夾竹桃の毒性はどのくらい強い?致死量はどれくらい?
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【夾竹桃の毒性はどのくらい強い?致死量はどれくらい?】
街路樹などとしてよく目にする機会も多い夾竹桃。鮮やかなピンクや白の花は華やかで、街並みを美しく彩っています。
しかし、綺麗な花には棘があるというように実は夾竹桃には毒があるんです。それではその毒はどれほどの毒性なのか?どんな症状が出るのか?また接種してしまった場合、どうすればいいのか?
過去の症例とも合わせて夾竹桃の危険な毒をしっかりと知り、事故を予防・対処しましょう!
夾竹桃は、18世紀に中国から日本へ伝わってきました。原産地がインドということもあり熱帯性です。しかしいったん根付くと寒さに強く、寒帯地域でも外で越冬できる庭木になります。
夾竹桃は公害に強く、大気汚染などで枯れる心配がないために街路樹などに用いられることが多いです。
また千葉市、尼崎市、広島市、鹿児島市などの市町村の花に指定されています。
広島原爆が落ちたあと、広島で最初に花を咲かせた植物が夾竹桃だったことから、復興のシンボルとされました。
夾竹桃はかなり危険?怖い毒
毒性があることから、害虫も付きにくい夾竹桃ですが、どの程度の毒性があるのでしょうか?
次に危険度や毒の強い部分、事故症例などをご紹介します。
毒のレベル
夾竹桃の毒で最も強い成分が「オレアンドリン」です。
有毒物質として有名な青酸カリの致死量が150〜300mg/kgなのに対し、
オレアンドリンの致死量は0.30mg/kgと青酸カリを大きく上回ります。
また夾竹桃は毒性もさることながら、
時間以内に症状が出るほど即効性も高いので、有毒植物の中でも毒性は強い方だと言えるでしょう。
毒のある場所夾竹桃の毒は枝、葉、花、実、根など全体に渡ります。
また周辺土壌にも毒が含まれます。その中でも最も毒性が強いのが枝・葉です。
剪定などの際、枝の切り口からでる汁に素手で触れるなどすると皮膚炎になるなどの中毒症状がみられます。
また夾竹桃は経口中毒性が非常に高いので、誤って口に入れないようにしましょう。
どんな症状がでるのか夾竹桃の毒を接種した場合に起こりうる症状は嘔気・嘔吐・四肢脱力・倦怠感・下痢・非回転性めまい・腹痛などです。
心当たりがあり、なおかつこの症状が1時間以内に出た場合はまず夾竹桃の中毒症状と見てよいでしょう。
世界中の症例
夾竹桃は世界中で栽培されていますが、反面中毒症状を起こした事例も多岐にわたります。
今回はその一部を見てみましょう。
枝を箸代わりに利用し、中毒を起こした
1975年フランスで夾竹桃の枝を串焼きの串に利用して7名の死亡者発生
1980年に、千葉県の農場で牛に与える飼料の中に夾竹桃の葉が混入する事故あり。この飼料を食べた乳牛20頭が中毒をおこし、そのうちの9頭が死亡した。
混入した量は、牛1頭あたり、乾いた夾竹桃の葉約0.5g程度だったという
家畜が夾竹桃を食べることで中毒症が問題になる。
致死量は乾燥葉で50mg/kg(牛、経口)とされている。
毒を接種してしまった!どうする?
死亡例もあるほど毒性の強い夾竹桃。それでは万が一接種してしまった場合などはどう対策するべきなのでしょうか?
