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独創と創造 ~野口晴哉著作全集第八巻~

2020.07.29 13:41

《野口晴哉著作全集第八巻より》

独創と創造


前文略

日本の教育に於て、一番大事にされているものは何かと言えば、正確ということである。自分で思いついたことより、何かの標準に正確に合っていることの方が貴ばれている。思いつきより標準に正確な方が信頼される。


正確というものは物差しが要る。物差しは自分以外のものである。自分以外の何かに合わせて正確なのがよいこととされている限り、思いつきは育たない。思いつきが育たなければ創造ということはない。何かに対して正確であろうとすれば、思いつきは殺されなければならない。


それに日本という国は形式を大切にする国である。形式が大切にされれば、個人の自由な動きというものはなくなってくる。形式を厳重に守ろうとすれば、個人の自由な思いつきは軽視されるのが当然である。前例がないということは不可能ということになる。


前例がないから新しいことをやろうとし、それをやめるために新しい人間が生まれてきたのである。


それなのに前例がないという理由で新しいことは拒否される。記憶するということが尊重されるのはその為である。正確、記憶、形式というものを打破することを考えない教育の行き方が、独創性を奪ったのだと言えないだろうか。


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