健康な子供の育て方 ~野口晴哉先生講義録~
≪野口晴哉講義録より≫
健康な子供の育て方(昭和31年)
前文略
それで、もう少しその子供たちが育ってくる面から言うと、こういう場合にはどうしたらよいかということが多かろうと思いますので、一応ご質問願ってお答えしたいと思います。
こういうときはどうしたらよいかということがございますか?
問「子供が寝ていてビクッとするのですが」
お腹が硬くなっている。少し流動食を余分に寝る前に食べさせる。
片意地な子供がおりましょう。それは寝る前に少し左の耳を引っ張っておいてやると、そういう片意地を張らなくなってくるようになります。
中略
問「あの大きくなってからの入浴は、、、」
同じであります。だから口の喧しい奥さんは、ぬるい湯にいれてだんだん熱くしていって、うんと熱くしてやると、その後しばらく温和しい。これが夕方だったら温和しく寝てしまうものです。
まあ、どちらでもそういうように消耗していったらよろしい。或いは集注を促す場合には、始め熱くして少し冷やしてやるとたくさん食べるようになります。
だから大人になっても同じだけれども、大人の場合には子供ほど激しいエネルギーの消耗でなくなってくる。仕事などの方が運動にはなりやすい。仕事とか喧嘩とか怒ることの方が入浴よりは消耗の度合いが多いのです。
赤ちゃんの場合には入浴が一番大きいのです。それで赤ちゃんの場合には、入浴は体操として使うということが大人よりは濃いわけです。
問「先生、三つの子供ですが、喉を腫らすのですが、寝ているときに足首を廻すとか、、、」
それはね、こういう形になるのです。
皆まあ、腰椎の三番というのがこう伸びないのです。だから三つか四つの子供なら、足の踵を引っ張ってやればよいのです。寝る前に。
問「踵ですか」
踵全体を引っ張ってやる。或いはちょっと高くしてやるのです。足のアキレス腱の処に枕をしてやる。それを一週間くらいやったら治ってしまう。たいてい無意識にやりますがね、そういう子供ほど高くしたがる。
問「一年の子供ですが、勉強させていると必ず鉛筆をしゃぶります。何か体を動かしてじっとしているということがないのですが」
その鉛筆をしゃぶる癖は、お乳を非常に早く止めた場合か、止めるのに無理した場合の習慣が残っているのです。まあ、なんといいますか、母親の注意集中の要求なのですね、大人になって煙草を吸うというのでも、パイプをしゃぶるなどというのでも、こういう育てられている中の注意集中の不足が残っているのです。だからそういう注意集中の不足を補うのです。
補うためには親が余分に叱言(こごと)を言えばよいのです。いつ気にすることを作るということは、今までは鉛筆をしゃぶったりそわそわしている方を気にしたのですが、その方を気にしないで、何か別個のこと、例えば絵が上手に描けるとか、或いは歩くのに普通より上手に歩くとかいうような面に集中したらすぐに変わると思います。
もう一つはエネルギーが運動神経から出ないで残っている場合に、特にそういう現象が強く出ます。だから一度運動してから勉強させる。普通は勉強した後から運動させるのですが、そういう子供は運動してから勉強させる。そうすれば大丈夫です。
運動を充分にさせる、甘いものを与える。そういう順序を踏めば良いと思います。
問「甘いものは全然食べないのですが、、、」
運動させれば要求します。それを要求しないほどに体が疲れない。それがソワソワする理由です。
問「とても動いて疲れているはずなんですが、、、」
それは大人の考えで、ご亭主から見ると子供は動きますものね。
問「先生、五つの子供ですが、母乳がなかったので五つになっても指を吸うんです。お乳を吸うように吸ってしまうんです。」
それを治すには腰椎の三番を圧してやると変わってきます。
腰椎の三番がこう湾曲しているか、まっすぐのままかの違いです。反りが出てくると独立の要求を起こす。それで、三番を時々刺激しておりすと、指をしゃぶる癖はなくなります。
その代わりに非常に疲れたりなどすると、腰がこうなるんですね。そういうときだけしゃぶるようになります。ごく疲れたときにはやるが。普段はやらなくなります。
ごく疲れた時にやる傾向は大人になっても残ります。今度はパイプでもしゃぶらせておけばよい。
写真
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