礎 - 東北空手道場
空手の組手には、「胴回し回転蹴り」や「跳び膝蹴り」など派手な技が出てきます。それで相手を倒すのを見て、「カッコいいな!あれをやりたい!」と思って空手を始める人もいるでしょうが、入門者は必ずといって言いほど、地味な基本稽古から始まります。基本稽古は地味な上に、立ち方や拳の握り方、引き手の位置など全て決められています。体の大きさや柔軟性で多少の誤差はあっても、全員同じ「型」の中で行います。「この突き方はやりにくい。私はこうやりたい。」と思う人がいたとしても、基本稽古では変えることはできません。融通がきかないと思われる方もいるでしょうが、「型」をしっかり身に着ける必要があります。「型破り」と「型無し」。僕は「型破り」は良い意味で、「型無し」は悪い意味で使われていると思っています。組手の稽古の際には基本稽古と違い、実際に相手がいて自由に動きます。基本の動きをそのまま使うだけでは対処できないことが多くあります。基本の型を変化させた「型破りな動き」。基本の型も何にも無い「型無しの動き」。どちらが勝つかは想像がつくかと思います。基本稽古は建物で言えば土台です。土台は地味で目につきにくいです。でも、土台に手抜きがあればその上にどんな建物を建ててもすぐに倒れてしまいます。空手や建物だけでなく、私達の生活には土台になる「型」があると思います。うまくいかないと思うと事があったら、新しいものも良いですが、土台がどうなっているか確認してみましょう。
コラム筆者・東北空手道場 松本隼也
「勇は優から」「自分を信じる」「やりきる」。この3つの道場訓にしています。なにもないひとりの「人間」として稽古する。シンプルですが、究極のセルフケアを実践する場になれるよう心がけた指導を目指しています。
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