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KANGE's log

映画「透明人間」

2020.07.28 14:27

【ホラーからアクションへ。後味はゴーン・ガール】

イオンシネマのワンデーフリーパスポート5本のうち、最後に鑑賞したのがこの作品。

透明人間といえば、ピンクレディーの楽曲か、月刊少年マガジンで連載されていたお色気漫画「Oh!透明人間」という世代です(あ、「インビジブル」も)。

天才的な光学研究者エイドリアンの恋人セシリアは、過剰な束縛と支配から逃れるため、彼に睡眠薬を盛って豪邸から逃げ出す。悲観した彼は自殺したらしい。しかし、友人宅で居候し始めた彼女の身の回りで、奇妙なことが起こり始める…という話。

つくづく「姿が見えないモンスター」という発明の素晴らしさ…です。

誰もいないはずなのに何かが動くとか、誰もいないはずなのに気配は感じるとか、モンスターものというよりは、心霊ものに近い怖さですよね。誰しも感じたことのある違和感だからこそ、それが増幅されると恐怖になるという。そして、見るからに恐怖を誘うような異形の怪物を作り出さなくても、勝手に観客が恐ろしいモンスターを想像してくれるのですから、安上がりです。発想の勝利です。

前半は、徹底的にセシリアの視点で描かれるので、見ている私たちも、「絶対に、そこにいるやん」と思います。あえて、誰も座っていない椅子をじーっと映したり、妙に隙間のある構図でパーンを止めたり、「そこそこ!」って感じです。さらに、私たちは、エイドリアンが天才的な光学研究者であることを知っているので、「あいつが、絶対、なんかやってるやん」と思います。でも、そう信じているのは、セシリアと我々だけなのです。

周りから見れば、「セシリアがトラウマ的に過剰に恐れている」ようにしか見えないのです。だから、彼女は周囲から「ちょっと、ヤバいよね、あの人」と見られ、どんどん孤立していきます。透明人間側も、それを狙って、仕掛けてきます。興ざめなことをいえば、今どき各所に監視カメラがあるのだから、「とりあえず確認しろよ」とは思います。特に、あのレストランの悲劇は、店内にカメラあるでしょ。

それはともかく、前半は、そうやって心霊もののようなホラー的展開ですが、ある時、「見えない誰か」が確実に存在することがわかります。姿が見えれば、恐怖よりも、「われ何してくれとんねん」という怒りの方が強くなって、アクション映画のような攻め合いの展開になっていきます。

そこから、タネ明かし的な展開があって、我々観客は「へぇ~」と関心するわけですが、それでは収まらないのがセシリア本人です。もう、どんどんエスカレートしていきます。こうなると、観客から見ても「いや、セシリアさん、それはちょっと行き過ぎなんじゃない?」という展開になっていきます。

結局、セシリアの最後の行動が正解だったのかどうかは、我々には分かりません。その前のタネ明かしが真実で、セシリアの行き過ぎた思い込みである可能性もあります。でも、私の推理では「正解」です。その根拠をネタバレなしで書くことが出来ないのですが、もどかしいところです。

後半の展開は、構造とかは微妙に異なるのですが、なんとなく「ゴーン・ガール」を思い浮かべていました。

気になったのは、「あの時点で、あれをそこに隠しておくということは、その先の展開をよんでいたのか?」という謎です(ネタばれ防止のため、何が何やら分かりませんね)。「偶然、そうした」では、あまりにも都合が良すぎます。

そして、何より、「あの死体は誰だったんだ?」です。