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エッセイ no.2 「目指せ北海道」 〈その1〉

2020.07.26 04:24

今回はエッセイのシリーズ第2弾。

20歳頃に友人(以下 Aと記す)と2人で北海道で行われている夏の音楽フェスティバル、『RISING SUN ROCK FESTIVAL』にヒッチハイクで行った時の話。


あれは2008年の事。

『RISING SUN ROCK FESTIVAL 』に「ROVO」や「ボアダムス」、「TWIN TAIL」、「菊池成孔ダブセクステクト」など、好きなバンドや興味があって一度見てみたいと思っていたバンドが多数出演するらしい、とテレビか本か正確には覚えていないが、何かしらのメディアで知ったのである。

友人のAとは当時一緒にバンドをやっていたのだが、ある日のスタジオでの練習後、Aが「今年のライジングサン見に行きたいなぁ。」と言った。僕は「そうやなぁ。」と返した。Aが「じゃあ行くか?」と言ったので僕は「うん、行くか。」と答えた。

こうしてあまりにも簡単に『RISING SUN ROCK FESTIVAL』に行く事が決定したのである。


それから僕たちはどうやって北海道まで行くかを考えた。

飛行機、電車、あるいはフェリーなど色々な方法を考えた末、Aが「ヒッチハイクでいこや。」と言い出した。

大阪から北海道までヒッチハイクで行くというのは普通に考えれば無謀にも思える事だが、当時のアホ全開だった僕らには恐れるものなど何も無かった。なので僕は二つ返事で「オッケー。」と答えた。

当時、僕たちは車を運転している方たちは皆乗せてくれて当たり前くらいに考えていたのである。

完全に他力本願である。

そうこうしているうちに日は流れ、出発のための準備が始まった。

僕もAも北海道に行くのは初めてだったので、いくら夏といえども夜は冷えるのかとか、雨が降った場合はどうするかだとか、野宿になった場合どうするかなど一応最低限の事は考え始めた。

僕個人の話になるが、結局何を持っていけば良いのか途中で考えるのが面倒くさくなってしまったので、冬用のコートと下着だけを持って軽装備にすることにした。

個人の装備の他にヒッチハイクのために行き先を書いて人々に見てもらうための大きな段ボールとマジックも用意した。

今思えば本当にアホだったんだなと思うが、いくらヒッチハイクで交通費がかからないといえども、大阪から北海道まで行くのに所持金はそれぞれたったの5千円だった。(2人ともありえないくらい貧乏だった)

そんなこんなで準備を終えた僕たちは北海道まで一体何日かかるのかなどは全く考えず、とりあえずフェス本番の3日前の夜中12時ちょうどに吹田にあったAの家を出発する事を決めた。

フェス本番3日前の夜10時頃、僕は i の家を訪ねた。

Aが「一応カップラーメンでも買っとくか。」と言い出したので僕たちはi家の近所の100円ストアーに行き、一人2つずつの計4つのカップラーメンを買った。余談であるが、Aは本当にカップラーメンが好きな男であった。

何度も言うが、今考えれば僕たちは本当に大馬鹿者だった。軽装備に加え、カップラーメンをたった4つ買っただけで準備万端と二人とも本気で思っていたのである。

A宅に戻り、北海道までのある程度のルートを考えた僕たちは、吹田の高速インターに向かうため夜中12時(ダラダラしていたので結局12時半過ぎ)にAの家を後にし道路へとおもむいた。


こうして北海道へ向かう旅が始まった。


<その2に続く>