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良寛戒語

2020.08.14 07:04

Facebook・相田 公弘さん投稿記事  【問わず語り】

曹洞宗徳雄山建功寺住職、枡野俊明氏の心に響く言葉より…

《問わず語り》

◆聞かれてもいないことを自分から話すのは無粋です。

誰かと話していて楽しいのはどんなときでしょう。

自分が興味をもっていることについて話してくれたり、おもしろいと思える話題を提供してくれたりしたときは、それにあたると思います。

逆にいえば、興味がまったくない話やちっともおもしろいと思えない話をされても、楽しくはありませんし、その場の居心地も悪くなるということでしょう。

いわゆる興ざめ、いまふうにいえば“どん引き”の状況です。

やっかいなのは、人には自分が興味のある分野やおもしろがっていることを他人に語りたいという衝動が、少なからずあることです。

そこで、悪気はないのについつい、どん引き状況をつくり出してしまうことにもなる。

話題を切り出したら、ワンクッション置いて、相手を観察してはいかがでしょう。

興味のあるなし、聞きたい話かそうでないかは、必ず、表情や言葉にあらわれます。

「最近ワインに凝っていてさ。ワインってじつに奥が深いんだ」

そんな話題を振って、しばしウォッチング。

「ワインは好きでよく飲むよ。詳しくはないんだけれど、産地はどこがおすすめ?やっぱり、ブルゴーニュとか…」

相手がこんな対応なら、ワイン談義はその場を盛りあげること必至です。

しかし、「…ふ~ん、ワインねぇ…」といったものだったら、その話題は打ち切りにして、話をほかに転じましょう。問わず語りは自分よがり、相手を置き去りにします。

「ワンクッション&ウオッチ」を忘れないでください。『一日一戒 良寛さん』自由国民社

https://amzn.to/2OUVJ0K

良寛さんの「戒語」の中からいくつかを抜粋。(良寛禅師戒語)より

一、ことばの多き一、はなしの長き一、問わずがたり一、てがらばなし一、じまんばなし

一、おのが氏素性の高きを、人に語る一、人のもの言いきらぬうちに、もの言う

一、さしで口一、人の話のじゃまをする

「ことばの多き」とは、しゃべりすぎのこと。

「問わず語り」とは、人が尋ねないのに自分から語ること。

「差(さ)しで口」とは、でしゃばってよけいな口出しをすること。

「人のもの言いきらぬうちに、もの言う」とは、人がまだしゃべっているうちに、それをさえぎって話し出すこと。

これらの戒語の多くは、「俺が」「俺が」という自己中心的な考えを戒める言葉。

人は、どうしても自分のことを優先的に考えがちだ。

だから、利他ではなく、利己になってしまう。

伝教大師はそれを「忘己利他(もうこりた)」と言った。

自分のことは後回しにして、人に喜んでもらうことをしよう、ということ。

「話三分に聞き七分」という言葉がある。

人は、自分のことをしゃべりたくて仕方ない生き物。

だから、自分が話すのは3割にとどめ、7割聞くことに徹せよ、ということ。

「問わず語り」を自分の戒めとしたい。


以下の沢山の戒語を学ぶにはグループワーク・簡易KJ法が有効。

① 戒語をコピーした用紙(剥離可能なのり付き用紙だとよい)を人数分。グループごとに模造紙、はさみ、マジックを用意

② 各自で 戒語の類似性を観ながら グルーピングしてゆく。 その島に名前を付ける。

③ グループ全体で島の名前を出し合い、グループコンセンサスにより上位10個を選ぶ

④ 模造紙に10の島名を記入する。

⑤ 各自が戒語をコピーした用紙から切り分け 該当すると思われる島に貼ってゆく

⑥ 各島ごとに 該当戒語を(グループコンセンサスで)選ぶ

⑦ 島の名前を再検討し、補足説明などを考える


http://ppnetwork.c.ooco.jp/prod065.htm   【良寛戒語】 より

良寛禅師が残した,自戒の言葉には,多種類があるが,良寛全集から,「戒語」と「九十戒」の2タイプを以下に拾った。いずれも,重複があるが,おおよそ原文通り。選択は,選者にあるが,すべての文言は,良寛全集(岩波書店)によった。

戒語

言葉の多き 口の早き もの言いのきわどき 話の長き もの言いのくどき もの言いのはしなき 言繰る 表裏口 おとし話の長き 口に耳をつけて囁く こころにもなきことを言う 負け惜しみ 返らぬことを幾度も言う 節たちたることば 人のことばを笑う

ゆきたたぬをなぶりておもしろがる 末の通らぬこと 人惑わしのこと 客の前に人を叱る憎き心もちて人を叱る 人の嫌がるおどけ いくじなきおどけ 人を隔つることを言う

人の傷つくことを言う 人の嫌がることを言う 人の障りになることを言う 人の困ることを言う 人の恥かくことを言う 人を驚かすおどけ言う 人を嫉むことを言う 人に腹立たすことを言う 人を見限るとを言う 己が得手にかけて言う こと起こすことを言う

行き過ぎたことを言う まぎらかしことを言う よそごとを言う 逃げごとを言う おれがこうした,こうした 鼻であしらう 説法(法談)の上手下手(の評価)  人のことばを戻し理を非に曲ぐることを言う 役人の善し悪し 人の器量のあるなし 上の噂 下べの沙汰 公儀の沙汰 公儀の噂 問わず語り 差し出口 講釈の長き ついでなき話 手柄話

自慢話 公事(訴訟)の話 諍い話 出入りの話 喧嘩の話 不思議話 物言いの果てしなき 減らず口 己が悪しきことを人に塗りつくる 人のもの言いきらぬうちにもの言う 話の腰をおる 子供に知恵をつける 子供をたらす 言葉の違う たやすく約束する よく心得ぬことを人に教える 事々しくもの言う いかつがましくもの言う ひきごとの多き

