Hitomi Miyazaki

Dear...

2015.06.27 06:45

涙が溢れて止まらないのは、同じ数だけ思い出せるものがあるから。


あんなに綺麗で安らかで、寝ているだけのような表情されたら、ずっと見ていたいと思ってしまった。

かっこよすぎて写真に残そうかと思うほど。


さいごに会った時、聞き取れなかった言葉。


ありがとうっていっているんだよね、っておばあちゃんがいったら、うんうん、ってしていた。


今思うと、そんなに来ないでいいよって、言っていたような気もする。


自分が会いたいんだから、来ているだけ。

出張マッサージしにきてるんだよ。なんて言っていたけど、マッサージ以外出来ることがなかったのが辛かった。


また来るねって、本当はこれが最後かもしれないと思いながら毎回言っていた。


握り返した手の力強さは、大工をしていた時のおじいちゃんを思い出した。


息をするのも辛そうなのに、手を握り、目を開け、そして別れ際に手を振ってくれる。


もしかしたらみんなのことを気遣って、逝ってしまったのかもしれない。


寡黙だけど優しい人だった。


一緒に打つお蕎麦は毎回の恒例行事だったね。


タオルでハチマキして、きれいな菊練りして、手作りの道具に囲まれながらテンポよく伸ばしていく音は、これからも忘れられないんだろうな。


畑に行く時は包丁をむきだしのまま持って行こうとして、注意すると渋々懐に隠して、さらに危険度が増す。孫はヒヤヒヤしていました。


姉の結婚式では記念樹と言って、式場に生えてたスミレを引っこ抜いて、おばあちゃんのサブバッグにそのままつっこんで激怒されていたね。


突拍子もない事してしまうところがいつもツボでした。


本家に八つ頭掘りにいったり


ジュエリーボックス作ってもらったり


なんだ、色々してもらってばかりだったじゃない。


いつもほとんど単語でしか返事が無いけど、私にとっては大好きな、おじいちゃん、そして師匠でした。


語るより、存在だけでたくさんの事を学ばせてもらいました。


ちょこんと座って甘栗食べながら、みんながおしゃべりしてるのを聞いていたね。


ふらーっとどっか行っては、裏の畑で美味しい野菜、どっさり採ってきてくれた。


アルツハイマーと診断されても、私たちを忘れることなんて一度もなかったし、

むしろぼけてるところなんて見たことなくて、誤診じゃないかとさえ思った。


同室のおじいさんたちは、赤ちゃん返りして看護師さんに甘えていたのに、全く弱音を吐かず、最後まで紳士だった。


同居していなかったのに、こんなに思い出ばかりなのは、私たちのことを可愛がってくれた証。


会いたい人には出来るだけ会いたいし、

感情や感覚を共有できる人を大切にしたい。

自分の気持ちを素直に伝える。

そして優しい人でありたい。


おじいちゃんが気づかせてくれた事。


大人になるとドライな関係が増えるけど、もう一歩、歩み寄れるようになれたら。


こんなに長々と書くなんて恥ずかしいし、重い話なので気分悪くさせないか不安になるけど

少しずつ、整理をつけて向き合わなくては。


わたしの家に飾るお花、菊はしっくりこないから、違う花にした。


それくらいいいよね、おじいちゃん。


七七日法要まで寄り道せず、気をつけて行ってらっしゃい。


たくさんのありがとうと大好きを込めて。