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なるの台本置き場

【男1:女2】月下の願い

2020.07.30 13:00

男1:女2/時間目安40分



【題名】

月下の願い

(げっかのねがい)



【登場人物】

マシュー:村の学校の先生。

ミカエラ:マシューの妹。花症候群にかかっている。

イリス:洋菓子店の店主。

ライラ:マシューが不在の時、ミカエラの面倒を見てくれる近所のおばさん。(名前のみ登場、セリフなし)

母:どこかの家のお母さん。子供に絵本を読み聞かせる。(最後のみ登場、ミカエラ兼役)


*花症候群(フラワーシンドローム)

→身体が花に蝕まれていく病気。治療法がない。



(以下をコピーしてお使い下さい)


『月下の願い』作者:なる

https://nalnovelscript.amebaownd.com/posts/9028941

マシュー(男):

ミカエラ&母(女):

イリス(女):




-------- ✽ --------






001 マシューN:この村には古くから伝わる伝説がある。



002 イリス:『月が最も美しく光る日は、空からお客様が来る証。虹の花を探してごらん。1番欲しいものが貰えるかもしれないよ。 』



003 マシューM:村の誰もが一度は夢に見るこの伝説も、大人になると、不思議と皆(みな)、おとぎ話だと笑い飛ばす。……いつ頃だろうか。僕も、そんな伝説は所詮おとぎ話だと思うようになってしまったのは。







004 ミカエラ: お兄ちゃん、今日はもうご用事終わったの?


005 マシュー:うん、終わったよ。調子はどう?


006 ミカエラ:今日は大丈夫。


007 マシュー:ならよかった。……今日の本はもう選んだ?


008 ミカエラ:うん、この本読んで?


009 マシュー:いいよ。……うわぁ、懐かしい、この本。


010 ミカエラ:お兄ちゃん読んだことあるの?


011 マシュー:うん。小さい時にね。


012 ミカエラ:ふふ、じゃあ読んで!


013 マシュー:分かった。ミカエラは、ちゃんとお布団かけるんだよ?


014 ミカエラ:うん、分かった!


015 マシュー:いい子だね。じゃあ始めるよ。


<絵本を開く>(『』の中は絵本の文です)


016 マシュー:『ある村に小さな男の子がいました。男の子は体が弱くてあまり外には出れませんでした。』


017 ミカエラ:ふふ、あたしみたいね。


018 マシュー:こら、そういう事言わない。


019 ミカエラ:えへへ。


020 マシュー:全く……続けるよ。

『ある日、男の子はぼうっと窓の外のお月様を見ていました。

 すると、男の子はとっても明るい月の下でキラキラ光る、不思議な光の玉を見つけました。

 光の玉がヒューッと飛んでいってしまったので男の子は慌てて外に光の玉を追いかけました。

 光の玉に付いていくと、そこにはキラキラ光る花が沢山咲いていました。』


021 ミカエラ:わぁ……!


022 マシュー:

『その花の真ん中には1人の妖精がいました。

 「貴方の願いをひとつ叶えてあげる。」

 妖精は言いました。

 「強くなりたい。友達を作りたいんだ。」

 男の子がそう言うと、妖精はひとつのケーキを男の子に渡しました。

 「これをどうぞ。貴方に女神の祝福を。」

 妖精はそう言っていなくなってしまいました。

 次の日、男の子は外に出れるようになりました。

 沢山のお友達を作って、毎日沢山遊びました。めでたしめでたし。』


023 ミカエラ:いいなぁ、妖精のケーキ。あたしも食べたいな。


024 マシュー:そうだね、本当にあったらいいのにね。


025 ミカエラ:どこかにあるかもしれないじゃん。


026 マシュー:それはどうかなぁ?


027 ミカエラ:無いかどうかはわかんないもん。……もうすぐ月が綺麗に見える日なんだって。ライラさんが言ってたの。


028 マシュー:そうみたいだね、僕も聞いた。月がよく見えるってことは冷え込むってことだから、気をつけるんだよ。


029 ミカエラ:……あたしも見えるかな?光の玉。


030 マシュー:どうだろうね?いい子にしてたら見えるんじゃないか?……さ、もう寝る時間だよ。


031 ミカエラ:うん。……お兄ちゃん。


032 マシュー:なんだい?


033 ミカエラ:今読んでくれた本、なんていう本なの?


