不安、不平、意思、信頼、反感、怒り~野口晴哉先生語録~
2020.07.28 12:56
《野口晴哉語録より》
不安
不安というものは、その一角をこわせば勇気が生ずるが、全面をこわさんとすれば不安は募る。
その募る不安を抑えれば甘えたくなり、腰が抜けてヂェスチャーばかりが増えてくる。
不平
不平というものは言わせるものである。
不平を叶えれば次のことが不平になる。不平の心があれば、どんなことでも不平になる。それ故不平は、言わせれば、その心は無くなる。
意思
意志は、それを肯定することによって挫くことができる。もしそれを積極的に支持すれば、相手の意志は消滅してしまう。
ただ迷うことによってだけ、その意思を育てることができる。
感情
感情はそれを抑えることによって、昂らせることができる。
怒らせ、泣かせ、笑わせれば、消滅してしまう。
肉体の運動は、直接感情の消失に作用する。従って運動の不足は、いつも余分に感情を昂らせる。
信頼
信頼は判るということによって生じない。判った中に、判らない一点があるときだけ育つ。
その判らない一点が明らかに判れば、間もなく信頼は消滅する。
反感
反感は自分を圧倒する自分と同じものがある時に生ずる。
自分にないものは、決して、どんなことでも、圧倒感を起こさしむるものではない。
異なったものには、反感は生じない。
相手の不正直を責めるものは、その不正直を自分が持っている。
相手の無知を嘲笑うものは、自分の無知を嘲笑われない用意とも言える。
それ故、その責めているものを、肯定的に弁護しているものには、常に好感をもつ。
怒り
怒りは自分に力の無い時に生ずる。力が生ずれば消滅する。
それ故、怒るものからその力を奪おうとする時に、いつも怒りを昂らせ、おさめることに成功しない。力を貸せば短時に怒りは終わる。