言能力も)については、母国法に沿ったものである必要があります(母国法を準拠する)。
故に、その外国人は、母国の法律を調べた上での遺言でないと、執行に不備が出やすいことになるでしょう。
2 遺言の法律
「遺言の方式の準拠法に関する法律」と言う全8条からなる法律があります。
その第2条において方式が定められています。
(準拠法)
第二条 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。
一 行為地法
二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
三 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法
四 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法
五 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法
上記の如く、第2条において「方式に関し有効」と定められていますが、他の条文も知る必要がありますので掲載します。
第三条 遺言を取り消す遺言については、前条の規定によるほか、その方式が、従前の遺言を同条の規定により有効とする法のいずれかに適合するときも、方式に関し有効とする。
(共同遺言)
第四条 前二条の規定は、二人以上の者が同一の証書でした遺言の方式についても、適用する。
(方式の範囲)
第五条 遺言者の年齢、国籍その他の人的資格による遺言の方式の制限は、方式の範囲に属するものとする。遺言が有効であるために必要とされる証人が有すべき資格についても、同様とする。
(本国法)
第六条 遺言者が地域により法を異にする国の国籍を有した場合には、第二条第二号の規定の適用については、その国の規則に従い遺言者が属した地域の法を、そのような規則がないときは遺言者が最も密接な関係を有した地域の法を、遺言者が国籍を有した国の法とする。
(住所地法)
第七条 第二条第三号の規定の適用については、遺言者が特定の地に住所を有したかどうかは、その地の法によつて定める。
2 第二条第三号の規定の適用については、遺言の成立又は死亡の当時における遺言者の住所が知れないときは、遺言者がその当時居所を有した地の法を遺言者がその当時住所を有した地の法とする。
(公序)
第八条 外国法によるべき場合において、その規定の適用が明らかに公の秩序に反するときは、これを適用しない。
・3条においては、「遺言の取り消し」についても、従前の遺言を有効とすることを認めています。
※赤線は弊所にて記入。