034 マシュー:えーっと、題名は_____



035 マシューM:ミカエラが寝付いた後、ふと窓の外に目をやった。そこにはもうすぐ綺麗な丸になるであろう月があった。ミカエラが言うように本当に光の玉が現れるんじゃないかなんて考えてしまう。……そんなこと有り得る訳が無いのに。







036 イリス:あ、マシュー!お疲れ様。


037 マシュー:あぁ、イリスさん。どうも。


038 イリス:ミカエラちゃん、具合はどう?


039 マシュー:あんまり良くはないと思います。


040 イリス:そっか……お医者様はなんて?


041 マシュー:このまま進行すれば来年の誕生日は迎えられないかもしれないと。


042 イリス:そんな……。


043 マシュー:花症候群(フラワーシンドローム)は治療法がない病気ですし、ましてやミカエラはまだ若いから進行も早い。……かかってしまった以上、仕方ないのは分かっているんですけどね……。


044 イリス:どうにか進行を遅める方法はないの?


045 マシュー:進行を遅くする薬はあるらしいのですがそれも海の向こうの話らしくて。まだ試験段階みたいなんです。


046 イリス:そう……。痛みとかは?その後どう?少し前はかなり痛がっていたじゃない。


047 マシュー:まだ花やツルが引っかかっただけでかなり痛いみたいです。最近はベッドから起き上がるのすら嫌がってますね。


048 イリス:不要に動いて痛い思いをするよりは、って事なんでしょうね……。


049 マシュー:どうにかしてあげたいんですけどね……僕自身も初めての病気なもので、どうしてあげたらいいのか分からなくて。


050 イリス:村の大人は皆同じ気持ちだと思うわ。……あまり溜め込まないでね、マシューが壊れてしまったら元も子も無いわ。


051 マシュー:ありがとうございます。……そうだ、ミカエラがイリスさんに会いたがってましたよ。今度お時間がある時にでも遊びに来て下さい。


052 イリス:私もミカエラちゃんに会いたいわ。今度ケーキでも持ってお邪魔するわね。


053 マシュー:はい、是非。……僕はこの辺で失礼しますね、ミカエラも待ってると思うので。


054 イリス:引き止めちゃってごめんなさいね。……あ、そうそう、これ持っていって。


<紙袋をマシューに渡す>


055 マシュー:これは?


056 イリス:新作のカップケーキ。良かったらミカエラちゃんと食べてみて。


057 マシュー:ありがとうございます。じゃあまた。


058 イリス:また。お大事にね。







059 マシュー:ただいま〜。


060 ミカエラ:おかえり、お兄ちゃん。……なに?その袋。


061 マシュー:イリスさんがくれたよ。新作のカップケーキだって。


062 ミカエラ:やったー!イリスさんのカップケーキ大好き!


063 マシュー:美味しいもんね。手を洗ってくるから少し待ってて。


064 ミカエラ:うん!……袋の中覗いちゃおっと。


<マシューがお皿を持って戻ってくる>


065 マシュー:お待たせ……ミカエラ?


066 ミカエラ:あっ……えへへ〜……。


067 マシュー:待っててって言ったのに……はぁ。どっち食べたい?


068 ミカエラ:うーん、お花乗ってる方!


069 マシュー:はいよ。


<カップケーキをお皿に乗せてミカエラに渡す>


070 マシュー:はい、零さないようにね。


071 ミカエラ:うん!……そういえば今日ね、ライラさんがこの村の伝説を教えてくれたの! 


072 マシュー:あぁ、月が光る日に〜、ってやつでしょ?


073 ミカエラ:違う。……(咳払い)……『月が最も美しく光る日は、空からお客様が来る証。虹の花を探してごらん。1番欲しいものが貰えるかもしれないよ。 』……ってやつ!


074 マシュー:よく覚えてるな、凄いぞミカエラ。


075 ミカエラ:このくらいすぐ覚えられるよ!子供扱いしないで。


076 マシュー:ごめんごめん。ミカエラは僕と違って頭いいもんな。


077 ミカエラ:この頭も、使うところなんて無いんだけどね。


078 マシュー:……。 


079 ミカエラ:そういえばさ、この村に伝わるお話ってよく月が出てくるよね。


080 マシュー:あ、あぁ…言われてみれば確かに。


081 ミカエラ:この前読んだお話も、今日教えてもらった伝説も、どっちも月が出てくる。……なんで?


082 マシュー:そうだね……そろそろミカエラに教えてもいいかな。……この村はね、神に愛された土地なんだ。


083 ミカエラ:神に愛された、ってどういう事?


