【1.新型コロナに関わる諸問題について ③妊娠・出産・子育て支援】(代表質問より)
3点目は妊娠・出産・子育て支援についてです。
今月5日に発表された人口動態統計によれば、昨年全国の出生数は統計開始以来最少の86万5,234人となり、90万人を初めて割りました。また全国の合計特殊出生率は前年から0.06ポイント低下の1.36に、本県は全国を下回り1.28となっており、減少に歯止めがかかっておりません。
この流れを受け、政府は「第4次少子化社会対策大綱」を閣議決定し、出生数が過去最少に減少したことを踏まえ、若い世代が希望する人数の子どもを持てる「希望出生率」の目標を1.8と掲げて、不妊治療にかかる費用負担の軽減や、児童手当の充実、高等教育無償化制度の中間層への拡充や、育休中の給付金の引き上げなど、若者世代への手厚い支援の必要性を提言しています。
またコロナ禍が、結婚や妊娠・出産、子育てに多大な影響を与え、安心して子どもを産み育てられる環境整備の重要性を浮き彫りにしたことにも言及しています。
我が会派ではこれまで、これらの環境整備を強化するよう訴えてきました。
そのひとつが不妊治療です。女性の社会進出などを背景とした晩婚化や出産の高齢化により、いわゆる妊活への意識が高まるなか、不妊治療への需要が増える一方、関連する生殖補助医療の治療件数も増加しています。新型コロナの影響で不妊治療の延期が推奨されたことをめぐり、治療の希望者や活動中の方々に少なからず影響が出ています。希望する人が、産みたい時に子どもを産み育てられる環境を整備することは、持続可能な社会を構築するうえで重要であり、少子化を食い止めるためにも出産や子育てを社会全体で支援するべきと考えます。
【質問】
そこで、不妊治療支援をこれまで何度も議会で取り上げてきましたが、不妊治療の補助拡充に取り組むべきと思うがどうか。
【答弁】
県では、保険が適用されず、体外受精など高額となる特定不妊治療について、国の補助制度を活用し、治療に要する費用の一部を助成しております。
これまで、平成28年1月から初回の助成額を15万円から30万円に引き上げたほか、精巣精子採取術などの治療に対し15万円を上乗せ補助する制度を設け、昨年度からは、その治療の初回助成額を30万円に引き上げるなど拡充を図ってまいりました。
このたび国は、少子化社会対策大綱の中で、今年度に、治療に関する実態把握及び効果的な治療に対する医療保険の適用を含め、経済的負担の軽減を図る方策等を検討するための調査研究を行うとしております。
県としましては、国による調査研究の動向を注視するとともに、助成額引上げ等支援の拡充について、引き続き、全国知事会等を通じ要望してまいります。
新型コロナの影響は不育症治療にも及んでいます。妊娠した女性の4割が流産の経験があり、流産を繰り返す不育症も16人に1人の割合と決して少ない数ではありません。適切な治療を受ければ8割以上の確率で出産にたどり着けることから、不育症に悩む夫婦が早期に検査を受け、適切な治療及び出産につながるよう、不育症かどうかを判定する検査や保険適用外の治療費の一部を助成する自治体が都道府県単位では、東京、埼玉をはじめ14団体へと増加しています。県内市町村からも県による支援が求められています。
【質問】
そこで、不育症支援について、市町村が実施している補助を県で支援すべきと思うがどうか。
【答弁】
県内では、現在、4つの自治体が独自に検査費等の支援を行っていることは承知しております。
疾病の治療については、公的医療保険制度により支援されることが基本と考えており、不育症に係る検査や治療については、多くが、保険制度の適用となっております。
県としましては、今後も国の動向を注視し、研究の結果、有効性が確認された治療等について、保険制度が適用されるよう、引き続き、要望してまいります。
※補足説明
この後、千葉市が7月より保険適用外の不育症検査費について独自助成を開始しました。
県内では、酒々井町、成田市、浦安市、南房総市に次いで5例目となります。
更に、新型コロナの影響下にあっても、妊孕性温存治療を受けやすい環境づくりは重要です。将来子どもを産み育てることを望むがん患者さんが、生殖機能を温存することで、将来に希望を持ってがん治療に取り組むための妊孕性温存治療に対し、治療費負担軽減の支援について昨年12月議会で質問しました。
15~39 歳を指すAYA 世代は年間約2万人ががんに罹患しているなか、25~29歳のがん患者さんの悩みのトップが「妊娠・出産」となっています。妊娠・出産へのモチベーションを無くさないためには、少なくとも不妊治療と同等の助成が必要であると考え、本県としてもその支援につながる環境整備を進めるために、がん医療と生殖医療のネットワークの早期構築を要望してきました。