万が一の場合は経口摂取の場合は救急車を呼ぶか、直ぐに病院へ行きましょう。
症状が出ていないからと油断せず、症状が出る前に処置してもらいましょう。
傷口などに夾竹桃の汁が入ってしまった場合はまず手をよく洗うこと。それから病院へ行きましょう。
こちらも油断せず、早々に処置してもらいましょう。
どのような接種方法でも、まずは病院に行くことをお勧めします。
目に汁などが入れば失明にもなりかねないので、症状が出て動けなくなるなどする前に、しっかりと正しい処置をしてもらってください。
油断すると死亡事故になりかねないので、気を付けましょう。
接種しないように気を付ける事夾竹桃の毒を接種してしまう可能性が大きいものは3つあります。
夾竹桃の剪定
5mほどにも育つ夾竹桃は、最低でも年1回は剪定を行います。
しかし、前述にある通り、枝の切り口などから汁が出て、素手で触ってしまったり、目に入ったり、傷口に入ってしまう場合も。
この場合気を付けることは、剪定を行う際に、ゴーグルをする。軍手の下にビニール手袋などをして染みこむのを防ぐ。
傷口はガーゼや絆創膏などでしっかりと覆う、です。
また剪定を行う前に、隣近所に一声かけるようにすると、ご近所トラブルの予防にもなるでしょう。
枝を燃やす・燃える夾竹桃は燃やすと煙に毒が溶け込み、その煙を吸い込むことで中毒症状を引き起こします。
高温で燃やすのであれば毒を緩和できますが、自ら燃やすのではなく、自治体に回収してもらいましょう。
ただし、自治体によって夾竹桃の枝葉は回収してくれないところもあります。
その場合、燃えるゴミとして出せば高温焼却が可能なので回収してくれるでしょう。
不安な場合は該当する自治体に問い合わせてみましょう。
また夾竹桃は街路樹としても使われるため、事故などで火災が発生し燃えることも。
近くに行けば煙を吸うことになるので、無闇に事故現場へ近づかないようにしましょう。
子供が接種してしまう
夾竹桃の毒で最も怖いのは経口接種です。そして経口接種の可能性が高いのは小さな子供。
小学校でも夾竹桃は植えられているところもあり、おままごとや草笛などで安易に経口接種する可能性があります。
だからと言って伐採するなどは安易に出来かねます。また栽培に手がかからず、害虫の付きにくい夾竹桃は学校などでは重宝されます。
常日頃から保護者が言って聞かせる、危険性をしっかりと教える。ということが最大の予防策でしょう。
多くの場所で目にする機会があるので、鑑賞を楽しみながらも危険性を伝えるようにしましょう。
毒をもつ植物はこんなにある!
ここまでで夾竹桃の毒性はご理解いただけたかと思います。
それでは毒を持つ植物は他にあるのでしょうか?身近なものから、珍しいものまでを
一覧でご紹介します。
スズラン
葉、花、実すべてに毒があり。毒性が強く、胃痛、頭痛を引き起こすほか最悪の場合死に至ります。毒は水にも溶けるので、花瓶の水にも注意が必要です。
アジサイ
花や葉、根に毒があり。吐き気やめまいなどの食中毒症状を引き起こします。
スイートピー
花や葉、中でも種子に多い。頸椎麻痺を引き起こし、脚、腕、腸、膀胱などにも
障害が出る神経毒です。
トリカブト
根が最も毒性が強い。痙攣や不整脈などのショック状態を引き起こし、致死量は0.2~1mg/kg。現在も解毒剤はない為、注意しましょう。
クララ
全草が猛毒。「眩草」(くらら)の名は根をなめるとあまりに苦くて目がクラクラするから
と云われている。
ゲルセミウム・エレガンス
世界一強い毒性を持つともいわれ、致死量は0.05mg/kg。めまい、嘔吐、腹痛、下痢、筋弛緩、呼吸筋周囲の神経麻痺、視力減退など様々な症状を引き起こします。
万が一見つけたら近寄らないようにしましょう。
まとめ
美しい花の裏には、死にも至るほどの危険な毒性がありました。
近年、この毒性から撤去の声が上がったりもするそうです。
もちろん事故を防ぐには元を断つのが一番ですが、特性や見た目の美しさなどを
考えると共存できることが最善ですよね。
毒の危険性とその対策・予防法をしっかりと頭にいれて、夾竹桃を楽しく鑑賞してください。