人は動きを記憶する
スポーツをやっている人は、動きを記憶させることで、その種目が上手くなります。
どんなに足の遅い人でも動きを研究し、効率良く走るように身体に記憶させれば、速く走ることも可能になってくるでしょう。
身体を自由に動かせられれば、どんなスポーツをやっても効果的なはずです。
思い通りに動かす為には、その種目の練習だけでなく、自分の動きを注意深く動く必要があります。だからこそ、ゆっくり正確に小さく動かすことは重要です。一番苦手な動きだと思います。
それは、スポーツだけでなく、日常生活でも全く同じです。
MRIやCTを撮っても何も問題がないのに、足の動きが千鳥足になるという症例の方が最近みえました。専門的にもみてもらった結果、病名がつかないということで来院されました。
身体の反応を診てみると左足の問題がありました。しかし、本人は両足と言い張ります。そこで椅子に座った状態で左右の足を上げてもらいました。
予想通り左足があがりにくい。しかし、本人は、あまり理解していないようでした。そこで、肩をおさえて、左右に上半身が倒れないようにしながら足をあげてもらうと、やや左が上がりにくいなと思うぐらいだと言うのです。
しかし、見た目には、あきらかすぎる程、左右の動きが違います。人は異常な動きを記憶してしまうと、それが正しい動きだと思い込んでしまいます。それが当たり前になることで「癖」を作り出します。
まずは、それに気づいてもらうことが治療の始まりになります。どんな名医でも、相手にその自覚がない人を治療することはできません。だからこそ、何が問題なのかを明確に認識させる必要がある訳です。
西洋医学ならMRIやCTの画像や血液検査等の数字で患者さんに納得してもらうことを目標としています。しかし、この場合、納得させられる材料が見あたらない訳です。
そこで、どう感じるのかを明確にする為に足をあげるという簡単な動きを指示した訳です。あまりにもハッキリとした動きの違いがあるのにもかかわらず、本人の自覚は明確ではありません。
そこで、動きを問いつめていく訳です。そうすると自覚できるようになってきます。ここからが治療のはじまりです。
それを怠って、足があがらないから鍼をした。では何の問題解決にもなりません。