ペルビアンホワイトレッグとは何者なのか。

大リンネが1758年、Scolopendra morsitans に次いで2番目に名を付けたScolopendra属のムカデで、世界最大級のムカデとしても有名です。

Neotype designation and a diagnostic account for the centipede, Scolopendra gigantea L. 1758, with a
そこでご覧頂きたいのが、本論文。
本論文によるとScolopendra giganteaの棲息地はコロンビア北部、ベネズエラ、トリニダード、マルガリータ島、キュラソー島、アルバ島とされており、ペルーは出てきません。
ペルビアンホワイトレッグは名前の通り、ペルーから来ているムカデです。
棲息地から外れている時点で、現時点ではScolopendra gigantea 路線から離れて考えて良いと思います。
一方、Scolopendra galapagoensis はココス島、ガラパゴス諸島、南アメリカの太平洋沿岸、およびエクアドルからペルー南部までのアンデス西部の斜面に棲息していると書かれています。
さて、ここからはムカデの同定形質である、歯板や曳航肢を確認してみましょう。
スケッチは Scolopendra gigantea
R. M. Shelley&S. B. Kiser(2000)
Neotype designation and a diagnostic account for the centipede, Scolopendra gigantea L. 1758, with an account of S. galapagoensis Bollman 1889 (Chilopoda Scolopendromorpha Scolopendridae)
Tropical Zoology,13:1, 159-170 に掲載されているものです。
まずは歯板の形状。ほぼ完璧に付合します。
こちらベネズエラブラックが片方再生肢のためか、トゲの位置や本数が左右でも異なっています。
1個体しか見れていないため、およそでしか語れませんが、位置関係などはまずまずと言ったところでしょうか。
もし飼育していたり、標本をお持ちでしたら情報をお寄せ下さい。
この部分はスケッチも左右非対称です。
ペルビアンホワイトレッグはCHでベビーから自切などをしていません。
こちらも微妙な雰囲気。
スケッチの方も左右で本数などが異なるため、完全に合致するわけではないようです。
実際のところ、数量を見ないと同定は難しいですね。
直上の写真はペルビアンホワイトレッグです。第1歩肢の腿節に棘がありますね。
第2歩肢以降にはありません。つまりScolopendra galapagoensis の特徴と合致します。
歩肢のトゲに関しても確認が出来ました。(ベネズエラジャイアントの方は標本が硬直してしまい、肉眼での確認となります。)
2021.3.27 修正
これも2種を分類するカギと書かれています。
こちらが根本付近の疎毛触角節、
こちらは先端付近の密毛触角節。
含めても含めなくても疎毛触角節に関しては
むしろ Scolopendra galapagoensis に近いような様子になってきました。
第一歩肢の腿節にのみ一対の蹴爪を持つことを含めると
Scolopendra galapagoensisとして考えるが妥当ではないでしょうか。
ちなみに幼体はこのような姿です。
特徴がある程度出ているため、幼体の頃から判別は出来そうですね。
南米オオムカデも一度、整理が必要そうです。
アジア産オオムカデをまとめた書籍を発行しています。
南米と共通する部分も多いため、ぜひご覧ください。
ペルビアンホワイトレッグ
ペルビアンジャイアントとも呼ばれています。
アルバゴールドについてはこちら。
スケッチ
R. M. Shelley&S. B. Kiser(2000)
Neotype designation and a diagnostic account for the centipede, Scolopendra gigantea L. 1758, with an account of S. galapagoensis Bollman 1889 (Chilopoda Scolopendromorpha Scolopendridae)
Tropical Zoology,13:1, 159-170