【1.新型コロナに関わる諸問題について①災害対策】(代表質問より)
①本県での災害関連の対応状況
昨年本県は、風速60メートル級の暴風が吹き荒れた令和元年房総半島台風や、東日本台風及び10月25日の大雨による記録的な風雨により、甚大な被害に見舞われ、暴風による住宅被害、河川の越水による広範囲の浸水、土砂災害、長期間にわたる停電等、これまで県が経験した事の無い規模の被害が生じました。
県内には今もなお屋根にブルーシートが掛かったままの状況が見受けられるなど、復興の途上にありますが、今年も出水期を迎え、被災者の生活再建への加速化に加えて、台風や地震などの自然災害と新型コロナウイルスなどの感染症を含めた複合災害に備えた準備が急務となっています。
この取り組みに当たっては、教訓を生かした対策が大変重要となります。
その意味で昨秋の一連の台風での経験を踏まえて、職員の配置及び災害対策本部の設置の基準が見直されるなど、風水害に備えた「県地域防災計画」に修正されたことは評価できます。
あらゆる災害から県民を守る為に県や市がどのような対応や計画を行うのか、県民にとっては大いに気になるところであり、そこでまずは災害の対応状況として、生活再建と災害廃棄物の早期処理に向けた県の支援について確認しました。
【質問】
一部損壊等の被害住宅への支援制度の活用状況及び進捗状況はどうか。また、修理が完了していない住宅は、今年の台風で更に被害が拡大する可能性もあるが、県は今後どう進めていくのか。
【答弁】
一部損壊等の被害を受けた住宅約8万棟に対し、災害救助法の応急修理、及び被災住宅修繕緊急支援事業補助金の3月末現在の申請件数は、合わせて16,850件、支給件数は6,181件になります。
県では、リーフレットの配布等による支援制度の周知や、被災者に対する工事業者の紹介など、市町村や関係団体と協力し、制度の活用促進を図っているところです。
今後も、市町村と連携し、修理が完了していない被災者の意向把握に努めながら、支援制度や工事相談窓口の活用を促すなど、一日も早い復旧工事の完了に向けて被災者支援に取り組んでまいります。
【要望】
自ら保険で家屋の修繕を済ませた方でも支援制度が受けられることを知らない方もいますので、このことも含めて制度活用へ周知の徹底を要望しました。
※(補足説明)特に住宅被害では、屋根などの一部損壊や浸水被害が多発したため、千葉県では早期の生活再建を支援するため、これまで支援制度の対象外であった「一部損壊の住宅の修理費用(国の制度を活用した助成と併せ、上限額の上乗せや補助対象の拡充など地方単独の支援により、最大で50万円を助成)」について、40億円の予算を計上し、再建支援に取り組んでいます。
【質問】
次に、県内市町村の災害廃棄物処理計画の策定状況はどうか。また、未策定の市町村に対してどのような支援を行うのか。
【答弁】
令和2年3月末時点で、24の市町村が国の災害廃棄物対策指針を踏まえた災害廃棄物処理計画を策定しています。
これまで、県では、市町村の参考となる計画モデルの提供や、先行自治体の取組事例の紹介などの支援を行ってきましたが、全ての市町村が早期に計画を策定できるよう、今後、更に大規模災害への対応経験を持つ他県の職員や、専門的知識を有する国の職員を研修会に招くなどしながら、市町村の実情に応じた計画の策定を引き続き支援してまいります。
※(補足説明)大規模災害時には、被災した家屋から出る壊れた家具・家電や倒壊した建物を解体したがれき等、大量の災害廃棄物が発生します。東日本大震災、熊本地震の教訓や廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の改正を踏まえ、災害廃棄物を適正かつ円滑・迅速に処理するために処理業務の主体となる市区町村に処理計画の早期策定が求められています。
②避難について
今後の災害対策は新型コロナウイルスを考慮しない訳にはいかない状況です。未知のウイルスである新型コロナの感染拡大力の強さや重症化のリスク等を考えると、これまでの災害時における感染症対策では対応しきれなくなっています。
特に懸念されるのは避難所運営と備蓄物資についてです。感染拡大防止を配慮した運営とそれに必要な備蓄をどうするのかは喫緊の課題となっています。先に登壇した議員からの質問に重複しないようお聞きしたいと思います。
【質問】
避難に関して、避難所で感染の疑いがある方が出た場合には、その感染力の強さから大勢の避難者がいる体育館等の避難所一か所での対応は難しいことが容易に想像できます。県は避難所で感染の疑いがある方が出た場合の対策をどう考えているのか。
【答弁】
県では、手引きを作成し、
・個室等の専用のスペースを確保すること
・トイレや動線を一般の避難者と分けること
・必要に応じて医師の診察を受けられるようにすること
などを市町村に求めているところです。
引き続き、避難所における感染症対策について、関係機関と連携しながら市町村の取組を支援してまいります。
※補足説明
県では、避難所環境の整備などに使用できる「県地域防災力向上総合支援補助金」を今年度は2億5千万円に増額していますので、各自治体の感染対策物資の確保に役立てていただければと思います。
では次に、「避難所への避難」が基本となると思いますが、三密を避けるために効果的な方法として『分散避難』も求められています。具体的には在宅避難や民間施設への避難なども視野に入れた避難を指します。
【質問】
そこで、県における『分散避難』への対応はどうか。
【答弁】
避難所における感染症対策として、いわゆる3密を避けることが重要であり、在宅避難や民間施設への避難など、多様な避難のあり方が求められています。
このため、県では、市町村が避難所として活用できるよう、宿泊業団体に対し、ホテル・旅館等の提供について、協力依頼を行っています。
また、県民に対し、県民だよりやラジオ放送により、ハザードマップで自宅の安全確認や避難の必要性の検討を行うこと、親戚・知人宅への避難を検討することなどを呼びかけているところです。
今後も、多様な避難体制の確立に向けて、市町村に対する支援を行うとともに、県民への周知を図ってまいります。
【要望】
分散避難が行われる際、あらかじめ検討しておかなければならないことは、避難所以外の在宅や民間施設に避難した方々の状況把握です。厚生労働省からは「被災者アセスメント調査票」の活用が推奨されています。
この調査票は、避難所での受付や災害時要配慮者名簿などを基に、家庭訪問や見守り活動で活用できるよう避難者全体の状況が把握できる他、今までバラバラだった帳票が一つになり、効果的な支援や事務負担の軽減につながるものとなっていますので、県内自治体への活用を促していただきたい。
③災害ボランティア活動について
災害ボランティアについても課題が生じます。通常では大きな力となるボランティアもコロナ禍での災害では広域から被災地救済へ往来することが難しく、人口の多い千葉県北西部や中部からのボランティアが期待できない状況と考えられ、少なくとも東京都を含む他県からの応援がないという前提に立って考えていかなければなりません。
【質問】
そこで、たとえば房総地域のなかで相互に支援するなど、県内全域の相互支援体制を整える必要があると思うがどうか。
【答弁】
新型コロナウイルスの感染が懸念される中、ボランティア活動により感染が拡大することがないよう、留意する必要があります。
このため、全国社会福祉協議会では、ボランティアセンターの設置・運営についての考え方を公表し、ボランティアの募集範囲については、市区町村域を基本としたうえで、拡大が必要な場合には、被災地域の住民のニーズや専門家等の意見を踏まえ、行政と十分協議を行い決定することとしています。
県内での災害ボランティアの受入れについては、この考えのもと、感染症や災害の被害状況を踏まえながら、社会福祉協議会など関係機関と調整を図ってまいります。