【1.新型コロナに関わる諸問題について ⑦GIGAスクール構想の推進】(代表質問より)
7点目も教育関連で、GIGAスクール構想の推進についてです。
OECD(経済協力開発機構)が、世界の15歳の生徒に対して行った、国際的な学習到達度調査(PISA)によると、日本の生徒は、オンライン上にあるWebサイトや投稿文、電子メールなどの多様なデジタルテキストから、必要な情報を探し出し、情報の質と信憑性を評価し、矛盾を見つけて対処するといった能力が、十分に育成されていない結果となりました。
また、日本では、学校の授業でデジタル機器の利用時間が短く、OECD加盟国中で最下位であり、日本の生徒は学校外では多様なデジタル機器を使ってチャットやゲームを行っているのですが、宿題や学習をする頻度が少ないことも明らかとなっています。
IoTやAIなどの最新技術を活用し、経済の発展と社会的課題の解決をめざした新たな社会である、Society5.0の時代を生きる子供たちにとって、ICTの活用は不可欠なものであり、情報活用能力を育成する点で、日本が立ち後れている現状を変えていかなければなりません。
このため国では、令和元年度補正予算において、学校現場のICT化を推進する「GIGAスクール構想」実現のための経費が計上されました。これは、児童生徒に一人1台のノートパソコンやタブレット端末と、高速大容量の通信環境の一体的な整備を支援するものであります。
教育のICT化は、社会を生き抜く力を育み、子供たちの可能性を広げるほか、特別な支援を必要とする子供達の学びを支える有効な手段となるだけでなく、さまざまな理由で学校へ行けない子供達への学習機会の確保にもつながります。
さらに、災害や感染症の発生による学校の臨時休業など、緊急時における子供達の学びの保障にも欠かせないことから、国の令和2年度補正予算においても、一人1台端末の早期実現や、家庭学習のための通信環境の整備など、「GIGAスクール構想」を加速整備する内容が盛り込まれています。
本県においても、さまざまな子供達の状況に応じた「誰一人取り残さない教育」が行える環境づくりが急務ではないでしょうか。そこでお伺いします。
【質問】
GIGAスクール構想の令和2年度補正予算に関する、県内自治体の申請状況はどうか。
また、児童生徒の家庭におけるICT環境等の県及び県内自治体の調査結果はどうか。
【答弁】
国のいわゆる「GIGAスクール構想」では、令和元年度補正予算において、1人1台端末及び高速大容量の校内ネットワークの整備を進めることとしており、現時点(6/17)で、1人1台端末に係る補助金については52の市町村が、ネットワーク整備に係る補助金については49の市町村が申請しています。
さらに、今年度の国の補正予算に計上された関連事業のうち、遠隔授業を行うためのカメラやマイク等の通信機器の整備については22の市町が、モバイルルーターの整備については36の市町が、ICT技術者の派遣については19の市町村が申請をしております。
一方、「家庭内インターネット環境調査」が行われ、家庭でインターネットに接続して学習することができない県内の児童生徒が、公立小学校では約11%、中学校では約8%、高等学校では約1%、特別支援学校では約7%であることがわかりました。
ICT機器の整備やオンライン学習については、これまでにも自治体によって取り組みの格差が生じています。これらのデジタル格差を放置すれば、結果的に社会に深刻な分断を招いてしまう恐れもあり、この機会に格差是正に取り組む必要があると考えます。
その上で、高等学校はGIGAスクール構想による端末整備の対象ではありませんので、生徒一人一人に向けたICT環境をどのように整備し学びの保障につなげていくのかは、各自治体の教育姿勢として問われます。そこでお伺いしますが、
【質問】
県立学校、特に高校生向けの整備は県の責務であることから、学びの保障に向けたオンライン環境の整備などの投資拡大と共にICT教育環境先進県となるように取り組みの加速化と強化を図るべきではないか。
【答弁】
県教育委員会では、6月補正予算により、県立学校の全ての生徒を対象に、オンライン学習支援ソフトを導入する予定です。これにより、校内の教育用コンピュータだけでなく、自宅でも生徒のスマートフォン等からアクセスでき、生徒一人一人の理解度に応じた学習や教員の個別指導が可能となります。
併せて今年度、国のGIGAスクール構想に係る補助金を活用し、校内通信ネットワークの高速大容量化と各普通教室での無線LANの整備を全ての県立学校において行うとともに、県独自でタブレット端末等を活用した授業に係る実践研究を進めてまいります。
これらの取組を有効に組み合わせることで、生徒の学習効果を更に高めることができると期待しており、引き続きICT環境の整備充実に努めてまいります。
※(補足説明)
県立学校では学習支援ソフト用のIDとパスワードが生徒一人一人に付与されました。
【要望】
ハード面だけではなく、教員のICT活用指導力の向上や子供たちへのICT情報活用能力の育成、情報モラルの教育、そしてオンライン上での教員と生徒のコミュニケーションの場の創設も大変重要となるので併せて進めていただきたい。
また、今や子どもらは私たちの想像を超えてデジタル機器を使いこなし、今後はその活用が急速に進んでいくことを考えますと、高校においても一人1台の端末整備は不可欠でありますので、早期に取り組んでいただきますよう要望します。