【質問】
そこでその進捗を伺いますが、妊孕性温存のための、がん医療と生殖医療のネットワークについての検討状況はどうか。
【答弁】
がんの治療に伴って失われる可能性がある妊孕性を温存するためには、がん治療医と生殖医療専門医の連携が重要です。
県では、一部のがん診療施設、生殖医療実施施設の医師とともに、今年の2月、厚生労働省の研究チームが主催する「地域がん・生殖医療ネットワーク構築を考える会」に参加し、他県の先進事例の情報を収集するなど、検討を始めたところです。
今後も、生殖医療についての情報を収集し、患者やがん診療施設等へ提供するなど、生殖医療の周知や医療連携を進めてまいります。
さて、母親となる女性は妊娠、出産、産後、子育てのそれぞれの時期でさまざまな不安にぶつかるため、周囲のサポートがますます重要視されるなかで、新型コロナウイルスの感染拡大により、里帰り出産、立ち合い出産、面会が制限され、また子育て支援施設の閉鎖で両親学級や母親学級などが休止されるなど、妊娠・出産・子育て環境が厳しさを増したことにより、妊産婦への支援強化が求められております。
これらを受けて、新型コロナウイルス感染症に対して不安を抱える妊婦の方々への相談窓口が全国各地に開設されております。
厚生労働省のホームページに全国自治体の相談窓口の一覧が紹介されており、本県は「新型コロナ電話相談窓口(コールセンター)」での対応となっています。しかしながら、本県のコールセンターの案内ページには妊婦の相談も受け付けている旨の内容が掲載されておらず、大変わかりにくいとのご意見を伺いました。
【質問】
そこで、これから出産を控えている方々のための支援強化が大事であると思うがどうか。
また、相談環境の整備として、妊婦にわかりやすい案内となるようホームページの改善をすべきと思うがどうか。
【答弁】
新型コロナウイルスの感染拡大により、妊娠期の過ごし方や出産に関する環境が変化し、妊産婦や御家族等の不安が高まっていると考えられます。
それらの不安が少しでも解消できるよう、妊産婦の気持ちに寄り添った支援をしていくことが重要と認識しております。
現在、県では、24時間、休日も含めて、新型コロナウイルス感染症電話相談窓口を設けており、不安を感じた妊産婦を含めた県民からの相談を受け付けております。
なお、相談窓口の案内につきましては、妊産婦の方に、より分かりやすく必要な情報が伝わるよう、県ホームページの改善、充実を図ってまいります。
【要望】
妊娠・出産・子育ての支援に関して、今回取り上げた内容は少子化を食い止めるための政策の一部ですが大変重要な取組となりますので、次世代を担う若者たちが、千葉での暮らしに安心と満足ができ、持続的な発展に繋がるように進めていただきたい。
※補足説明
県ホームページでの妊産婦向け情報が分かりやすく改善されました。(画像をクリックすると関連ページにジャンプします ↓ )
また、働く妊婦の方は、未知のウイルス故、感染した場合の胎児への影響などに不安・ストレスを抱え、職場での感染に大変ナーバスになっております。これに関する調査では、休業を望む妊婦のうちの4割、医療従事者においては6割以上が出勤を続けており、妊娠を理由に在宅勤務や休業を職場に相談しても、応じてもらえなかったり、また相談しにくい現状にあります。そのため、こうした方の母性健康管理を適切に図ることができるよう、男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理上の措置として、新型コロナウイルス感染症に関する措置が新たに規定されました。そこで伺います。
【質問】
新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置について、国の2次補正予算も含めた県の対応はどうか。
【答弁】
妊娠中の女性労働者の適切な健康管理を図ることを目的とした国の指針が5月7日に改正され、事業主には、医師等の指導を受けた女性労働者からの申出に対し、作業や出勤の制限などの措置を講じることが義務付けられました。
県では、改正と同日に経済団体を通じて県内企業に対し周知をしたところであり、各企業においてこの制度が浸透するよう、引き続き、県民だより等を活用して、周知徹底に努めてまいります。
また、国の第2次補正予算では、妊娠中の労働者を対象とした有給休暇制度を設ける事業主への、新たな助成制度が盛り込まれており、県としては、詳細が確定次第、速やかに県内企業に周知し、広く活用を促してまいります。