084 マシュー:凄くすごく昔、この村には空から逃げてきた神様が住んでいたんだ。


085 ミカエラ:神様?


086 マシュー:そう、神様。神様はこの村をすごく気に入ってね、それからこの村は凄く豊かになった。


087 ミカエラ:そっかぁ、皆が困らずに生きていけてるのはその神様のおかげなんだね。


088 マシュー:うん、でもいい事ばかりじゃないんだ。


089 ミカエラ:悪い事もあるってこと?


090 マシュー:……この村はね、地図のどこにも書いてないんだよ。神様は隠したんだ。


091 ミカエラ:……どういうこと?


092 マシュー:他の人に知られないように神様はこの村を地図から消したんだ。だから、村の人間以外はこの村の事を知らない。


093 ミカエラ:それは……悪いことなの?


094 マシュー:それが悪いことかどうかは、ミカエラが大きくなって、沢山のことを知ってから考えるといいよ。悪いことと決めつけるにはまだミカエラは知らない事が沢山あるからね。


095 ミカエラ:……うん。分かった。


096 マシュー:ふふ、いい子だ。さて、今日の分のプリントやろうか。


097 ミカエラ:はーい。







<マシューがイリスの家のドアをノック>


098 マシュー:すみません。


<返事がない→もう1回ノック>


099 マシュー:イリスさん?……イリスさん?


<イリスがドアを開ける>


100 イリス:……あれ……マシュー?


101 マシュー:ちょっと、イリスさんどうしたんです?!顔色悪いけど……。


102 イリス:あぁ……大丈夫 大丈夫。えへへ。


103 マシュー:とりあえず、横になるなり座るなりして下さい。お邪魔しますよ。


104 イリス:もぉ、強引なんだから。


105 マシュー:そんなこと言ってる場合ですか?!自分の顔色見てから言ってください。ほら、早く座って。


106 イリス:はいはい、センセ。


107 マシュー:全く。何かに集中し始めるとすぐ色々疎かにするんですから、貴女は。


108 イリス:ふふ、流石ね、センセ。私の事なんでもお見通しじゃない。


109 マシュー:はぁ……。


110 イリス:そんな顔しなくてもいいじゃない。


111 マシュー:どうしたんです?体調管理ができない貴女じゃないでしょう?こんな顔もしたくなります。


112 イリス:えーっとね、たぶんこの体調は月の下で探し物をしてたせいかなーと。


113 マシュー:探し物?


114 イリス:そう。花を探しててね。


115 マシュー:花?夜に探し物なんて暗くて見つからないでしょう。


116 イリス:あぁ……何でもない。でもたぶん体調が良くないのはそのせいだと思う。



117 マシューM:イリスはそう言ってまた本を読み出した。これ以上何も聞くな、と言われたようだった。



118 マシュー:イリスさん。


119 イリス:……。<本を読んでいる。返事がない>


120 マシュー:イリスさん。


121 イリス:……。


122 マシュー:……イリス。


123 イリス:……んー?何?


124 マシュー:少し寝たらどうです?本当に顔色が悪い。


125 イリス:もうちょっと調べ物したい。


126 マシュー:ダメ。


127 イリス:お願い。


128 マシュー:ダーメ。


129 イリス:はぁ……まぁここ数日ろくに寝れてないし、寝よっかな。


130 マシュー:そうしてくれると僕は嬉しい。


131 イリス:マシューからそういうテンションで言われたら断れない……。


132 マシュー:知っててやってるからね。寝てる間、部屋の片付けでもしておこうか?


133 イリス:うーん……うん。お願い。あぁ、机の上に広がってるものはそのままでいいから。


134 マシュー:分かった。……おやすみ、イリス。


135 イリス:うん、おやすみなさい。


<イリスが寝る>


136 マシュー:全く……どうやったらこんなに部屋が散らかるんだか。……これ新しいカップケーキのレシピか。あいつも熱心だよな。こんなに沢山色々考えて……あ、これ!ミカエラと食べたやつだよな……ふふ、美味しかったなぁ、これは。……あれ、このメモ……イリスって伝説とか興味あったのか。







<イリスがマシュー家を訪ねる>


137 イリス:ミカエラちゃん、調子はどう?


138 ミカエラ:イリスさん!……(咳き込む)


139 イリス:そんなにはしゃがないの、もう。


140 ミカエラ:久しぶりに会えたから嬉しくって、つい。


141 イリス:そうね、何だかんだ久しぶりになっちゃったわね。


142 ミカエラ:イリスさんはお身体大丈夫ですか?


