Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

やさしい野口整体

~野口晴哉著「風邪の効用」~

2020.07.29 13:04

《野口晴哉著 風邪の効用より》


健康な体というのは弾力があるのです。伸び縮みに幅があるのです。ところが、その人のいつも使いすぎている場処、これを偏り疲労部分といいますが、そういう使い過ぎというのは偏り運動ですから、偏り運動のいつも行われている処は偏り疲労が潜在してくる。


自分では感じないけれども、触ると硬くなって、筋肉の伸び縮みの幅が非常に狭くなっている。


ごく狭くなったのが年を取った状態、もっと狭くなったのはお墓に入った状態、つまり死んでしまうともう弾力がなくなってしまう。


人間はだんだん弾力を失って死ぬのです。だから死ぬまでズーッと見ていても、大抵の人は順序通りで、特別急に死んだということひはないのです。


今でも活元運動を誘導していると、背中が死んだ人と同じように硬張ってしまって、力を抜いて下さいというと逆に入ってしまう人があります。抜くというのも、入れるというのも、その人にとっては変わらない。いや、抜こうとすると入ってしまう。


そういうように体が鈍くなってしまっていると、病気も感じない。異常も感じない。それでいて自分は丈夫なつもりでいて、突然バタッと倒れる。


それで急に死んだからといっても、もう硬張って鈍くなって死ぬ一歩手前までいっているのたから、不意に死んでも本当は不意ではないのですけれど、まあ、それまで何ともないつもりているから、不意とか、突然とか、偶然とか言って、高血圧を恐がりますが、その前に体の弾力という面から体を見ていくと、突然、脳溢血で倒れるのも癌になるのも、決して偶然ではないのです。


癌にしても白血病にしても肝臓病にしても、或いは脳溢血にしても、自覚しないうちにフッと病気が重くなり、自覚した時には間に合わないというのが今の病気の特徴です。そういうのはその根本に鈍くなっている体がある。


ところが風邪を引くと、鈍い体が一応弾力を恢復するのです。


だから血圧が高い人は血圧が低くなってくる。血圧が低くなるというよりは血管が柔らかくなってくる。


血管にも弾力というものがあって、体の中の血管の弾力がなくなって血管が硬張ってくる、すると破れやすい。


つまり弾力があるうちは血圧がいくら高くとも破れないが、血管の弾力がなくなると破れてしまう。だから血圧というより、むしろ血管の硬化といいますか、血管の弾力状態の方が問題てある。


まあ、これは血管だけでなく、人間の体中、或いは心も含めて人間全体の弾力性というものを失わないように生活すれば、突然倒れるとかいうようなことはない訳ですが、もし硬張ったとしても風邪を引くと治ってしまう。


中略


人間が風邪を引くという働きをもっていながら、なぜ体が硬張っていくのかというと、風邪を治したり、風邪を予防したり、風邪に鈍くなるようなことを講じているからです。


写真

by Hitomi デジカメ