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やさしい野口整体

第一歩 ~野口晴哉著「偶感集」~

2020.07.28 08:10

《野口晴哉著 偶感集より》

第一歩


むづかしいと思えたことも

近付けば やはりすらすら流れている

容易に行なはれてゆく

遠くから手をこまねいているからむづかしい

楽な悠々した気持ちで近付けば

どんなこともやはりすらすら流れてゆく

歩めば良い いつか道は拓けている

その第一歩を ちゅうちょしているうちに 

道は閉ざされる

勇敢なものは迷はない

光を抱いて自分で蔽(おお)わない

蔽わなければいつも明るいのだ

決して消えない光だ

左転右転すれば 突き当たる

真っ直ぐ進むだけだ

はばむものあれば 押しきるだけだ

先ず吾が心に求むる一切は他から来るのではない

吾求むるが故に来るのだ

パンは天から来るのだ

予想しないものの来る筈がない

先ず予想したのだ

心で求めたのだ それがいつも現実となっていた

自分は予想を予想と言うまい

心に求めた時 そのものを現実と言はう

見えるものは過ぎ去るものだ

心に在るものだけが永遠に在る

更にもう一歩進む

よりよくなるだけが人間の生きているといふことだ

よりよくならねば退歩する

人間の世に止まるといふことはない

開拓するのは自分の心だ

豊かさも心にある 静けさも心にある

天の治療家であることが ただ一つの道だ

あらゆるものが生きている

生きて動いていないものは全くない

動かされているように見える総てのものでも動いている

そして自ら動いていると思われている総てのものも

実は動かされている

そういう世の中に自分は住んでいる


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