親切気にもの言う 慮外咎め ことわりの過ぎたる このことのすまぬ中にかのことを言う人の話の邪魔をする あの人に言いてよきことをこの人に言う あなどること そのことの果たさぬうちにこのことを言う しめやかなる座にて心なくもの言う ことごとに人の挨拶きこうとする 酒に酔いてことわりを言う 酒酔いにことわりを言う 腹立ちながらことわりを言う 腹立てる人にことわりを言う 人の隠することをあからさまに言う はやまり過ぎたる 親切らしくもの言う 己が氏素姓の高きを人に語る 人の事を聞き取らず挨拶する推し量りのことを真実になして言う 悪しきと知りながら言い通す 言葉とがめ 物知り顔に言う かたおどけ 人を敬いすぎる よしなき長話 人のことをよく聞き分けず答えするわがことを強いて人に言い聞かさんとする 神仏のことを軽々しく沙汰する 軽はずみにもの言う 人を使うに言葉の多き しもべを使うにことばのあらけなき 人に逆らうこと人にへつらうこと 言うて詮なきこと 人の讒訴 さしたることもなきことを細々と言う いささかなことを言い立てる 返事を聞こうとするはむつかし さしてようなきことは言い捨てにすべし 耳にたつこと 入り用のところばかり抜いてあらまし言うべし 人の気色を見ずしてもの言う 人を侮ること 陰ごと言うてよくばその人に向かうて 己の意地を言い通す見ること聞くことを一つひとつ言う よく物の講釈をしたがる 子供のこゃくになる 老人のくどき 若いものの無駄話 仕方話(身振り手振りで) 首をねじりて理屈を言う こわいろ ひきごとの違う 引き事の多き 口をとがらしてもの言う 過ちを飾る 押しの強き珍しき話の重なる 息もつきあわせずもの言う ところに合わぬ話 好んで唐ことばを使う口まね 田舎ものの江戸ことば 都ことばを覚えしたり顔に言う よく知らぬことを憚りなく言う 片言を好みて使う 人の寝てからの大話 寝入りたる人をあわただしく起こす
寝付かれぬ人のかたわらに話する 憂いある人のかたわらに歌うたう 聞き取り話
人のことわりを聞き取らずして己がことを言い通す 人に会うて都合よく取り繕って言う

間の切れぬようにもの言う わざと無造作に言う 悟り臭き話 学者臭き話 茶人臭き話
風雅臭き話 さしてもなきことを論ずる 節もなきことに節を立てる 言うこと言わぬ
さもなくてあるべきことをきつく言う あまりしらじらしくもの言う かせれと言うて返さぬ くれると言うてくれぬ 人に物くれぬ先に何々やろうと言う くれて後人にそのことを語る 貴人に対してあゝ致しまする あくびとともに念仏 あゝ致しました,こう致しました,ましたましたのあまり重なる 幸いの重なりたるとき,物多くもらうとき,ありがたきことと言う 言い足らぬことは又つぎても言うべし。言うたことは再び返らず,ことばの過ぐるは愛想なし


九十戒

言葉の多き 物言いのきわどき 口の早き 話の長き 問わず語り 講釈の長き 差し出口

ついでなき話 手柄話 自慢話 公事(訴訟)の話 諍い話 不思議話 もの言いのはてしなき 公儀の沙汰 減らず口 人のもの言いきらぬうちにもの言う 子供をたらす(たらかす) ことばの違う たやすく約束する よく心得ぬことを人に教える ことごとしくもの言う いかつがましくもの言う 引き事の多き ことわりの過ぎたる あの人に言いてよきことをこの人に言う そのことはたさぬうちにこのこと言う へつらう事 人の話の邪魔をする あなどること しめやかなる座にて心なくもの言う 人の隠す事をあからさまに言う

事ごとに人の挨拶聞こうとする 顔を見つめて物言う 酒に酔いてことわり言う 酒に酔いたる人にことわり言う 腹立てるときことわり言う はやまり過ぎたる 親切らしくもの言う 己が氏素姓の高きを人に語る 人のことを聞き取らず挨拶する 推し量りのことを真実になして言う 悪しきと知りながら言い通す 言葉とがめ 物知り顔に言う さしたることもなきことを細々と言う 見ること聞くことを一つひとつ言う 説法の上手下手 役人のよしあし よくものの講釈をしたがる 子供のこしゃくなる 老人のくどき 若いものの無駄話 仕方話(身振り手振りで) 首をねじりて理屈を言う こわいろ ひきごとの違う

口をすぼめて(とがらせて)もの言う 押しの強き めずらしきこと(話)の重なる

息もつきあわせずもの言う 品に似合わぬ(ところにあわぬ)話 口まね 好んで唐ことばを使う 田舎者の江戸言葉 都言葉など覚え,したり顔に言う よく知らぬことを憚りなく言う 寝入りたる人をあわただしく起こす 聞き取り話 人に会って都合よく取り繕って言う 間の切れぬように物言う わざと無造作に言う 貴人に対してあゝ致しまする 学者臭き話 悟り臭き話 茶人臭き話 風雅臭き話 さしてもなきことを論ずる 人の器量のあるなし くれて後人にそのことを語る 俺がこうした,こうした はなであしらう くわの口きく 節もなきことに節を立てる あくびとともに念仏 人に物くれぬ先に何々やろうと言う 人のことわりをよく聞き取らずして己がことを言い通す 説法者の弁を覚えて或いはそう致しました,ところでなげきかなしむ 幸いの重なりたるとき,物多くもらうとき,ありがたきことと言う あゝ致しました,こう致しました,ましたましたのあまり重なる (以上九十ヵ条)