143 イリス:あら、ミカエラちゃんも知ってるのね?


144 ミカエラ:はい。お兄ちゃんが真っ青な顔して戻ってきた時はびっくりしました。


145 イリス:心配かけちゃったわね、もう大丈夫よ。あの後ぐっすり寝たから、ふふ。


146 ミカエラ:それなら良かった。


147 イリス:そうだ、今日はこれを一緒に食べようと思って持ってきたの。


<袋からカップケーキを取り出す>


148 イリス:どうぞ?


149 ミカエラ:やった!カップケーキ!


150 イリス:前に食べてもらったやつからちょっと変えてみたんだけど、可愛いでしょ。


151 ミカエラ:うん、可愛い!このカップケーキって絵本のケーキに似てますよね。


152 イリス:うん、妖精のケーキに似せて作ってみたの。


153 ミカエラ:やっぱり!イリスさん凄い!


154 イリス:ありがと、さ、食べて食べて〜!


155 ミカエラ:いただきまーす!……ん〜!おいしい!


156 イリス:それはよかった、ふふ。


157 ミカエラ:イリスさんのカップケーキ、美味しいから大好きです。


158 イリス:そう言ってくれるからついつい沢山作っちゃうのよね。


159 ミカエラ:ふふふ。……あ、そうだ。イリスさんに聞きたいことがあるんです。


160 イリス:なに?


161 ミカエラ:イリスさんはこの村の伝説って知ってますか?


162 イリス:知ってるわよ。


163 ミカエラ:その伝説に出てくる『虹の花』って何か知ってます?


164 イリス:ふふ、ミカエラちゃんも伝説のこと教えてもらったのね。


165 ミカエラ:はい。でもお兄ちゃんに聞いても教えてくれなくて……。


166 イリス:ミカエラちゃん。今から話す事は2人の秘密って事にしてもらえる?


167 ミカエラ:う、うん。


168 イリス:虹の花にはね、不思議な力があるの。


169 ミカエラ:え、そうなんですか?!


170 イリス:普段はただの花なんだけど、月に照らされるとキラキラ輝くのよ。それを、私達は虹の花と呼んでいるの。


171 ミカエラ:そのお花にはどんな力が?


172 イリス:虹の花は女神様が作った花だから、凄い力があるのよ。不治の病を治したりね。


173 ミカエラ:虹の花があればあたしの病気も治る……?


174 イリス:……えぇ、きっと。


175 ミカエラ:……イリスさん?


176 イリス:ふふ、虹の花で妖精のケーキを作ったら、ミカエラちゃんの病気もきっと治るわ!家に帰ったら作ってみようかしら。


177 ミカエラ:出来たら食べさせて下さいね!


178 イリス:もちろんよ。……さて、私はそろそろお暇しようかしら。


179 ミカエラ:はい、また遊びに来て下さいね。


180 イリス:ふふ、お大事にね。……さよなら。





181 マシュー:イリスさん。


182 イリス:あら、マシュー。おかえりなさい。この前はありがとうね。


183 マシュー:いえ。顔色も良くなって、よかった。


184 イリス:ふふ、ミカエラちゃんも元気そうでよかったわ。


185 マシュー:喜んでいたでしょう?


186 イリス:えぇ、女同士の話なんかもしてね?


187 マシュー:またそうやって僕は除け者ですか。


188 イリス:そんな事ないわよ?ふふ。


189 マシュー:また遊んでやって下さい。


190 イリス:……えぇ。もちろん。……ミカエラちゃん、思っていたよりもずっと元気そうで良かったわ。


191 マシュー:治らない病にかかっているなんて嘘みたいですよね。変わってあげられたらいいのに。


192 イリス:大丈夫、あの子はきっと……きっと元気になるわ。


193 マシュー:はい。


194  イリス:じゃあ私は帰るわ。マシューも、ミカエラちゃんが待ってるでしょう?


195 マシュー:そうですね、じゃあまた。


196 イリス:……また。



197 マシューM:違和感というものは案外当たるもので、起こってしまってからではもう遅いという事を思い知らされる。







<ミカエラが小さく泣いている>


198 マシュー:ミカエラ?どうした?


199 ミカエラ:お兄ちゃん……イリスさんが……。


200 マシュー:とりあえず落ち着こう?


201 ミカエラ:お願い、お兄ちゃん。イリスさんが。


202 マシュー:イリスがどうしたんだ?


203 ミカエラ:イリスさんを捜して。イリスさんどっか行っちゃうかもしれないから、早く……!


204 マシュー:いや、でもミカエラを1人にする訳には……。


205 ミカエラ:イリスさん、大事な人なんでしょ?あたしは大丈夫だから早く行って!


206 マシュー:……分かったよ。大人しくしててね。



<マシューが走ってイリスの家に向かう>



207 マシュー:イリス?……イリス!……入るぞ。



208 マシューM:イリスの家には誰も居なかった。散らかっていた物が全て整頓された部屋を見てなぜか心がざわついた。その部屋の中で唯一机の上に残されていた1冊の絵本が目に留まった。開かれていたページには見覚えのある花の絵と妖精、そして男の子が描かれていた。俺はこの絵が示しているであろう場所に走った。

 




209 マシュー:イリス!いるんだろう?イリス!


210 イリス:あら……よくここが分かったわね。



211 マシューM:ずっとザワついていた心を不穏な空気が包み込む。返事をした彼女は僕の知る彼女では無かった。



212 マシュー:イ、リス?


213 イリス:えぇ、そうよ。……厳密にいえば違うけれどね。


214 マシュー:こんなところで何して(※被せ)


215 イリス:(※被せ)貴女の願いをひとつ叶えてあげる。


216 マシュー:……え?


217 イリス:貴方の願いはなぁに?


218 マシュー:そのセリフ……。


219 イリス:そう、あの絵本と同じ。あの絵本の妖精は私のお母様なの。


220 マシュー:そんな冗談……。


221 イリス:私が冗談でこんなこと言うと思う?


222 マシュー:待ってくれよ、そんなこと信じれるわけ……。


223 イリス:私の姿を見てもそれが言えるの?



224 マシューM:イリスの体は、月の光を浴びて輝いていた。……その体は少し透けているようにも見える。



225 マシュー:えっと、その……。


226 イリス:ふふ、まぁすぐに受け入れるのは難しいわよね。私も最初は驚いたもの。


227 マシュー:イリス……君は何者なんだい?


228 イリス:私はね、半神なの。


229 マシュー:はんしん……。


230 イリス:そう、神様と人間の間に生まれた子。この村の伝説に出てくる女神は私のお母様。私達半神はね、いつか選ばないといけないの。神として生きるか、人間として生きるか。


231 マシュー:……君は神を選んだのかい?


232 イリス:えぇ。神になれば力が手に入るから。 


233 マシュー:イリスが力を?……そんなもの必要ないじゃないか。今までだって問題なく過ごしていたじゃないか、これからだって……!


234 イリス:その未来に、ミカエラはいないわよ。


235 マシュー:……っ……。


236 イリス:ミカエラのいない未来を貴方と過ごしても楽しくない……でしょ?


237 マシュー:その未来に君はいるのか?


238 イリス:ふふ……。


239 マシュー:……イリス!


240 イリス:ふぅ……虹の花を見つけた貴方に、貴方の欲しいものをあげるわ。


<カップケーキを渡す>


241 イリス:さぁ、このケーキをミカエラに渡しなさい。


242 マシュー:妖精のケーキ……。


243 イリス:えぇ、それがあればミカエラは大丈夫。


244 マシュー:これは貰えない。それにミカエラが知ったらなんて言うか。


245 イリス:あの子は気づいているわ。


246 マシュー:ミカエラが?


247 イリス:えぇ。それに、あの子がいない未来を生きても意味が無いじゃない。……本来いるはずの無い者が居なくなっても何も問題ないのよ。


248 マシュー:意味は俺が作る。それじゃダメなのか?


249 イリス:言ったでしょう?私達はどちらかを選ばなければいけないの。


250 マシュー:それでも!……ミカエラが助かる方法はあるかも知れないじゃないか。


251 イリス:それは難しいって貴方も分かっているでしょう?……貴方の大事なものを手放してまで生きていたくないの。……分かって。


252 マシュー:……イリス。


253 イリス:……貰ってくれるわよね?


254 マシュー:あぁ。……ありがとう。


255 イリス:……貴方達に女神の祝福を。……さよなら、マシュー。







(子供に話しかけながら話す)

256 母:今日はこの本読みましょうか。このお話はねー、女神様と人の恋のお話なの。


257 母:ふふ、そうね、楽しみね。じゃあ始めるね。『ザ・ウィッシュ・オブ・イーリス……イーリスの願い。作、ミカエラ・ミシェル。』



(終)